“第三次人工知能ブーム”が到来している。人工知能の技術的課題が解消され、ビジネスなど実社会での応用が可能になったことが背景にある。中でも最大のブレークスルーと言えるのが「ディープラーニング」だ。これまでの人工知能技術とディープラーニングとの端的な違いは、認識や判断にかかわる定義を人が与えるか否かにある。
例えば自動車の写真があって、それを人工知能に「自動車である」と認知させたいとする。これまでであれば、「タイヤが4つある」「フロントガラスが前面にある」「サイドミラーが両脇にある」など、注目すべき特徴を人が設定するというアプローチがとられた。
「これに対しディープラーニングでは、たくさんの自動車の写真を人工知能に見せて『これが車だ』と教えます。すると、人工知能が学習し、注目すべき対象物の特徴を自分で見いだし、与えられた写真が自動車であるかどうかを判断できるようになるわけです」とALBERTの上村崇氏は説明する。
こうしたディープラーニングの活用で、すでにビジネス上の成果を上げている企業も多い。ECサイト上で大量のアパレル製品を扱っているある企業では、顧客にその求める商品をサイト上で検索してもらえるよう、“ワンピース”や“Tシャツ”、あるいは“レディース”“メンズ”“キッズ”といった衣料品のタイプやカテゴリ、色などの属性を表すキーワードを、数万点にも上る商品写真一つひとつにタグ付けするという対応を人手で行っていた。
そうした業務の簡素化を念頭にこの企業では、それまで人手によりタグ付けしてきた膨大な商品データをディープラーニングによってシステムに学習させ、新しい商品写真に対して人工知能が自動的に必要なタグ付けを行うという仕組みを構築。多大なコストを削減することができた。「人間が視覚や聴覚で判断できるようなものであれば、人工知能に同様の判断をさせることが可能であり、ディープラーニングの特質が生かされている典型的な事例です」と上村氏は説明する。
ほかにも、ディープラーニングの応用で実用化ないしは検証が進められているものは多い。例えば、車載カメラの動画から路上に存在する自動車の検出や、道路に引かれた白線などのセグメンテーションを行って自動運転に生かす取り組み。あるいは医療分野でも、患者のMRI画像や心電図の波形などから病変部位の特定や病名の判断を行うといった取り組みが行われている。さらには製造ラインにおける不良品検出や、防犯カメラによる不審行動の検知、混雑予測などの領域においても、ディープラーニングの活用に向けた可能性が広がっている。
ディープラーニングを活用するための環境も急速に整ってきている。マイクロソフトは、音声認識や画像認識、言語認識などをベースとした人工知能の各種機能を実現するAPI群を「Cognitive Services」としてクラウド上で提供。「こうしたサービスを利用して、自社がそのビジネスドメインにおいて蓄積している知識やノウハウと人工知能を融合していくことが、企業に競争優位性をもたらします」と上村氏は語る。
ALBERTでは、そうした顧客ビジネスにおけるディープラーニングの活用を支援するためのサービスを提供している。同社は2005年の創業以来、一貫して分析力をコアとするデータソリューションを提供してきた。国内の名だたる研究機関出身のデータサイエンティストを多数抱え、今日ではディープラーニングに限らず、多種多様な企業におけるビッグデータ活用全般を支援している。
その高度な分析力はもちろん、分析を支援するシステムの構築における高い技術力も兼ね備えていることが同社の大きな特長だ。「ディープラーニングの領域でも、その適用に関するコンサルティングから、学習精度の向上に向けたモデルチューニング、プロトタイプの作成、そして最終的なシステムの構築に至る一貫した導入支援サービスを提供できる体制を整えています(図1)」と上村氏は紹介する。
企業のビジネスに大きな可能性をもたらすディープラーニングだが、カテゴリ的には機械学習の一部と捉えることができる。ディープラーニングも決して万能ではなく、例えば判断にかかわる因果説明などは不得意とされる。そうしたディープラーニングの利用が適さない部分には、目的に応じて他の機械学習技術を採用していくことになる。
現在注目が集まるIoTの領域では、各種センサーデバイスからの情報をクラウド上に集約し、データの集計・加工を行って可視化するというソリューションが多く登場している。そこに機械学習を適用することで、最適化や自動化につなげていくことも可能だ。
例えば、製造現場で振動や音、圧力、温度、流量などの時系列データをセンサーで収集、状態空間モデルを使った分析で、平常時と違う動きをしている異常部位を自動検知して生産ラインの監視に役立てるということも考えられる。
「そうしたIoTの展開において、データの収集、蓄積、可視化に加えて、マイクロソフトの機械学習プラットフォームである『Azure Machine Learning』なども活用しながら、最適化や自動制御までを含めたトータルな技術提供ができる点もALBERTの大きな強みです(図2)」と上村氏は強調する。
機械学習をベースとした人工知能の活用は、企業の今後のビジネス展開において重要なカギを握る。「Cognitive ServicesやAzure Machine Learningといったサービスの活用が効果的ですが、それらを使いこなし、ビジネス上の価値につなげていくには、相応のノウハウが不可欠。ぜひ、データ活用の領域のスペシャリスト集団であるALBERTにお声をおかけください」と上村氏は呼びかけた。