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OSから開発ツールまでワンストップで提供「Smarter Vision」への移行を強力サポート

ザイリンクスが積極的にアピールしている統合開発プラットフォームのコンセプト「 Smarter Vision 」。日本では、自動車や産業用機器の分野で、いち早く採用の動きが広がり始めた。これとともに活躍の場が広がっているのが、リアルタイムOS を核にした組み込みソリューションを手掛けるイーソルである。OS から開発ツールまで組み込み開発に必要な要素をワンストップで提供。さらに長年にわたって蓄積した技術とノウハウを生かして、新たに Smarter Vision の採用に踏み切る技術者を強力にサポートしている。

遠山和徳氏
ザイリンクス
テクニカルセールス部
Zynq ビジネス開発
マネージャー

ザイリンクスは、ソフトウエアとハードウエアの両方のプログラミングができる先進的なプログラマブル・デバイス「 Zynq® -7000 All Programmable SoC(以下、Zynq SoC )」をベースに、システムの合理性と高いパフォーマンスを追求する「 Smarter Solution 」を展開中である。その取り組みの大きな柱となっているソリューションが「 Smarter Vision 」である。

FPGA と ARM® Cortex-A9 プロセッサ・コアを統合した Zynq SoC 、検証済みの IP 「 SmartCORE 」、高い生産性を備えた開発環境「 Vivado® 」の三つを包括した画像処理システム向けソリューションである。「リアルタイム解析」「高速データ伝送」「高精細の画像表示」など最先端の画像アプリケーションを効率よく実現できる統合開発プラットフォームを提供する。「すでに日本では様々な分野で採用の動きが広がっています。中でも動きが活発なのが、自動車と産業用機器。いち早く日本で Zynq SoC を採用していただいたお客様の、おおよそ3分の2が、この二つの分野の方々です」(ザイリンクステクニカルセールス部 Zynq ビジネス開発マネージャー 遠山和徳氏)。

切り替えにともなって浮上する課題

この背景には、これらの分野で電子システムのマイコンやプロセッサを含むハードウエア・プラットフォームを根本的に見直す動きが出てきたことがあるという。「回路の合理化を図るために、もともとマイコンと FPGA で構成していた回路を1個の Zynq SoC に置き換えることを検討する設計者の方が増えています。マイコンの品種を切り替える際に、将来を見据えて Zynq SoC を採用するお客様が少なくありません」(遠山氏)。

ただし、このようにハードウエア・プラットフォームを切り替えるとなると、設計者の目前に様々な課題が浮上する。例えば、新しいハードウエアに関する技術の習得、新たな開発環境の整備、過去のソフトウエア設計資産の継承などである。しかも、ただでさえ時間に余裕がない現場が多い中、切り替えにともなう様々な課題は、できるだけ短期間で解決したい。 Zynq SoC の採用に当たって、こうした数々の課題に直面する設計者に向けて強力かつ広範囲のソリューションを提供しているのがリアルタイムOSを中心とする組み込み用ソフトウエアの開発/販売/サポートを手掛けるイーソル(本社 東京都中野区)である。

Zynq SoC の可能性を高く評価

1975年の創業以来、組み込み向けソフトウエア関連事業を専業とするイーソルは、リアルタイムOSをコアとする自社開発のプラットフォーム製品に加え、高い技術力と豊富なエンジニアリソースを強みとするエンジニアリングサービス、最新の知見と高度な技術に裏付けられたコンサルテーションサービスの提供を通じ、組み込みソフトウエア開発の包括的な支援を行う。さらに、自社製品を補完するパートナー製品の販売とサポートを開始し、さらなる付加価値の向上を図る。

上倉洋明氏
イーソル
執行役員
エンベデッドプロダクツ
事業部長

TRON 系のリアルタイムOS「 eT-Kernel 」を中心に、開発ツールとミドルウエアを統合し、さらにプロフェッショナルサービスを含む「 eT-Kernel Platform 」は、ITRON の豊富なソフトウエア資産とエンジニアリソースを活用した短期間・低コストでのソフトウエア開発を可能にする。またシステムの信頼性とリアルタイム性確保を容易にする。さらに直感的なデバッグができる開発ツールにより、初心者でも組込みソフトウエア開発が容易だ。こうした要素に加え、日本企業ならではの迅速できめ細かなサービスに定評を持つイーソルは、ハードウエア・プラットフォームの切り替えに伴う各種課題に直面する設計者を強力かつ包括的に支援できる貴重なリアルタイムOSベンダーである。

同社は、Zynq SoC の基本コンセプトが明らかになった 2009 年ころから、いち早くザイリンクスと連携を図りながら Zynq SoC に向けて最適化した eT-Kernelプラットフォームを提供する準備に着手してきた。「 FPGA とプロセッサ・コアを統合した Zynq SoC は、多くの設計者の支持を集めるという手応えを当初から感じたからです」(イーソル執行役員エンベデッドプロダクツ事業部長 上倉洋明氏)。以前にザイリンクスが FPGA 向けのソフト・プロセッサ・コア「 MicroBlaze 」を発表したとき、それまで別々に実装していた FPGA とマイクロプロセッサの統合を検討する顧客が少なくなかった。この経験を踏まえて Zynq SoC の需要を判断したという。

