ITモダナイゼ―ションSummitレビュー|ITモダナイゼ―ションSummit 2016 いつまでそのシステムを使い続けますか?

ニッセイ情報テクノロジー

賢い企業が「マイグレーション」を選ぶ理由

~投資対効果を最大化する最適アプローチ~

 

ニッセイ情報テクノロジーがシステム刷新の支援に当たる、ある顧客企業では、メインフレーム上の既存資産をそのままオープン環境に移行できるティーマックスソフト社製の「TmaxOpenFrame」を活用したストレートマイグレーションの取り組みを進めている。中長期的な視点に立った段階的な取り組みにより、効果を享受しながら確実に最終的なゴールを目指していくというアプローチをとっているのがそのプロジェクトの特徴だ。

 

 

 

「マイグレーション」は“賢い企業”共通のアプローチ

ニッセイ情報テクノロジー株式会社 インフライノベーション事業部 ビジネスイノベーション室 プロジェクトマネジャー 野村 貴司 氏

ニッセイ情報テクノロジー株式会社
インフライノベーション事業部
ビジネスイノベーション室
プロジェクトマネジャー
野村 貴司

 今日では、多くの企業において、これまで長きにわたって稼働してきたメインフレームシステムを、維持運用コストの削減や最新技術の活用などを念頭に「マイグレーション」する取り組みが進められている。「マイグレーションは、システム刷新における投資対効果を最大化するための最適なアプローチであり、“賢い企業”に共通する選択肢です」と、講演の冒頭、ニッセイ情報テクノロジーの野村貴司氏は切り出す。野村氏のセッションでは、マイグレーションの取り組みを進める、ある金属製造業の企業の事例紹介を通して、マイグレーションの実践を通じて目指すべきゴールや乗り越えるべき課題、具体的な解決策などが紹介された。

 

 まず当該顧客の現行システムだが、その中核には富士通のXSP(OSIV/ESP III系)のメインフレーム上で稼働する販売管理システムが据えられており、そこではRDBとしてSymfoware、ファイル・データ転送システムであるHULFT、全銀通信ソフトなどが動いている。

 

 メインフレーム上での処理形式は、オンラインとバッチ形式があり、アプリケーションはすべてCOBOLで書かれている。プログラムの総数は2,200本。バッチについては一般的なJCLではなく、CLISTを中心としたものとなっており、その本数は1,500本。そのほか、画面定義が500本、帳票用オーバーレイが150本、SAMファイル4,000個、RDBテーブル500という資産規模だ。

 

 一方、メインフレームを取り巻くシステムとしては、Windows系のサーバーやOracle Databaseなどで構成される生産管理、会計システム、および分析用のBIツールなどが稼働している。「これらシステムとメインフレームとの間では、日次単位でのデータ連動が行われています。例えば販売管理に伴う取引先との様々な連動は常に発生している状態であるにもかかわらず、データ連動は1日2回が運用上の上限となっている状況です」と野村氏は言う。

 

対費用効果、期間などの問題からメインフレーム脱却が困難だった

 この企業では、従来、その運用するメインフレーム機器を5年のスパンで確実に更改してきた。具体的には更改後、運用が2年目を終えた時点から新システムに向けた検討を開始し、4年目で具体的な方針を決定。5年目には切り替え準備に入るというサイクルだ。検討の段階では、当然、現状の資産分析や業務分析、AsIs-ToBe分析を実施し、新たに生じたニーズの掘り起こしや新技術の適用なども考慮しながら、その都度、例えばERPの導入やオープン環境でのシステム再構築といったものが検討され続けてきた。しかし、業務の適合性や費用対効果、構築期間等を考えると、いつもそうした新たなチャレンジは見送らざるを得なかった。

 

 「前回の更新タイミングは、折しも東日本大震災が発生した直後の2012年3月でした。お客様では震災を受けて、BCP対策の観点からあらためてハザードマップを確認したところ、システムを運用している本社の立地には水害のリスクをはらんでいることが判明。現行のメインフレームシステムでは、DRサイトを構築するには多大なコストを要してしまうという問題に直面しました」と野村氏は説明する。

