じぶん銀行×SASのスペシャリストが語る 顧客に選ばれる企業になるアプローチとは ~顧客ロイヤルティを向上させるカスタマー・エクスペリエンス最適化の実現法~

顧客から選ばれる企業となるためには、新たな感動と価値をもたらすカスタマー・エクスペリエンス(CX)を、いかに創造し続けていくかがカギとなる。スマートフォンをメインチャネルとする
じぶん銀行は、顧客起点でのCX最適化を実現するため、SASのマーケティング・オートメーションを活用。顧客一人ひとりの詳細なプロフィールを理解したONE to ONEマーケティングに着手し始めているという。先進企業が志向するCXと、その実現を支えるデータ分析の具体的な手法や課題、海外の先進事例から見た今後のCXの進化の方向性などについて、両社のキーマンが語り合った。

世界的にもユニークな「スマホ銀行」を展開
~顧客に選ばれるスマホ銀行へ。ロイヤルティを獲得するために不可欠なポイントとは~

SAS Institute Inc. カスタマー・インテリジェンス・プラクティス アジア太平洋地域ドメインリード TIM CHARLESWORTH(ティム・チャールズワース)

SAS ティムSASにおいて、私はアジア太平洋地域の数多くの金融機関のお客様を担当しています。しかし、通信キャリアとこれほど強いパイプを持ち、すべてのサービスをスマートフォンだけで完結できるような銀行を、じぶん銀行様以外知りません。世界的にも非常にユニークなビジネスモデルだと思います。

じぶん銀行 吉川ありがとうございます。ご指摘いただいたように当行はKDDIと三菱東京UFJ銀行が共同出資して作った銀行で、2008年の設立当初からモバイルをメインチャネルとしています。その後、スマートフォンの普及に伴い、現在では、口座開設から円・外貨預金・FXなどの取引、口座振替や電子マネーなどの決済サービスまで、すべてスマートフォンアプリで完結できることに大きな特長があります。

ティムリテールバンキングの世界では、顧客チャネルや決済手段の多様化とともに、それらを差別化戦略の源泉として市場に参入する異業種プレーヤーも増加しています。お客様が自分に最適な金融サービス会社を容易に選択できるようになったことは、競争環境の激化を意味します。いかにお客様に選ばれ、ロイヤルティを獲得するかを考える上ではCXの向上と継続的な改善が欠かせないのではないでしょうか。

吉川その通りです。競争激化の中、お客様との取引を太くしていくことは銀行にとっての重要な課題です。お客様にお取引を増やしていただくためには、お客様との関係性を醸成することが重要です。例えば、お客様に日常的に当行のアプリを使っていただけるようにする。このためにはCXの向上が欠かせません。

 例を挙げましょう。当行において外貨預金は最も成功しているサービスのひとつです。アンケートを実施したところ、じぶん銀行で外貨預金を使い続ける最も大きな理由は、「手数料が安い」などの理由以上に、スマートフォンでの「使い勝手の良さ」だという嬉しいご評価をいただきました。このため外貨預金を利用しているお客様は当行のアプリの使用頻度が高いという傾向があり、このようにエンゲージメントが高いお客様ほど当行で活発にお取引をしていただける傾向があるのです。

 スマートフォンは、お客様との接点として接触時間が非常に長いという特徴を持つデバイスです。朝起きてから通勤時間や昼休み、帰宅途中、そして寝るまでと、いつもお客様の「そば」にある。そうした強みを生かすため、スマホアプリの使い勝手の心地良さ、操作性の高さを追求していくことを当行ではCX向上における重要なポイントのひとつとして捉えています。

ティム使い勝手のいいアプリの銀行サービスでお客様との関係を深耕させていく。それがじぶん銀行様ならではのCXのひとつであるということですね。

株式会社じぶん銀行 経営企画・マーケティング担当 執行役員 吉川 徹氏

吉川そうですね。ご存じかもしれませんが、日本における銀行とお客様の関係は、月1回の給料振込や公共料金の口座振替、また半年に1度のボーナスを定期預金するなど、もともと頻度が高いものではありませんでした。

 しかし我々は、お客様が毎日使うスマートフォンを主たる顧客接点にしていますから、日々アプリを開いて興味ある情報を見ていただいたり、残高を確認したり、totoを買ったりと、気軽に頻度高く使っていただける銀行でありたいと考えています。そこが他の銀行との大きな違いです。

ティムお客様と接する機会やチャネルが増えるほど、お客様の信頼を獲得できるチャンスも多いといえます。今まで金融業界では、銀行であれば銀行間での戦いでしたが、現在は異業種からの新規参入者も増えています。このような状況をどうお考えでしょうか。

吉川確かに現在はコンペティターが既存の銀行ばかりではなくなりました。むしろ楽天市場、Yahoo!、AmazonやFacebookといった、Webを通じてお客様と密な関係を築いている企業が金融サービスのゲートウエイを目指すケースが増えています。とはいえ我々は、三菱UFJフィナンシャルグループ由来の広範囲かつ深度ある金融サービスの業務知識やノウハウを持っていますし、銀行業務にフォーカスしたWebサイトやアプリの中で、お客様の使い勝手や付加価値の向上を目指していくという明確な目標があります。つまり立ち位置が基本的に違うと考えています。

ティムじぶん銀行様の強み、それは他の新規参入企業が持っていない金融取引のデータを自ら持っていらっしゃるということに尽きるのではないですか。

吉川確かにそれは大きいかもしれません。我々はお客様の金融取引のデータをしっかりと持っている。そのため、お客様のいろいろな変化や取引状況と共に、金融マーケットの変化にも応じたコミュニケーションが的確にできる。その強みを生かしていくことが何よりも重要です。

