最新エイジングケアと
デジタルを活用した
セルフメディケーション

「Digital Health FES 2019」レビュー
2019年11月17日 東京・大手町

2019年11月17日、賢く年齢を重ねるコツやデジタルを活用した健康管理など、美容と健康の最新情報が満載の「デジタルヘルスフェス2019」が開催された。ラグビーの廣瀬俊朗さんやバドミントンの池田信太郎さんをはじめ第一線で活躍する方々が登壇し、会場は健康に関心の高い来場者で満席となった。

最新の活用事例からひもとく、デジタルヘルスの未来

午後は最新のデジタルヘルスの実例をもとにこれからの可能性を探るフォーラムが開かれた

 午後からは、「デジタル時代の健康づくりフォーラム」として、女優でタレントの原千晶氏をゲストに迎え、実際にデジタルヘルスを活用するパネリストが登壇、黒沢保裕アナウンサーのコーディネートのもと、デジタルヘルスの最先端の事例を紹介しながら、今後どのような課題があるのかを話し合った。

西澤匡史氏
南三陸病院 副院長・宮城県災害医療コーディネーター

[活用事例1]患者自身が血圧を測り、データ化・共有するDCAPシステム
 まずは、東日本大震災直後から避難者の診療にいち早く当たった南三陸病院 副院長・宮城県災害医療コーディネーターの西澤匡史医師の事例を紹介。2011年の大震災で病院も被災し、カルテを失ってしまったため、災害時循環器リスク予防システム(通称:DCAPネットワークシステム)を導入。患者が毎日測った血圧をデータ化してデータセンターに送信することでハイリスクの患者を見極めたり、自治医科大学の遠隔医療支援を受けるなどして現地医師の負担を軽減した。さらに、患者が朝晩血圧を測ることにより、医師が経過をみられるだけでなく、患者自身が「血圧の上がりやすい条件が分かり、急上昇しないよう自己管理できるようになった」(西澤医師)と南三陸でのデジタルヘルス活用例について紹介した。

[活用事例2]大学・自治体・企業・市民が一体となった世界一の健康診断
 次に、健康診断のビッグデータを活用するために、弘前市岩木地区で行われている「岩木診断」を紹介。通常の健康診断の検査項目は約20~30項目なのに対し、「岩木診断は100倍の2000~3000項目になる」と話すのは弘前大学COI研究推進機構(健康未来イノベーションセンター)の村下公一教授。健康診断のビッグデータをとることで病気の予見だけでなく、予防法のビジネス化などに役立てている。大学の研究だけでは限度があり、ある程度データが蓄積された時に論文を発表して終わってしまうが、「自治体や企業、そして市民が一緒になって取り組むことにより健康づくりにおける社会的な課題に向き合える」と村下教授。プロジェクトが始まって15年、現在40以上の企業が参画し2万人のデータを保有している。

村下公一氏
弘前大学COI研究推進機構(健康未来イノベーションセンター)教授
三木竜介氏
神戸市 保健福祉局 健康部 健康政策課 健康創造担当課長、行政医師

[活用事例3]アプリを通じて健康管理をする神戸市の取り組み
 神戸市が民間企業と共同開発、運営している健康アプリについて、神戸市保健福祉局健康部 健康政策課 健康創造担当課長、行政医師の三木竜介氏が紹介。神戸市民向けに開発したアプリは、食事の写真を撮るとカロリーが瞬時に計算されたり、活動量を管理したり、健康診断の結果を読み取って保存したりもできる。さらに、AIの導入によってアプリ利用者の行動パターンを学習させ、好みに合わせたアドバイスをしてくれるシステムも開発中。得られたデータは、行政の施策立案や改善に役立てるのが目的だが、「やがて、どこにどんな状況の人が住んでいるのかが分かれば、健康課題の解決に向けターゲットを絞った施策を展開できるようになります」と三木氏が解説した。

フォーラムのゲストは、
女優でタレントの原千晶氏
デジタルヘルスの定義を解説した、
日経デジタルヘルス河合基伸編集長
モデレーターを務めた
黒沢保裕アナウンサー

 デバイスの進化で自分の健康づくりが手のひらでできる便利な時代だからこそ、主体的に自分の健康と向き合うべきだということが、多くの参加者の心に刻まれたのではないだろうか。ゲストの原氏は自身ががんを患った経験から、日々の健康維持には関心が高く、「便利なツールはどんどん活用していきたい」と前向きな思いを語った。

 技術はどんどん進化し、データを集めることが技術の向上にもつながるため、「技術を受け入れる社会と、進歩させるための一人ひとりの協力が必要」と日経デジタルヘルスの河合基伸編集長がまとめ、活気にあふれたフォーラムは幕を下ろした。