新しい働き方を支えるシステムのあるべき姿とは? ~Windows10 Mobileで働き方はどう進化するのか~

「ワークスタイル変革」の必要性が叫ばれて久しい。しかし、セキュリティや運用管理負荷などの問題から、その実践に二の足を踏む企業が多いのも事実だ。それでは、現状のシステムにどんな課題があり、どのようなシステムにすれば新しい働き方が実現できるのか。アプリ、OS、端末のそれぞれの領域で企業の取り組みを支援するジェーエムエーシステムズ、日本マイクロソフト、VAIOの3社のキーパーソンに取り組みのポイントを聞いた。

企業がワークスタイル変革に踏み切れない理由とは

日本マイクロソフト株式会社 デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 プラットフォームエバンジェリスト 高橋 忍 氏
日本マイクロソフト株式会社 デベロッパーエバンジェリズム統括本部 テクニカルエバンジェリズム本部 プラットフォームエバンジェリスト 高橋 忍 氏

いま多くの企業にとって「ワークスタイル変革」が経営上の重要なテーマとなっている。「オフィスの机だけで仕事をする」という従来型の働き方だけではなく、会社、自宅、外出先など必要な状況で最適に働ける環境で業務を遂行することが求められているのだ。

例えば、育児や介護においては在宅勤務をしながら必要に応じて自宅からミーティングに参加することもあるかもしれない。客先に行った帰りに、いったん帰社して業務をしてから帰宅することなく効率的に働く。そんなワークスタイルは、社員にも経営者にもメリットは大きい。

さらにワークスタイルの変革は、新しい価値の創造にもつながる。「何かの気づきやアイデアが浮かんだ際に、それに関する知識やノウハウを持った社員と即座に密なコミュニケーションがとれる。そんな環境が実現できれば、時間と空間、あるいは組織や役職を超えて社員同士がコラボレーションを行い、仕事の価値を高めることができるようになります」と日本マイクロソフトの高橋 忍氏は話す。

現在は、パソコンだけでなく、スマートデバイスでも動作するオフィスソフトが登場したり、コミュニケーションやコラボレーションのためのツールがクラウドサービスとして安価に提供されている。一昔前に比べてテレワーク環境を構築するハードルは大きく下がった。

ところがその一方で、ワークスタイル変革に二の足を踏む企業も少なくない。そのハードルの1つがセキュリティだ。特にモバイルデバイスは、より高いセキュリティが求められる。万が一、端末を紛失したり盗難されたりすれば、重要な情報が漏洩してしまうからだ。そのためデバイスを紛失した際は、リモートで探したり、リモートからデータを消去したり、デバイスの画面操作にパスワードロックを強制するといったことを、MDM(Mobile Device Management)ツールを通じて行う必要がある。

ただしこうした運用を行っていく場合、おのずと管理負荷は増大する。社内のデスクトップPCなどとは異なるセキュリティポリシーで個々の端末を管理しなければならないなど、管理者が煩雑な作業を強いられるからだ。

株式会社ジェーエムエーシステムズ 事業企画部 プロダクト企画グループ 統括マネジャー 事業企画グループ マネジャー 傳寳(でんぼう)幸宏(よしひろ)氏
株式会社ジェーエムエーシステムズ 事業企画部 プロダクト企画グループ 統括マネジャー 事業企画グループ マネジャー 傳寳(でんぼう)幸宏(よしひろ)氏

また、部門や組織単位で順次導入を進めていくという導入法も問題を大きくしている。「導入時期によってデバイスの機種やOSが違っていたり、OSが同じでもバージョンが異なるといったことも多いようです。そうなると、デバイスやOSに応じていくつものMDMなどの仕組みを運用しなければならず、管理負荷はさらに高まります」とジェーエムエーシステムズ(以下、JMAS)の傳寳 幸宏氏は指摘する。

様々なデバイスやOSが混在している状況は、もちろん利用者にも不都合をもたらす。ノートPC、タブレット、高機能なスマートフォンなど、複数のデバイスを併用し、なおかつOSやインターフェースが混在すれば、それぞれの業務に応じた“使い分け”や業務プロセスが生じてしまい、かえって業務効率が下がる可能性も出てくる。


