Atlassian Japan Forum 2017 レビュー

Atlassian Japan Forum 2017 レビュー

アトラシアンが明かす強いチームの作り方

組織が構造改革しなければならない理由は

Googleは充実した社食や就業時間の20%を自分のプロジェクトに充てられる「20%ルール」などユニークな取り組みで知られる。岡氏は元Google人事トップの著書『WORK RULES!(ワーク・ルールズ!)』から、Googleの特徴を「The Information Ageの価値観と行動原則」の行動原則に分類して紹介した。例えば「共に働く」では自分より優れた人材を仲間に迎える、「信頼」では思慮深い失敗に報いる、などの取り組みがあるという。「Googleは成果主義の塊のような会社だが、チャレンジやリスクを取る姿勢にはちゃんと報いている」と岡氏は話す。

Googleがシリコンバレーの情報世代の申し子だとすれば、GEは前世紀の産業革命時代の代表企業といえる。GEがどうやって自身を変革してきたのか。岡氏はGEの変革を記録した『GE 巨人の復活』から、「シックスシグマよりもファストワークス」を取り上げた。「以前の人事制度は社内で競争を強いるものだったが、現在は他の社員にどれだけ貢献したかを見ている」という。製造業のGEはソフトウエア事業のGE Digitalを立ち上げているが、ここでは95%がオープンソースソフトウエアを利用しているという。

「組織が構造改革しなければならない理由は2つ。産業中心の社会構造から情報を中心としたオープンでフラットな社会構造に適合すること。そして、古くからある新しい考え方である“貢献”という価値観を取り戻すためです」と岡氏は説明する。これからの世界には「オープン」と「貢献」が欠かせないキーワードになることは間違いない。

アトラシアンが考える強いチーム「4つのステップ」

アトラシアン株式会社
代表取締役
スチュアート・ハリントン 氏

午後の基調講演は、1000社以上の日本企業の顧客を持ち「日本の生産性向上に貢献したい」をモットーとするアトラシアンの代表取締役スチュアート・ハリントン氏が行い、自社のチーム作りを紹介した。

「市場が求めるものが変わっており、“良いものを安く”だけではなく、イノベーションのある製品が求められている。それにはカルチャーの進化が必要」とハリントン氏は話す。グローバルで戦うためにも、これまでとは違うチームが必要だという。

ではアトラシアンはどうやって強いチームを作っているのか。「目標と道しるべ」「オープンな構造」「マインドセットの浸透」「組織のサポート」の4ステップで取り組んでいるという。

「頭がいい人を集めるとそれなりの結果は出る。だが予想外の結果は出ない」とハリントン氏。イノベーションが起きるような強いチームにするためには4つの要因が必要という

「目標と道しるべ」は社員に会社の方向性を示すもので、長期的ゴールの設定(Vision)、ビジョンの実現に重要なテーマ(Themes)、短期的なフォーカスエリア(Focus Areas)、成功基準の定義と測定(Measure)、それぞれの頭文字を取り「VTFM」としている。

現場レベルでは、「OKR(目的:Objective、達成結果:Key Results)」として各チームが目標達成のために何をやるべきかを明確にしている。「責任範囲が明確になり、チームの目標と自分の目標のつながりが理解できる」とハリントン氏。このOKR制度は、GoogleやIntelなども採用しているという。

アトラシアンではチーム力がイノベーションの源泉

「オープンな構造」では、「クロスファンクショナルチーム」を導入している。人材のプールからプロジェクトに必要な能力を借りてチームを作るもので、社員は多くのチームに所属し、会社全体のメリットを考えて作業をする。ハリントン氏は監督、カメラマン、音響担当など全員が一緒に作業する映画製作に例え、「知識の壁を除去して情報が円滑に回る構造が必要」とした。

中心にあるのはコアチームだ。全員が平等な立場で議論できる場であり、「経歴、専門性などが異なる人が集まって議論することで強力なアイデアが生まれ、結果としてスピードも上がる。つまりイノベーションの源泉となる」と説明する。

だからこそ、採用を重視する。多くの社員が採用に関わるようにしており、ビールを一緒に飲む“ビールテスト”などの取り組みもあるという。同時に、「似たような人ばかり集まると新しい発想は生まれない」とも述べ、多様なチームとそれを受け入れる柔軟性が必要だとアドバイスした。

3つめの「マインドセットの浸透」では、新入社員が会社のカルチャーに馴染めるようにする相棒(バディ)制度、ブログでの自己紹介、新入社員が金曜日に自転車でビールを配りながら社員とコミュニケーションを取る“ビールバイク”などを紹介した。

4つめの「組織のサポート」は、情報と手助けの2つで行う。情報では、自社コンテンツコラボレーションツール「Confluence」を使ってイントラネット「EAC」を構築し、社員が情報にアクセスしたり、発信したりできるようにしている。「部署、派閥、上下関係を気にすることなく自分の意見を伝え、他人のフィードバックを聞く。それにはお互いを尊敬するカルチャーが不可欠だ」という。手助けでは、「JIRA Service Desk」を利用して、会社が社員の活動を効率よくサポートしているとのことだ。

チームの健康診断を行う無償のツール

強いチームはチームを構築すれば終わりではない。アトラシアンでは、「Team Playbook」として、3段階でチームの健康状態を把握できる健康診断ツールを用意している。アトラシアンはTeam Playbookを自社Webサイトで公開しており、誰でも利用できる。

日本語を話し日本文化に精通したハリントン氏は最後に、「日本文化の源泉は和、協力、協調、組織力からきている。多様性のあるカルチャーを導入し、全員が尊敬の下でお互いの才能を活用すればチームの能力を最大限に発揮できる」と日本企業への期待を示した。

展示コーナーの様子

ハリントン氏の講演の後は、事例企業講演として、東日本電信電話(NTT東日本)、エムエルアイ・システムズ、ヤフー、野村総合研究所(NRI)の講演者が登壇した。

また、展示エリアでは、Atlassian Solution Partnerであるアークウェイ、グロースエクスパートナーズ、ゴーツーグループ、タグバンガーズ、ナレッジオンデマンド、野村総合研究所、リックソフト、富士通ソフトウェアテクノロジーズがブースを構え、アトラシアンの技術を活用したソリューションを紹介した。

企業のデジタルトランスフォーメーションのために、組織の在り方やワークスタイルについて考えさせられる1日だった。