開発環境まで一貫して提供

同社が提供しているプラットフォームの大きな特長は、リアルタイムOS、開発環境、ミドルウエアが統合されていることに加え、製品のカスタマイズ/ポーティングのほか、受託開発やサポート/トレーニングなども含むプロフェッショナルサービスが用意されていることだ(図1)。「リアルタイムOS、開発環境からミドルウエアまでを統合し、さらに開発現場の多様なニーズに柔軟に対応できる各種プロフェッショナルサービスを1社で包括的に提供している企業は、世界でも珍しいと思います」(上倉氏)。

図1 リアルタイムOS 、開発環境、ミドルウエア、プロフェッショナルサービスが統合化された
「 eT-Kernel Platform 」構成図
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こうした同社の取り組みはユーザーに大きな利点をもたらす。「設計者の方が自ら、複数の企業からソフトウエアや開発ツールを集めて、プラットフォームの構築やチューニングに手を煩わせる必要がなく、即座にアプリケーション開発を始められます。しかも、問題が生じたときには速やかに対応できます。複数企業の製品を集めた開発プラットフォームの場合、問題の特定や対策に要するプロセスが複雑になる恐れがあります」(上倉氏)。同プラットフォームは、すでに車載機器、航空・宇宙、コンシューマ機器、工業機器、音響機器、理化学機器など幅広い分野の機器で採用されている。

ITRON の後継リアルタイムOSである T-Kernel を、イーソル独自の技術で拡張した「 eT-Kernel 」は、スケーラブルな3つのプロファイルをもつ。基本的なカーネル機能を搭載したコンパクトでリアルタイム性の高い「 eT-Kernel/Compact 」、MMU( Memory Management Unit )を利用したメモリ保護機能とプロセスモデルをサポートした「 eT-Kernel/Extended 」、 eT-Kernel/Extended をベースに独自開発した POSIX 仕様準拠の「 eT-Kernel/POSIX 」で構成される。 eT-Kernel/POSIX の利用により、 ITRON 資産に加えて、Linux の豊富な資産の活用が可能になる。「システムの規模に合わせて最適なリアルタイムOS を選択することができます」(上倉氏)。 Zynq SoC に統合された ARM® Cortex-A9 MPCore デュアルコアプロセッサには、マルチコアプロセッサに対応した「 eT-Kernel Multi-Core Edition 」を用意している。この場合も、システムの規模と用途に合わせて、eT-Kernel/Compact 、eT-Kernel/Extended 、eT-Kernel/POSIX から選択できる。ミドルウエアでは、ファイルシステム、USB、ネットワーク、グラフィックスに関連するソフトウエアを提供している。

開発環境として提供しているのは、リアルタイムシステム特有の難易度の高い問題を容易に解決し、高い開発効率を実現する「 eBinder 」である。コンフィギュレータとビルダ、タスクレベルデバッガ、イベントログ取得/解析ツール「 EvenTrek 」、システムブラウザ「 PartScope 」、CPU 占有率を表示する「 Realtime Profiler 」など、組み込みソフトウエア開発の一連のフェーズをカバーしたツールと機能を備えている。

eT-Kernelプラットフォームは、ザイリンクスをはじめアヴネット・インターニックス、東京エレクトロン デバイスなどが提供している評価ボードにいち早く対応している。「これらのボードに対応した BSP( Board Support Package )と eT-Kernelプラットフォームを組み合わせることで効率の良い組み込みソフトウエア開発を進めることができます」(上倉氏)。

機能安全のサポートを強化

イーソルは、車載電子システム向けの製品やサービスも数多く提供している。車載機器開発に関連する同社の取り組みで見逃せないのは、機能安全の国際標準 ISO26262 の第三者認証を取得した「 eT-Kernel Platform Automotive Safety Package 」を 2014 年第 2 四半期にリリースすることだ(図2)。

図2 eT-Kernel Platform Automotive Safety Package 構成
篠原順文氏
イーソル
エンベデッドプロダクツ事業部
技術部 部長

この中には、開発で必要となる安全・適切な使用方法などの情報、ユーザー・システムの安全機構の設計/実装/検証において必要な技術情報、同社製品の品質情報などを提供するサービスが含まれている。「併せてコンサルティングや受託開発など機能安全規格への対応支援サービスも提供し、自動車メーカーや車載機器メーカーの ISO26262 の認証取得を強力に支援します」(イーソル エンベデッドプロダクツ事業部技術部部長 篠原順文氏)。また、これらは機能安全の認証取得が必須ではない製品開発のケースでも、ユーザー製品に搭載するリアルタイムOSなどのソフトウエアに関する品質・安全性などを担保する材料としても活用できると考えている。

日本では、自動車や産業用機器など多くの分野で、高い市場競争力を発揮する新基軸の製品や、その実現に貢献する技術を模索する動きが進みつつある。こうした中、システムの進化に貢献するザイリンクスの Smarter Vision や、これに準じたシステムの開発を強力に支援するイーソルの取り組みに対する技術者の関心は一段と高まるに違いない。

独自の技術を生かして先進的な Smarter Vision をいち早く提供すると同時に、ザイリンクスと連携を図ながら強力なサポートを提供するザイリンクス アライアンス プログラムのメンバー。製品の付加価値向上や、市場における競争力強化に取り組む企業にとって、強力な味方と言えよう。

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