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マルチデバイスをサポートする統合的なOS環境

こうした問題をいかに効果的に解決するか――。そのための有効なアプローチを提示しているのが「Windows 10」だ。マイクロソフトの提供するこの最新OSでは、デスクトップPCやノートPCのみならず、モバイルデバイスなども含め統合的なOS環境を提供している。

「Windows 10以前では、デスクトップ向けのOS、スマートフォン向けのOS、組み込み用途向けOSといったかたちで、各デバイス環境に応じた異なるOSを提供してきました。それに対しWindows 10では、すべてのデバイスを単一のOSでサポート。単一のアプリケーションがデスクトップのWindows 10やモバイル向けのWindows 10 Mobileでそのまま動くようデザインされています」と高橋氏は説明する。つまり、先ほどのセキュリティの話でいえば、スマートフォンやタブレット、PCといったデバイスを問わず、Windows 10の提供する同じセキュリティポリシーを容易に適応することが可能になるわけだ。

もちろん管理者だけでなくユーザーにとってもメリットは大きい。社外にいてもWindows 10 Mobileを搭載したデバイス上から、社内にいるときとまったく同じように、アプリケーションやデータを利用できるからだ。

さらにWindows 10 Mobileには、「Continuum(コンティニュアム)for Phone」という機能が搭載されており、スマートフォンをPCのディスプレイなどの外部モニターやテレビに接続することで、デスクトップと同様の画面を映し出すことができる。Bluetooth対応のキーボードやマウスを用意すれば、オフィスのデスクトップPCを使っているときと同じ感覚で、Officeファイルの編集なども違和感なく行える。

「例えば、在宅勤務時にWeb会議でミーティングを行う際にも、社内のシステム上にあるExcelやPowerPointなどのファイルを共有・閲覧しながら、ディスカッションを進めるといったこともスマートフォン1台あればカバーできます。Windows 10 Mobileは、スマートデバイス本来の能力を最大限に高めるもの。これにより、従来、社外での業務遂行において避けられなかった様々な制約を取り払うことができるのです」と高橋氏は説明する。


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Windows 10 Mobileを搭載した先進のスマートフォン

VAIO株式会社 法人営業部 VPB事業推進室 ビジネスデベロップメントマネジャー 佐々木 健祐(けんすけ)氏
VAIO株式会社 法人営業部 VPB事業推進室 ビジネスデベロップメントマネジャー 佐々木 健祐(けんすけ)氏

あらゆる場面でスマートフォン1台を使ってビジネスパーソンが業務を行う、こんなことが Windows 10 Mobile なら可能になってくる。こうした未来のワークスタイルを見据え、現在、様々なデバイスが提供されつつある。なかでも企業ユーザーの間で、いま大きな注目を集めているのが「VAIO Phone Biz」である。

VAIO Phone Bizは、ビジネスシーンでの活用を前提に開発されたスマートフォンだ。Windows 10 Mobileを搭載し、Windows PCと高い親和性を備えていることはもちろん、ディスプレイにはフルHDの5.5インチ大画面を採用。WordやExcelなどのビジネス文章の閲覧や編集もしやすくなっている。

「CPUにはSnapdragon 617を搭載しており、同CPUはすでに触れたContinuum for Phoneにも対応しています。搭載するメモリは3ギガバイト、ストレージは16ギガバイトと、モバイル環境でのビジネスニーズに応える上で十分な容量となっています」とVAIOの佐々木 健祐氏は説明する。

当初、VAIOは新しいスマートフォンの開発に向けWindows 10 Mobile OS採用を検討する上で、その決定打になったのが「Continuum for Phone」だったという。「PCの世界、スマートデバイスが将来ワークスペースとして統合されていくと感じて、その流れをいち早くつかむべくOSを決めました」と佐々木氏は振り返る。

