チーム開発をより効率的かつ確実に実現する 事例紹介 ヤフー 7000人を超える社員の情報共有にConfluenceを活用 JIRAで円滑なチケット管理も実現 100以上のサービスを提供する国内最大級のインターネットポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営するとともに、人々の生活や社会を情報技術で“UPDATE”し続けているヤフー。同社は7000人を超える、グループ企業も含むほとんどの社員の情報共有基盤として、すでに10年にわたってアトラシアンの「Confluence」を活用している。情報登録のハードルを大幅に下げることで情報共有のメリットを拡大し、会社全体の業務速度を高めているのだ。2015年11月からはチケット管理システムもアトラシアンの「JIRA Software」へと移行。すでに800近くのプロジェクトで活用されている。

知りたいことがあれば、まずConfluenceにアクセス

 チームによる組織的な開発プロセスをいかに効率的かつ確実に遂行していくか——これは開発業務に関わるすべての組織に共通する重要テーマだろう。組織の規模が大きくなれば、問題はより深刻になる。参加メンバーが多くなることで、プロジェクト全体に影響を及ぼすボトルネックが見えにくくなる危険性があるからだ。共有すべき情報や課題、プロジェクトの進捗状況などを可視化し、最小限の労力で迅速に管理できる基盤を確立しなければならないのである。

 このようなニーズにアトラシアン製品の活用で対応しているのが、ヤフーだ。同社は、検索やニュース、eコマースなど、100以上のサービスを提供する国内最大級のインターネットポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営。1996年のサービス開始以来、今年で20周年を迎える。情報技術で人々の生活と社会を“UPDATE”していくため、新たなイノベーションを生み出すための開発を積極的に進めている。

 そのヤフーがアトラシアン製品の活用を開始したのは2006年。全社で情報共有を徹底するため「Confluence」を導入したのだ。

ヤフー株式会社 情報システム本部 高橋 邦洋氏

 「以前はWikiによる情報共有を行っていたのですが、複数のWikiが乱立し、全社レベルでの情報共有が難しくなっていました」と語るのは、情報システム本部の高橋 邦洋氏。アクセスコントロールも十分ではなかったと振り返る。これらの情報共有基盤の統合とアクセスコントロールを実現するため、まずConfluenceをパイロット導入。十分に使えることがわかったため全社展開した。現在では7000人を超える社員の情報共有基盤として、まるで空気のようになくてはならない存在になっている。

 「ヤフーでは全社員にConfluenceのアカウントが与えられており、新入社員も入社直後からこれを使いこなすことが求められます」と高橋氏。社内情報のほとんどはConfluenceに蓄積されているため、これが使えなければ仕事にならないのだという。「知りたいことはまずConfluenceを検索するのが当たり前になっています」。

気軽な書き込みで情報共有を拡大し会社全体の速度を向上

 それではConfluence導入はどのようなメリットをもたらしているのか。高橋氏は「メモレベルのものでも気楽に書き込むことができるため、たくさんの情報を集められるようになりました」と話す。ファイルサーバーやドキュメント管理システムでは、一度ファイルを作成してからそのファイルを登録するという「二度手間」がかかってしまい、ファイルにするほどではないメモレベルの情報の共有が難しい。これに対してConfluenceは直接情報を書き込むことができるため、情報共有のハードルが極めて低いのだ。

 一度書き込まれた情報は、アクセス権限のあるユーザーであれば誰でも検索して閲覧可能。自分のために入力した情報が、他の人の役に立つケースも多いという。「そのため、ある人がすでに解決した問題を、別の人が時間をかけて解決するというムダがなくなり、会社全体のスピードが向上しました」。

図1:「Gliffy Diagrams for Confluence」で作成した図版の例 図1:「Gliffy Diagrams for Confluence」で作成した図版の例 PowerPointやVisioのような感覚で、フロー図やシステム構成図などもConfluence上で簡単に作成できる。言葉では伝わりにくい情報も明快に伝達可能だ  使いやすいアドオンが揃っていることも、Confluenceの魅力の1つ。最近のヤフーでは、Confluenceに直接作図できる「Gliffy Diagrams for Confluence」の活用が広がっている。「これはPowerPointやVisioのような感覚で作画できる、とても強力なツールです。システム構成図やフローチャートなども簡単に作成できます(図1)」(高橋氏)。

 Confluenceに加え2015年11月には、チケット(課題)管理とプロジェクト管理の機能を提供する「JIRA Software」(以下、JIRA)も全社に導入。2016年9月までの11カ月間で、800近くのプロジェクトがこれを活用している。登録されているチケット数は約30万、コメント数も約100万に上っている。

 「以前は紙の付箋や表計算ソフトといった比較的原始的な方法でチケット管理を行っているプロジェクトもあれば、BugzillaやRedmineといったプロジェクト管理ソフトウエアを使うケースもあるなど、乱立しており、各プロジェクトのチケットシステムの管理工数にも問題がありました」と高橋氏。そのためプロジェクト間で人が異動した際に、ツールに慣れる時間が必要だったと振り返る。「現在はツールのJIRAへの統一に向けて作業を進めており、この問題も解消しつつあります」。

「JIRAを社内公式チケッティングシステムにする」と宣言

 JIRAの活用が短期間でこれだけ広がったのは、「これを社内の公式チケッティングシステムにする」と宣言し、積極的に啓蒙活動を展開したからだ。情報システム本部は、JIRA活用のためのセミナーをオンデマンド型で開催。求められれば他拠点に出向いてでもセミナーを行うようにしている。それではなぜJIRAを公式システムに位置づけたのか。それは大規模な組織でも問題なく使える機能が揃っているからだと高橋氏は説明する。

図2:JIRAのダッシュボード画面例 図2:JIRAのダッシュボード画面例 受け付けたチケット(課題)に対し、対応中/依頼者の確認待ち/進行中/解決済みの件数が、一目で把握できるようになっている。これなら膨大な数のチケットが存在しても、フォーカスすべき課題を明確にしやすい  「JIRAはチケットの検索機能や管理機能が優れており、自分にとって重要なチケットの情報をダッシュボードですぐに把握できます(図2)。また将来的にデータが増えた場合など『Data Centerデプロイメントオプション』も用意されているので、長期的に運用できることが見込めます」

 またBugzillaやRedmineからの移行が容易なことも、全社導入に踏み切れた理由の1つだという。様々なプロジェクト管理ソフトウエアからの移行ツールが、JIRAには用意されているのである。

 さらに、2013年6月にアトラシアンの日本法人が設立されたことも、安心感を高めていると指摘。これによって日本語でのやり取りが可能になり、対応も迅速になったからだ。「またライセンス契約した企業にはソースコードが公開されており、バグ情報や対応策もネット検索で見つけることができます。そのため問題が発生した時には、ソースコードを修正して即座に解決することも可能。対応をベンダーに任せるだけではなく、セルフサービス型で行える選択肢があることも、アトラシアン製品のいいところだと思います」。

 現在はJIRAとConfluenceを個別に活用しているが、今後は両者を連携させ、ユーザーの利便性をさらに高めていく計画だ。「UPDATE JAPAN」に向けたヤフーの取り組みは、これからさらに加速していくことになるだろう。
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