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国際石油開発帝石株式会社(INPEX)

子どもたちが大人になる頃、安心してエネルギーを利用できる?

国際石油開発帝石(INPEX)がエネルギーの未来を見据えて策定した 『ビジョン 2040』が、早くも具体的な成果を示し始めている。 エネルギー事業の拡大と同時に世界のエネルギー安全保障を支え、 再生可能エネルギー活用の拡大にも貢献する新たなステージに入っている。

3つの具体的なビジョンで世代のエネルギー需要に応える3つの具体的なビジョンで世代のエネルギー需要に応える

「低炭素社会への移行期にある今、世界的に増加するエネルギー需要への対応と温室効果ガスの排出削減という、2つの社会的な要請のバランスを取るための、まったく新しい戦略が求められています」。そう語るのは、日本を代表する石油・天然ガスの開発企業INPEXの代表取締役社長、上田隆之氏だ。

同社は2018年5月に『ビジョン 2040』を発表した。これはエネルギーを取り巻く環境の変化を踏まえ、国内外の多様なエネルギー需要に応えるための長期的な展望をまとめたものである。

『ビジョン2040』では3つの大きな事業目標を掲げる。①石油・天然ガス上流事業の持続的な成長、②グローバルガスバリューチェーンの構築、③再生可能エネルギーへの取り組みの強化だ。

『ビジョン 2040』で示した注力する3つの領域『ビジョン 2040』で示した注力する3つの領域

3つの事業目標では、すでに目立つ成果が出始めている。①石油・天然ガス上流事業の持続的な成長においては、2018年10月にオーストラリアの「イクシスLNGプロジェクト」で液化天然ガス(LNG)の出荷が始まった。イクシスは、日本企業として初めて操業主体を担う大規模なLNG 開発プロジェクトだ。年間約890万トン(生産能力)のLNGの他に、液化石油ガス(LPG)やコンデンセート(超軽質油)を生産する。生産開始から安定的に生産できるようになるには通常2~3年を要するが、イクシスでは想定よりも早く安定生産を達成する見込みである。

そしてINPEXの次の“屋台骨”の一つになるプロジェクトも始動した。インドネシア東部海上での「アバディLNGプロジェクト」だ。19年7月に同国政府から開発計画が承認され、2055年までの生産分与契約も調印された。今後、基本設計作業と最終投資決定を経て2020年代後半の生産開始を目指す。

また、UAE のアブダビ海上油田プロジェクトでは、下部ザクム油田の開発・生産について国営石油会社に助言する「アセットリーダー」に、石油メジャー以外では初めて指名された。これは、長年のアブダビでの操業経験が評価されたことを示すものだ。

直江津LNG基地を中心とした国内インフラの整備とともに、アジア・オセアニアなどの成長市場におけるガス需要の開拓やトレーディング機能強化を通じて「グローバルガスバリューチェーン」を構築する

次世代を見据えた新たな事業を積極展開次世代を見据えた新たな事業を積極展開

新潟県長岡市にあるINPEXの越路原プラント内に完成した、CO2と水素を原料にメタンを生成するメタネーション試験設備。将来的に再生可能エネルギーによる電力を利用し生成した水素を利用すれば、CO2の排出を大幅に削減することが可能になる

「エネルギーの未来に応えるために、既存事業に加えて、再生可能エネルギーへの対応や、LNGバンカリング、メタネーションなど、新しい取り組みも積極的に推進するのがINPEX」と代表取締役社長の上田隆之氏

「新潟県上越市の直江津LNG基地での、イクシスからのLNG受け入れも始まり、当社が海外で開発・生産する天然ガスと、国内天然ガス事業のインフラが有機的に結びつき、②グローバルガスバリューチェーンの構築に向けて大きく前進しました」と上田氏。

直江津LNG基地は、関東・甲信越・北陸に延びる総延長約1500キロメートルのガスパイプラインネットワークへ天然ガスを送り出す起点。国産の天然ガス供給と併せて、日本のエネルギー安定供給という大役を担うため、災害時にも供給が途絶えないための万全の設計が施されている。

さらにグローバルガスバリューチェーンの構築では、UAEで準備が進むLNGバンカリング(船舶へのLNG燃料供給)事業が注目される。国際的な船舶の排出ガス規制強化に対応してLNGを燃料にする船が増加することを見込む。中東から全世界に向けたLNGバンカリングネットワークの構築は、LNGの需要拡大および環境貢献につながる。

③再生可能エネルギーへの取り組み強化では、石油ガス事業とのシナジーが見込め、関連技術を活かせる地熱発電や風力発電事業への参入を加速する。また、NEDOの委託事業として「メタネーション」の確立に向けた試験設備が2019年10月に完成。INPEX越路原プラント(新潟県長岡市)で天然ガスの生産時に抽出されるCO2と、水の電気分解で製造した水素を合成して天然ガスの主成分であるメタンを製造する。将来的には再生可能エネルギーで得られた電力で水を電気分解することで、完全なカーボンリサイクルの循環を創り出そうとしている。

『ビジョン2040』を軸にした取り組みが加速していることについて上田氏は、「イクシスという果実が実り、INPEXはまったく新しいステージに入りました。それは社会に対する企業責任がより一層重くなったことを意味し、深い自覚を持ちながら時代に向き合って事業を進めていきます」と語る。