ITモダナイゼ―ションSummitレビュー|ITモダナイゼ―ションSummit 2016 いつまでそのシステムを使い続けますか?

CSCジャパン

理解しているからこそ語れるAS400からの卒業

 

長く使い続けてきたレガシーシステムが、これから10年先も使い続けられるか――。今こそ考えるべきときだと指摘するのは、CSCジャパン(以下、CSC)の林田 宏介氏だ。同社は独自ツールを活用することで、極めて短期間、低コストでのモダナイゼーションを可能にしている。AS/400を知り尽くした同社が、AS/400モダナイゼーションの道のりを提言した。

 

 

 

新しいテクノロジーを柔軟に活用して、顧客を次の時代に導く

CSCジャパン合同会社 執行役員 グローバルサービス事業本部長 兼 エンタープライズ事業本部長 西川 望氏

CSCジャパン合同会社
執行役員
グローバルサービス事業本部長 兼
エンタープライズ事業本部長
西川 望

 半世紀以上にわたり、世界60ヵ国以上でITサービス事業を展開しているCSC。最初に登壇したCSCの西川 望氏は、「モダナイゼーションは、お客様にとって大変重要な課題ですが、私たちCSCが生き残っていくためにも大きな問題です」と話す。

 

 長くメインフレームやAS/400を利用してきた顧客を多く持つ同社。近年は、次の時代に対応するシステムへのニーズが増加しており、そうしたニーズに対応するために、テクノロジーと経験をモダナイゼーションに集中させているという。「CSCはハードウエアもソフトウエアも持っていませんので、古いハードウエアやテクノロジーに依存したり、お客様に使い続けてもらわなければならないという、しがらみはありません。その時々に新しいテクノロジーを柔軟に活用して、パートナー様と一緒に、お客様を次の時代に導いていくことがミッションです」と西川氏は語る。

 

CSCジャパン合同会社 プリンシパル ソリューション アーキテクト 林田 宏介氏

CSCジャパン合同会社
ソリューション アーキテクト
林田 宏介

 これまでに多くの案件でAS/400を取り扱ってきた同社。AS/400は非常に優れたソリューションではあるものの、現在となってはいくつかの課題があると指摘するのは、CSCの林田 宏介氏だ。「AS/400は運用も楽ですし、開発者から見ても手離れも良いマシンです。しかし、エンジニアロックインが激しくなるという課題があります」と林田氏。

 

 AS/400の抱える課題の1つは、人の問題だ。開発者人口が少なく、しかも開発者の高齢化も進んでいる。さらに、RPG(Report Program Generator)という独特のプログラム言語を利用するため特定のエンジニアをロックインする傾向が強い。しかも、プログラムの可読性が悪いことから、RPG言語だけでなく、そのシステム自体に慣れていないエンジニアでは解析することがかなり難しい。加えて、独特な仕組みを持っているため、他の環境への単純移管がしづらいという技術面での課題もある。

 

 AS/400はコストも安く、運用も容易で、安定して動いてくれるため、中堅規模を中心に長く愛されてきたマシンではあるが、「これから10年使い続けられるか、さらにそれが本当にベストな選択かを考える時期に来ているのではないかと思います」と林田氏は指摘する。

 

独自ツール「QTE/QRE」によるレガシープログラムの自動変換

 CSCでは、細分化した11のアプローチで顧客のモダナイゼーションニーズに対応している。同社がAS/400をモダナイゼーションする際に最も利用するアプローチは「コンバージョン(移行)」だ。林田氏は、「アプローチとしてはリライトに近いですが、RPGやCOBOLのソースをそのままJavaにストレート変換します。非常に短期間で安く移行できるというのが特徴です。AS/400をモダナイゼーションするアプローチでは、ほとんどのケースがコンバージョンで実現可能です」と話す。

 

 CSCのコンバージョンアプローチでキーとなっているのが「QTE/QRE」というツールだ。どちらも一般で販売しているのではなく、コンバージョンを行う際に同社が活用する社内ツールだ。

 

 QTEは、RPGやCOBOLをストレートにJavaへ自動変換するツール。例えば、RPGであれば、そのままソースコードをQTEに読み込ませ、ソースコードを解析して、それぞれのパターンごとにソースコードを変換して、Javaのソースコードや設定ファイルのXMLファイルを作っていく。「実際のモダナイゼーションでは、お客様ごとにソースコードを分析させてもらいながらパターンを変えていきます。最終的に9割以上、自動変換でできるようなコンバージョンの仕組みを提供しています」と林田氏は言う。

 

図1

 

 QREは、変換したソースコードをエミュレーションするためのツールだ。変換したソースコードは、独特の記述方法が残ってしまっているため、ミドルウエアレベルやプログラミング言語レベルのエミュレーターをQTEの中で同時に生成する。

 

図2

 

 これらQTE/QREを用いることで、ストレートにJavaに変換しても、新しい環境で完全に実行できるという仕組みだ。「納品時にはソースコードごと全部お渡ししますので、ソースコードの改変なども自由にやっていただいて構わないという形で提供します。つまり、変換すると非常にオープンな環境になるというのが、QTE/QREを活用したコンバージョンの大きな特徴です」と林田氏は強調する。

 

 自動変換により、短時間で高品質なコンバージョンを実現するQTE/QRE。加えて、プログラム構造をそのままJavaへ移管するため、既存のプログラム一覧やドキュメントを流用可能で、これも特徴的なメリットだ。さらに、ストレート変換のため、エンジニアにとってわかりやすいプログラムということも、顧客から非常に高い評価を得ているという。「QTE/QREを使うとファクトリー化ができます。つまり、流れ作業で変換できるということです。段階的に、アジャイル的にエミュレーションで反復しながら、モダナイゼーションしていくアプローチが取れます」と林田氏はメリットを付け加えた。

 

グローバルの知見を集約してコンバージョン精度を向上

 もちろん、AS/400のモダナイゼーション時に発生する様々な技術的な問題についても、CSCではその解決策を提示している。例えば、AS/400は、単一レベル記憶(Single Level Store)や、物理ファイルと同様のアクセスが可能な論理ファイルという仕組みを持っているため、そのまま移行がしづらいという問題がある。これらの問題に対しては、データベースキャッシュを有効活用できるように論理ファイルに合わせたバッファサイズの最適化を行ったり、データを分割し、それに合わせてジョブの並列化をするという解決策を提示する。

 

 これらの問題や解決策はあくまで一例で、60カ国で事業展開するCSCでは、そのグローバルでの経験を集約・ルール化して、自動化を常に改善・高度化している。「プロセスが定義されているため、やればやるほど、QTE/QREのコンバージョン精度が上がっていく仕組みです」と林田氏。グローバル企業という利点を最も生かした特徴と言える。

 

 同社では、AS/400モダナイゼーションに向けたパートナーとの取り組みも強化している。SAP社のHANA Cloud Platformを活用したモダナイゼーションや、リース会社との提携による支払いリスクの低減などにも取り組んでいる。

 

 最後に林田氏は、「最も大切なのは“気持ち”です。モダナイゼーションはエンジニアにとって、モチベーションの上がらないプロジェクトです。そのため、エンジニアレベルのモチベーションを保つことが重要です。定期的にチームを変えたり、間にイベント挟んだりすることで、モチベーションをコントロールしましょう」と、モダナイゼーションを検討する企業へアドバイスを贈った。

 

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