写真1:VAIO Phone Biz

写真1:VAIO Phone Biz

ビジネス活用を前提に開発されたVAIO Phone Bizは、Windows 10 Mobileを搭載し、Windows PCと高い親和性を備えるほか、Continuum for Phoneにも対応。アルミ削り出しによるスタイリッシュな筐体も“VAIO”ブランドのこだわりの1つ

また、ビジネス活用における生命線となる通信機能についても、ビジネス用途として徹底したこだわりを貫いている。NTTドコモとの間で密接な協業を行い、LTEの1、3、19、21、3Gの1、6、19の計5バンドに対応。都市部以外でも良好な通信が得られるように配慮している。またSIMフリー機としては珍しく、2つのバンドを束ねて通信を高速化するキャリアアグリゲーションへの対応を実現していることもその大きな特徴だ。

「通信・通話環境は社外で業務を行う上ではいわば生命線です。これからはクラウドにあるデータや資料を頻繁に閲覧することもあるでしょう。新しい働き方を支えるスマートデバイスとして、通信がボトルネックにならないように腐心しました」(佐々木氏)

さらにVAIOならではの外観に対する“こだわり”も踏襲。「筐体はアルミの削り出し。540グラムのアルミの塊を25もの工程で加工しています。また質感や見た目の美しさだけではなく、ボディや液晶面の強化ガラスの強靱性にも十分な配慮を行っており、落下試験なども非常に厳しい条件で実施。製造現場やフィールドなど過酷な環境での利用にも耐える製品となっています」と佐々木氏は強調する。

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UWPアプリとしていち早く市場に登場した「Any3 for Office 365」

写真2: Continuum(コンティニュアム)for Phoneの利用イメージ

写真2: Continuum(コンティニュアム)for Phoneの利用イメージ

スマートフォンを外部モニターやテレビに接続することで、デスクトップ版のWindows 10と同様の画面を映し出すことができる。客先でのプレゼンテーションなどの用途にも最適である

普段はスマートフォンとして業務に使い、時にはContinuum for Phone を使ってPCで業務を行う――。こうした環境を実現するには、デバイスだけでなく、それに対応できるアプリも不可欠だ。そこで現在、Universal Windows Platform (以下、UWP)アプリが期待を集めている。これはすべてのWindows端末から同じアプリケーションを各デバイスに最適なUIで利用できるようにするもの。外出先でスマートデバイスを使い、会社に戻ってきてデスクトップPCを使って作業するときも、まったく同じアプリケーションを同一の操作感で使用できる。

さらにデータをクラウドにおいておけば、外出先ではWindows 10 Mobile からデータを入力し、会社で同じアプリをPCから使って作業を継続するといったことも可能になる。加えて安心して使えるという点も重要なメリットだ。「アプリ自体はWindowsストアに公開される前に、事前にしっかりと審査されるために非常にセキュアであることが保証されています」と高橋氏は説明する。

画面1:Any3 Info

画面1:Any3 Info

共有したい社内ニュースや作業指示などを、スマートフォンの画面上に見やすく表示。最新情報がスタート画面のアプリタイルに通知され、多様なインフォメーションを1画面上で把握でき、スムーズな情報収集も可能だ

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画面2:Any3 Report

画面2:Any3 Report

簡単・スムーズな業務報告を支援するアプリ。タッチ操作による簡単入力で報告書を作成でき、カメラで撮った画像の送信も可能。営業の商談報告、工事現場の進捗報告、視察の現地報告など多様な用途で活用できる

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画面2:Any3 Report

画面3:Any3 Learning

タッチ操作で手軽に解答できる教材を作成でき、動画、画像、音声を活用した研修も簡単に行える。履修状況の管理も容易で、効率的な人材育成を可能にする

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こうしたUWPアプリの代表格とも言えるのが、JMASが提供する「Any3 for Office 365(以下、Any3)」である。これはビジネスシーンで利用頻度の高い5つの機能を網羅したソリューション。具体的には、企業内のニュースや作業指示などを共有できる情報配信アプリ「Any3 Info」、商談時のプレゼンテーションで威力を発揮するファイル共有アプリ「Any3 FileSharing」、顧客ニーズの的確な把握を支援するアンケート集計アプリ「Any3 Enquete」、いつでもどこでも簡単に使える業務報告アプリ「Any3 Report」、そして人材育成をより効果的に行える教育・研修アプリ「Any3 Learning」がオールインワンで提供されている。