ティムお客様との信頼関係を築く上で、もう1つの親会社、KDDI様=auとの連携はどう貢献していますか。

吉川auは携帯電話を介して多くのお客様とつながっている強みがあります。auはリアルショップを全国に展開しているほか、決済サービスのau WALLET、多彩なモバイルアプリを提供するauスマートパスなどのオムニチャネルを持っています。そうしたチャネルを活用し、まだじぶん銀行を知らないお客様へ広くリーチできる効果は非常に大きい。

 銀行取引に応じてau WALLETポイントが貯まったり、au通信サービスと住宅ローンのセット割を提供したり、auユーザーのお客様に、お得で便利な金融ベネフィットを提供しながら相互のリテンションを強化していく。そうしたエコシステムを通じて、お客様とのつながりや信頼関係を高めていくという取り組みを進めています。

じぶん銀行が見据えるONE to ONEマーケティングとは~顧客起点でのCX最適化に向け、先進的なデータ分析に取り組む~

ティムじぶん銀行様は顧客理解を深め、顧客起点でCXを最適化していくためにデータ分析にも力を入れておられますね。2014年から「SAS® Marketing Automation」をご採用いただき、顧客分析とマーケティング・オートメーションを実施されていますが、どのような効果が出ていますか。

吉川SASのソリューションを導入したことで、お取引データとDWHに格納したデータを使った総合分析が行えるようになり、お客様一人ひとりの詳細なセグメントとプロフィールを理解したONE to ONEマーケティングの実践が視野に入ってきました。我々が一連のデータ分析によって明らかにしたいのは、お客様の金融行動の背景にある様々な要素がどうつながり、どう変化していくかです。

 例えば、お客様が今持っていらっしゃる金融資産がどのくらいで、ご家族の状況はどうなっているのか。お子様は何人いらっしゃり、既婚か未婚か、住宅ローンは、老後どのような人生設計を描いていくのか。そういったお客様ごとのライフプランニングや金融行動に関わる細かな要素やニーズは、年齢や住所だけでは推測できません。同時に、消費性向や金融取引の指向性なども把握していかないと、お客様に最適な商品の提示やアプローチも行えない。

 しかし、分析だけで終わっていてもCX向上にはなりません。CX向上のためには、分析だけでなく、お客様へのアプローチや接点の在り方を進化させることが必要です。そこで、当行は、この6月20日にスマホアプリを全面リニューアルし、顧客コミュニケーションチャネルとして新たな段階を開始しました。その1つを申し上げると、邦銀として初めて「タイムライン」を導入し、お取引に応じた様々な情報を、時系列で取引情報と関連付けて表示する機能を始めました。この機能により、お客様はお金にまつわる出来事を自分ごととして直感的に容易にとらえることができると考えています。
株式会社じぶん銀行 経営企画・マーケティング担当 執行役員 吉川 徹氏
ティム顧客との良好な関係性の構築と維持を目指していく上で、じぶん銀行様の明確なビジョン、今実行している戦略と方向性はとても有効だと思います。当社が関わっている他のお客様の詳細をここで明かすのは難しいのですが、一般論として大規模な銀行の場合、1顧客あたり数千規模の属性を管理されています。取引履歴はもちろん、個人の嗜好や行動パターン、ライフステージの段階、ローリングベースの残高等、すべてを機械学習などの手法を使って分析することで、顧客行動を知り、エンゲージするための競争力の源泉と捉えているのです。

 さらに最近の動向としては、リアルタイムまたは適切なタイミングで、お客様にあった商品やサービスをレコメンドできるかどうかも収益やネットプロモータースコアを左右すると考えられています。その点、じぶん銀行様はKDDI様との連携で、au携帯電話の属性情報やサービス利用情報、オムニチャネルでの購買情報などをトリガーに、最適なレコメンドをプッシュできるポテンシャルを持っているはずです。そうしたソリューションについて、どうお考えでしょうか。

吉川お客様の大切な財産をお預かりし、人生をより豊かにしていただく意味でも、レコメンドには非常に興味があります。ただし、他行と比べてまだ認知度が高くない当行としては、もう少しお客様に役立つ情報やサービスを提供し、信頼関係をしっかりと築いた上で、初めてそうしたご提案をしていくべきだと考えています。同じ情報でもうるさい宣伝と感じるのか、役立つ情報だと感じるかは、信頼関係によって決まると考えているからです。

ティムなるほど。お客様との信頼関係の醸成や成熟度がまず大事であるということですね。それを前提に、お客様の志向やライフステージに合わせて必要な商品・サービスを提供していくことを目指されている。

吉川おっしゃる通りです。ただしSASのソリューションのおかげで、すでに、お客様の身の回りの変化の予兆と、その後に取る行動の相関を結びつけ、的確にアプローチできるようになりました。当行は、6月20日のアプリ全面リニューアルを第1弾に、CXを継続的にレベルアップさせる予定であり、「じぶん仕様プロジェクト」と銘打って、この取り組みを推進していきます。「じぶん仕様プロジェクト」が目指すのは、スマホによる先進性と心地よい使い勝手、わかりやすくタイムリーなコミュニケーション、お客様お一人おひとりに応じたサービス提供、継続的な新機能追加とサービス改善、の4つです。

 今後の継続的なCX高度化の取り組みにおいても、SASのソリューションが重要な役割を果たしていくものと期待しています。
詳細情報・お問い合わせ
株式会社じぶん銀行
URL:http://www.jibunbank.co.jp/
SAS Institute Japan株式会社
URL:
http://www.sas.com/jp
E-mail:
JPNSASInfo@sas.com
TEL:
03-6434-3700(マーケティング本部)