SPECIAL REPORT ものづくりの現場で小中学生がプログラミングに挑戦 「富士通パソコン組み立て教室」レポート富士通と富士通アイソテックは2016年7月30日、福島県伊達市にある富士通アイソテックで、小中学生を対象にしたパソコン組み立てとプログラミングの体験教室を開催した。参加したのは、小学校4年生から中学校3年生の児童・生徒とその保護者。子どもたちの熱気にあふれた当日の様子をレポートしよう。

キャラクターが動きだす
プログラミングに夢中

 パソコンの組み立てと工場見学の後は、いよいよプログラミング教室だ。子どもたちが学ぶのは、MITメディアラボで開発された「Scratch」(スクラッチ)というプログラミング言語。ブロックを組み立てるような操作性で、アニメーションやプレゼンテーションなどが、簡単に作成できる。講師を務めたのは、Scratchの解説書籍「小学生からはじめる わくわくプログラミング2」(日経BP社)の著者で、子ども向けのプログラミング教室などの活動を実施しているボランティアグループ「OtOMO」のリーダーである倉本大資氏である。

子どもたちに話しかける倉本氏。
豊富な経験に基づく語り口調に、子どもたちの関心が高まってゆく。

 教室では、1人に1台のESPRIMO FHシリーズを使ってプログラミングを学んだ。まず倉本氏は、子どもたちにScratchの基本について紹介した。Scratchのプログラミングは、命令などを記述する必要はなく、さまざまな部品を画面上でドラッグ・アンド・ドロップすることで完成する。子どもたちは、簡単な操作を組み合わせることで、キャラクターなどを画面上で移動させたり、拡大縮小させたりできる。1つの画面上で、部品を組み合わせたプログラミングとキャラクターの動作の両方を確認できるのがScratchの特長。23型の見やすい大画面液晶を搭載したESPRIMO FHシリーズは、プログラミングにも適している。

戸惑っている子どもがいると、すかさず富士通アイソテックのスタッフがアドバイス。
思った通りの動きになると、子どもたちは笑顔を見せていた。

プログラミング教室のテキストとして使った「小学生からはじめる わくわくプログラミング2」(日経BP社、1,900円+税)」。講師の倉本氏が豊富な経験をもとに、Scratchを使って親子で楽しくプログラミングが学べるように著した解説書だ。

 子どもたちは、1人に1台用意されたESPRIMO FHシリーズで、倉本氏の指示に従って、ネコのキャラクターが画面上で回転しながら大きくなる「ネコスピン」のプログラムを作成しながら、Scratchの使い方を学んでいった。

 最初は、手を挙げるのも恥ずかしがっていた子どもたちが、徐々にスクラッチに引き込まれていく。「よくわからなくても、どうなるか実際にやってみてみよう」と倉本氏に励まされ、最終的にはネコスピンを自分なりに改造。お互いに作品を見せ合って、盛り上がったところで教室は終了した。

プログラミングに取り組む子どもたち。自分の命令に従って、
「Scratch Cat」と呼ばれる猫の動きが変わることを体験した。

子どもたちがプログラミングに取り組んだScratchの画面。
中央の部品を右側にドラッグ・アンド・ドロップしてブロックのように組み立て、
その後、プログラムの実行操作をすることで、左側の「Scratch Cat」の色や動きが変わる。

 最初は緊張していた子どもたちも、最後は歓声も聞こえ、リラックスした様子。「組み立ても、プログラミングも、全部楽しかった」と振り返る小学生もいた。その男子のお父さんは「ものを作るのが好きな子なので、きっと家に帰ってからもScratchを続けると思います。貴重な体験をありがとうございました」と語る。

 参加者全員にとって、いい夏休みの思い出になったようだ。

プログラミング教室を終えて異口同音に「楽しかった」と語る子どもたち。
保護者も皆、満足げだった。

ハードとソフト、両方を学べる稀有な体験

OtOMO代表 倉本 大資(くらもと だいすけ)氏

OtOMO代表

倉本 大資(くらもと だいすけ)

僕らが目指しているのはなにも優れたプログラマーを育成しようということではなく、コンピュータが当たり前の社会で生きていくうえで、普通の人に必要な知識や考え方を身に付けてもらうことです。こういった知識は、もう特別なものではなく、普通に必要な知識になっているのです。

企業からの依頼を受けてこうしたプログラミング教室を行うことは少なくありませんが、ほとんどがソフトウエア企業からの依頼です。なので、今回のようにハードウエアメーカーからの依頼は珍しく、僕もパソコンの工場見学ができてすごく楽しかったし、とてもいい環境で教室をやらせてもらえました。

子どもたちは、今はまだ今回の2つの体験のつながりはよくはわからないかもしれませんが、きっと気づく時がくるでしょう。そして、その時に、この体験がさらに生きてくると思います。

島根富士通では、地元ゆかりの「Ruby」による
プログラミング教室を開催

8月6日には、富士通のノートパソコンを製造する島根富士通(島根県出雲市)でも、パソコン組み立てイベントで、プログラミング体験教室を開催した。こちらは、島根県松江市在住のまつもとゆきひろ氏が開発したプログラミング言語「Ruby」を使用。当日は、小学校5年生から中学校3年生までの31組約75人の親子が参加して、タブレットPCの組み立て、製造現場の見学、プログラミングなどを楽しんだ。代表取締役社長の宇佐美隆一氏は、「ものづくりの体験は、ハードウエアとソフトウエアの組み合わせが最適。こうした取り組みが日本のものづくりに興味を持つきっかけになると嬉しい。来年もプログラミング教室を開催したい」と振り返った。

開会のあいさつをする島根富士通の宇佐美隆一社長。
会場には、島根県の観光キャラクター「しまねっこ」も駆け付けた。

参加者はタブレットPC「arrows Tab WQ2/X(WEB MART限定モデル)」を組み立てた。
島根富士通のスタッフが、各組をサポートした。

自分たちで組み立てたばかりのタブレットを使って、プログラミングを体験。
簡単な操作でRubyのプログラミングができるツール
「Smalruby」(スモウルビー)を使って学んだ。

持ち歩いて使えるのはタブレットならでは。
講師を務めたのは、Smalrubyを開発した松江市在住の高尾宏治氏。
NPO法人Rubyプログラミング少年団の代表で、
子どもたちを対象にしたプログラミング教室などの取り組みを進めている。

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