また、Any3はマイクロソフトのクラウド型グループウェア「Office 365 」と連携しており、5つのアプリを「Office 365」のメール、スケジュール、Web会議などのコミュニケーション基盤と併せて利用することで、より効果的にスマートデバイスを活用することができる。

Any3はすでにWindows 10ベースのタブレットやスマートフォンに対応。実用的な機能と快適な操作感で、業務の効率化を強力に支援している。すでにワークスタイル変革を目指す企業からの注目度も高く様々な用途で利用されているという。

「例えば、教育・研修用の学習教材をDVDで作成し、従業員に配布している企業も多いかと思います。しかしそうした方法では、配送のコストがかかる上、従業員がその教材を使ってちゃんと学習しているかどうかを知ることができません。これに対しAny3 Learningなら研修用コンテンツを用意し、 Office 365上にアップロードしておけば、後はアプリをインストール済みの端末でコンテンツを更新するだけなので配送コストも不要。各人の履修状況を容易に把握できる機能なども装備しています」(傳寳氏)

※注:Any3には、Office 365を利用していないユーザーのために、独自のCMSが利用できるseap for Windows powered by Any3も用意されている。


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大手医薬品メーカーもAny3の活用で多大な成果を享受

すでにAny3を導入して多大な成果を享受している企業も多い。例えば、大手医薬品メーカーとして知られる中外製薬もその1つだ。同社では、2012年1月からiPadを導入し、MR(医薬情報担当者)が、医師など医療従事者に各種情報を提供するためのツールとして活用してきた。そこでは、タブレットならではの直感的な操作性や機動力を生かしつつ、情報漏洩リスクを最小限にとどめるセキュアな環境も実現。より迅速で適切な情報提供活動に貢献を果たしてきた。

しかし、その一方で課題もあった。iPadは起動が早く便利だが、医師への問い合わせに迅速に回答するには情報の網羅性が不十分であったため、iPadとPCの2台持ちが通例となり、MRにとってはそれが負担となっていたのだ。また、異なる2つのデバイスの活用にかかわる管理者の運用負荷も問題だった。

そこで中外製薬では、MRが利用するデバイスをiPadとPCの2台持ちからWindowsタブレット1台へと統合。同時にWindowsタブレット環境でドキュメントの閲覧やアンケート、自己学習などの機能が利用できるAny3を採用した。

現在同社では、MRなど約2,300名が医療従事者への高度な情報提供活動にAny3 FileSharingなどを活用しているほか、毎月実施される研修の成果を確認するテストにAny3 Learningも利用しているという。

「もちろん、こうした環境の整備を一気に推進できるとは限りません。まずはモバイルワークにかかわる現場のニーズに応えるかたちで、スマートフォンやタブレットといったデバイスにWindows 10を先行導入して試行を開始。それと並行するかたちでデスクトップ環境についても十分な検証を行いながらWindows 10への移行を進めていくといったシナリオが有効でしょう」と傳寳氏は説明する。

今後もスマートデバイスはますます進化していくはずだ。場合によっては、想像もしていないデバイスが登場してくることもあり得る。またそれと同時にOSもより高度な機能を実装していくだろう。

「プラットフォーム、デバイス、ビジネスアプリなど、新しい機能が追加されていく中で重要なのは、管理性と利便性を両立しながら、必要なデバイスやアプリケーションを必要とするユーザーに、すぐに提供できる環境を用意することではないでしょうか」と傳寳氏は語る。ワークスタイル変革を実現するには、最新の技術の進化を無理なく取り込めることが不可欠な要素といえそうだ。


お問い合わせ

株式会社ジェーエムエーシステムズ
https://www.jmas.co.jp/contact/

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Windows10 MobileとOffice365活用によるワークスタイル変革セミナー