 

 その一方で経営サイドからは、事業モデルの革新を促進するシステムの実現、およびそれに向けたクラウド、IoTといった最新技術の活用などもかねてより求められていたという。そうした要求のなかには、すでに述べたようなメインフレームと周辺システム間のデータ連携がほぼ日次でしか行えず、ビジネススピードを向上させることができない問題の解消も含まれていた。

 

プログラムをはじめとする全資産のスレートマイグレーションを実現

 こうした要求を背景にこの企業が採用することにしたのが、ニッセイ情報テクノロジーがティーマックスソフト社製の「TmaxOpenFrame」をベースに提案していたストレートマイグレーションだった。その選定の最大のポイントとなったのが、TmaxOpenFrameの活用によりメインフレーム上の既存資産のほぼすべてをそのままオープン環境に移行し、動作させることが可能な点だ。「COBOLアプリケーションはもちろん、CLISTやJCLなどの資産についてもストレートマイグレーションの対象となっていることが、TmaxOpenFrameの大きな特徴です。その結果として、お客様には高度な費用対効果がもたらされる点を高くご評価いただきました」と野村氏は強調する。

 

 その後スタートしたマイグレーションプロジェクトでは、まず資産の「見える化」に基づく資産移行計画および検証に着手。現在、取り組みはこの段階にあるという。今後、プロジェクトは、「見える化」されたアプリケーションやデータをメインフレームからオープン環境の仮想サーバー上へと実際に移行。BCP対策なども含めた「共有化」のフェーズに入る。さらにそれが完了するとビジネスの加速に寄与する最新技術の活用や、社内の各種システムに散在する多種多様なデータを横断的に閲覧、分析、活用するための統合データベースの構築などを含む「柔軟化」へと進んでいくことになるという。つまりここに至り、先ほど経営サイドの要求としてあげられていたビジネス革新を支えるIT基盤の整備へと進んでいくわけだ。

 

 この顧客では、これら「見える化」「共有化」「柔軟化」の各フェーズで構成されるシステム刷新のロードマップを4年以上というスパンによる長期的展望に基づいて描いている。「こうした中期的取り組み、長期的取り組みといった段階を設けずに、一足飛びにゴールを目指そうとする企業やそうした方法を提案するベンダーが多いのも事実。しかし、それを実現するのは容易ではありません」と野村氏は言う。これに対しこの事例の企業では、例えば共有化のフェーズでメインフレームからオープンシステムに移行することによる維持運用コストの削減などのメリットを十分に享受。そこで得られたIT投資上の余力を生かして、次なる柔軟化な取り組みを無理なく進めていくというきわめて、現実に即した実現性の高いアプローチを描いているわけだ。

 

図1ニッセイ情報テクノロジーの支援のもとマイグレーションを推進する、ある顧客では中長期的視点に立った段階的なアプローチで着実に取り組みを進めていこうとしている。

 

 「もっとも、このお客様には、TmaxOpenFrameをベースとした当社のストレートマイグレーションを選択いただいたものの、当初は『本当にそんなことが可能なのか』『統合データベースの作成にはデータやアプリケーションの大幅な修正、改修が必要なのではないか』『現行で確立されている業務運用プロセスに変化が生じてしまうのではないか』といった様々な不安を抱えていらっしゃったのも事実。これに対し当社では、フェーズごとに移行の実現性を確認。POC・移行設計完了時までにお客様のそうした不安を払拭し、安心して取り組みを進めていただけるよう考慮しました」と野村氏は説明する。

 

 本セッションで取り上げられたマイグレーションに取り組む企業のリアルな事例は、今後マイグレーションの取り組みを検討する企業や、いままさに実践に臨もうとしている企業にとっても、きわめて示唆に富んだものとなったはずだ。

 

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