日経Gooday Special
Event Report

あなたもその予備群かもしれない
「糖尿病」の怖さと今すべき対策

11月14日の世界糖尿病デーを機に、「食による血糖対策最前線」と題したウェビナーが配信された。糖尿病は、日本人にも罹患者や予備群の多い身近な病気だ。ここではそのリスクと予防策について、各界のプロフェッショナルが様々な知見や情報を発信。血糖値や体重が気になる人は、ぜひ一読してほしい。

キーワードは肥満と高齢
糖尿病のリスクと対策を考える

「糖尿病とは、体の中の血糖値(血液中のブドウ糖)が上昇した状態をいいます」と解説するのは、国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター長の大杉満氏。本ウェビナーは、大杉氏による基調講演から始まった。

「ただし血糖値が高いというだけでは、症状には現れません。そのため、長年放置されることの多い病気なのですが、その間にも視力を低下させる網膜症や腎症、神経障害などの合併症が進行している可能性があります。また高血糖状態が続くと、血管がダメージを受け、さらに高血圧や脂質異常症が動脈硬化を促進することで、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも上昇する。気づいたときには深刻な病状を呈しているというのが、糖尿病の厄介なところなのです」

大杉氏によると、糖尿病は日本人の6人に1人(※)が罹患者あるいはその予備群とされており、国民的な病気だといえる。その原因は、肥満や高齢による耐糖能異常の増加にある。耐糖能とは、血糖値を正常に保つ働きのことで、これが作用しなくなると慢性的な高血糖状態に陥りやすい。

  • ※厚生労働省:2016年「国民健康・栄養調査」より

「耐糖能異常は主に肥満から生じるとされていますが、欧米人と比べて、肥満などに応じてインスリン分泌を調節する能力の低い日本人の場合は、軽度の肥満でも耐糖能異常を起こしやすいのが特徴です。また、糖尿病の有病率は60歳以上になると増え、その理由としては加齢による筋肉量減少や、基礎代謝の低下による耐糖能異常が原因と考えられます」

大杉 満氏
国立国際医療研究センター
糖尿病情報センター長
大杉 満

一方で、糖尿病には遺伝因子との関連も示唆されている。「親兄弟、とくに両親に糖尿病がある場合は、ご自身も罹患する確率が高いということです。実は私の父や兄弟、叔父、叔母も有病者であるため、私も日頃から体重管理にはかなり気を遣っています」と大杉氏は話す。

もちろん、家族に病歴がなくても、糖尿病になるリスクはゼロではない。それはこの病気が生活習慣病といわれる所以だ。では、発病を防ぐためには何に気をつければいいのだろうか。

「まずは健康診断やメタボ健診を定期的に受けること。健診の結果、血糖値やHbA1c(※)の数値が高ければ、ただちに生活習慣を改めましょう。とくに若い頃と比べて有意に体重が増えている、血圧が高くなっているような人は要注意です。具体的には、規則正しくバランスのいい食事を心がけ、運動習慣をつける、飲酒・喫煙を控えるなどが挙げられます」

  • ※HbA1c(ヘモグロビンエーワンシ―)は糖尿病の指標

そして、「もし糖尿病と診断されたら、決して放置せず、継続的に治療を行うこと」と大杉氏は強調する。最近は、糖尿病の治療薬であるインスリン注射製剤も無痛かつ手軽に使えるよう進化しており、多忙な日常生活を送りながらの治療も十分可能であるという。

そのインスリンが発見されてから、今年でちょうど100年。発見者であるカナダのバンティング博士の誕生日にあたる11月14日は、「世界糖尿病デー」に定められ、世界中で様々な糖尿病啓発イベントが行われる。この機会に日頃の生活習慣を見直し、血糖値を意識した食事や運動習慣を採り入れてみてはいかがだろうか。

日本では耐糖能異常の人が多い
日本では耐糖能異常の人が多い
日本の糖尿病患者は、その予備群も含めると約2000万人。日本人には耐糖能異常の人が多く、軽度の肥満でも血糖値が上がりやすいのが特徴だ。また人口の高齢化も、糖尿病リスクの上昇につながっている。
糖尿病の予防 こんな人は糖尿病に気をつけて!
糖尿病の予防 こんな人は糖尿病に気をつけて!
健康診断などで血糖値やHbA1cの値がやや高く出た人は、日頃の食生活や運動、飲酒・喫煙などの習慣を見直してみよう。運動量を増やし、適正な体重を維持すれば、糖尿病の発症リスクを抑えることができる。

