CASE STUDY Vol.1:セブン銀行 

CASE STUDY VOL1 : セブン銀行 ビジネスを支えるシステム基盤をクラウドへ移行
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「スモールスタート」というコンセプトでアイデアを事業化

伊藤 最近は、新たなアイデアの創出と早期の事業化へ向けてオープンイノベーションに取り組む企業や公的機関が増えてきています。セブン銀行も、こうした領域で何かアクションを起こしているのでしょうか。

小山 日本の金融機関というと自前主義というイメージが強いのかもしれませんが、当社でも既にオープンイノベーションに取り組み始めています。

昨年(2016年)2月には、スタートアップコミュニティを運営する Creww (東京・目黒)と共同で、当社のリソースを活用した新サービスの提案を募る「 Creww コラボ」というプログラムを実施しました。このプログラムで、多様化する働き方に対し、給与の即時払い等の新たな金融・決済サービスを提供するドレミング(福岡市)、ビザの申請業務代行サービスの Residence (東京・渋谷)との協業を予定しています(2017年10月時点)。今年も第2弾として「あなたの生活をもっと便利に! スタートアップと創る新サービス。」を募集テーマに掲げて「セブン銀行アクセラレーター2017」というプログラムを実施しました。

このほかにも、フィリピンの大手銀行である BDO ユニバンクと連携して、いつでもどこでもスマホアプリからフィリピンへ送金できるサービスも提供しています。今後も、外部のパートナーとの協業等で、お客様の利便性を高めるようなサービスを増やしていこうと考えています。

伊藤 そうした新サービスでは、システム基盤としてパブリッククラウドを利用しているそうですね。

小山 セブン銀行では、新しいサービスを提供する際に「スモールスタート」というコンセプトを掲げています。これは、新たなアイデアを事業化する際に、できるだけ早く必要最小限の規模で立ち上げるというものです。

これまでにないサービスは、お客様にどれくらいご利用いただけるかを想定するのが難しいのが現実です。このため、当初は小さな規模で立ち上げて、利用が拡大してきたらサービスの規模を大きくするという戦略を進めています。

こうした取り組みを従来のようなオンプレミス環境で実現するのは困難です。オンプレミスの場合は、事前に利用のピークを想定し、それに合わせたシステム基盤を用意しなければなりません。しかし、想定よりも利用が拡大しなければ余剰なシステム資源を抱えることになります。

これに対して、クラウドであれば小さな規模でサービスを立ち上げることが可能です。ハードウエアを調達する必要もないので、オンプレミス環境での開発に較べ、サービス開始までの期間を大幅に短縮することも可能です。サービスの利用が拡大すれば、必要に応じてシステム資源を増やすこともでき、余剰なシステム資源を抱える必要はありませんし、使った分だけを負担する従量料金制なので、コストの面でもオンプレミスよりもメリットがあります。

セブン銀行は、各種サービスのシステム基盤をマイクロソフトのクラウド基盤「 Microsoft Azure 」上に構築。 BDO ユニバンクと連携して今年8月から提供を開始した海外送金サービスも、この基盤の上で開発・提供している。今後の新サービスは、この基盤上で開発・提供していく計画だ。ドレミングとの協業で今年秋に提供予定のリアルタイム振込機能も、この基盤の上で開発を進めている。

勘定系を含めて「聖域」なくクラウドへの移行を検討

伊藤 現在、さまざまなベンダーが企業向けのクラウドサービスを提供しています。その中から、なぜ Azure を選定したのでしょう。

小山 選定時には複数のクラウドサービスを検討しましたが、当社が掲げた要件を総合的に判断した結果、最終的に Azure に決めました。なかでも決断を後押ししたのが、東京と大阪にデータセンターを設置しており、当社の BCP (事業継続計画)の要件を満たしたことや、オンプレミスで培ってきた Windows システムに対するスキルやノウハウが活かしやすいと判断したことです。

当社が求めるセキュリティ要件を満たしていたことや、 他社のサービスに比べて SLA (サービス品質保証)が充実していたことも選定の大きなポイントになっています。

マイクロソフトでは、金融機関が求めるような厳しいセキュリティ要件に応えるために、これまでに Azure のセキュリティ機能を強化してきた。金融情報システムセンター( FISC )が金融機関等の自主基準として策定した「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」にも準拠し、対応レポートも公開している。

伊藤 既存のシステムも Azure 上に移行していくのですか。

小山 現在、当社は「クラウドファースト」という方針を掲げて、既存のシステムもオンプレミスから Azure への移行を進めています。 Azure を利用することで、セキュリティ対策を含めてシステム基盤の運用管理負担も大きく削減でき、その先にIT投資効率の改善が狙いにあります。

勘定系システムも例外ではありません。聖域を設けずに、できるだけクラウドへ移行していくつもりで検討を進めているところです。

ビジネスに技術革新をいち早く取り入れるという風土が成功の源泉です。 ― セブン銀行 小山敬氏

新たなアイデアの創出と早期の事業化にはオープンイノベーションが欠かせません ― 伊藤元重氏

DX成功の鍵とは

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