誰もが身近な糖尿病リスク
予防の鍵は毎日の食生活に

続くパネルディスカッションには、基調講演で登壇した大杉氏に加え、管理栄養士の浅野まみこ氏、フリーアナウンサーの木佐彩子氏が登壇。日経BP 総合研究所の西沢邦浩の進行のもと、糖尿病リスクを少しでも減らす食生活のあり方を考察した。

国民病といわれる糖尿病ですが、自分には関係がないと思っている人も多いようです。

生活習慣病である糖尿病は、誰がなってもおかしくない病気です。ただ、糖尿病自体には症状がないので、5年10年経って合併症を引き起こしてから、ようやく自覚するという例は多いですね。だからこそ、定期的に健診を受け、血糖値や血圧、肥満度などのリスク数値を把握しておくことが肝心なのです。

テレビ局時代の私の同期にも、高血糖を指摘される人は増えてきましたね。みんな睡眠時間を疎かにしたり、深夜に焼肉を食べたりと無茶ばかりしていたので、それが影響しているのかもしれません。

不規則な食事や暴飲暴食は血糖値を上げやすくする悪習慣です。また、若い頃に比べて太りやすくなっていることも、糖尿病リスクを高める要因となります。とくにコロナ禍で体重が増えたという人は注意しましょう。

コロナ禍の外出自粛で外食を避けるようになったことも、食事バランスの崩れに影響していますね。相手が食べているものに合わせて量を調整するという機会が失われ、また他人の目を気にせずに好きなものを好きなだけ食べてしまうケースが増えているんです。

そういう意味では、より一層生活習慣を正していく必要がありそうですね。

大切なのは、自分の食生活を客観視してみること。もし丼ものや麺類などの炭水化物系に偏っている場合は、高血糖を招かないためにも食事内容を改める必要があります。また、食品を買う際には成分や原材料の表示にも目を向けてみましょう。食品表示は、原材料に占める重量割合の多いものから記載されているので、「意外と糖質が多いな」「こんな種類の糖質が入っているんだ」といった発見があります。

浅野 まみこ氏
管理栄養士
浅野 まみこ
木佐 彩子氏
フリーアナウンサー
木佐 彩子

そもそも糖質とは何を指し、どんな種類があるのでしょうか。

糖質というのは、炭水化物から食物繊維を除いたもので、ブドウ糖や果糖、でんぷんなどがよく知られています。ブドウ糖や果糖は「単糖類」で、この2つがくっつくと「二糖類」の砂糖に、また単糖類がいくつもつながるとでんぷんのような「多糖類」となります。このうち単糖類と二糖類は消化吸収が速く、血糖値を上げやすいのが特徴です。

なかでも市販ドリンクや加工食品に使われる「果糖ブドウ糖液糖」は、食後血糖を上昇させやすいので、なるべく避けるようにしたいものです。

加工したものではなく、自然に近い状態で食べたり調理したりするほうがいいんですね。ほかに、毎日の食事で工夫できることはありますか。

献立を考える際に、“定食スタイル”を心がけてみてください。具体的には、ごはんなどの「炭水化物」、肉・魚・卵・大豆製品などの「おかず」「野菜」「汁物」をバランスよく揃えること。これを実践するだけで、余分な糖質は案外簡単に減らせます。

食事バランスに気をつければ、いつまでもおいしく食べ続けることができるとわかり、安心しました。定食スタイル、今日からさっそく試してみますね。

大杉 満氏
国立国際医療研究センター
糖尿病情報センター長
大杉 満
西沢 邦浩
日経BP 総合研究所
客員研究員
西沢 邦浩

糖質関連の製品を通して
健康や社会に貢献

ウェビナーを締めくくるのは、世界糖尿病デーの認知・理解促進に取り組む江崎グリコの執行役員 木村幸生氏。

「江崎グリコの創業の商品である栄養菓子『グリコ』は、人々の健康に貢献したいという創業者の想いから生まれました。私たちは食べることを楽しみ、心も体も健康でいられる社会を目指しています。その取り組みの一つとして、糖尿病を正しく知り、予防や治療の大切さを広める“世界糖尿病デー”の活動を応援しています。

その他、糖尿病に関するセミナーの実施や啓発活動、妊娠糖尿病予防の情報を掲載している子育てアプリの無償提供も行っています。当社は、これからも人々の健康に寄与する商品・サービスをお届けし続けてまいります」

世界糖尿病デーでも啓発されている通り、糖尿病の抑制は持続可能な世界を実現するための重要なテーマ。日頃から糖質や血糖値を意識した生活を心がけるようにしたい。

木村 幸生氏
江崎グリコ株式会社 執行役員
健康事業マーケティング部
カテゴリーマネージャー兼
クロスリージョナル・ブランドリーダー
木村 幸生
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