CASE STUDY Vol.1:セブン銀行 

CASE STUDY VOL2 : コマツ 建設現場のICT化で顧客の生産性向上に貢献
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システム開発の猶予は半年、「クラウド以外に選択肢はない」

伊藤 コムトラックスでは自社データセンターで稼働するオンプレミス(社内運用)のシステムを使っていましたが、スマートコンストラクションではクラウドのシステムを採用しています。なぜ、システム基盤をクラウドに移行したのでしょう。

赤沼 一番の理由は、サービスを立ち上げるまでの期間が大きく短縮できることです。実はスマートコンストラクションのシステムは、開発期間が半年しかなかったのです。

コマツは2013年度からの3カ年の中期経営計画「 Together We Innovate GEMBA Worldwide 」において「イノベーションによる成長戦略」を掲げています。この一貫として2014年から、建機を販売するだけでなく、お客様の施工プロセス全体に関与するようなソリューションを打ち出すことを構想していました。これを具現化したのがスマートコンストラクションです。

この構想の中で、2015年2月からサービスを提供開始することが決まりました。逆算すると、システムを開発するための猶予は半年しかない。オンプレミスのシステムでは絶対に間に合わないと思い、クラウド上にシステムを構築することを決断しました。

クラウドであれば、稼働後にもシステム資源を拡大・縮退できるのでサイジング(運用するサービスの規模に合ったシステム資源を見積もる作業)が不要だし、ハードウエアを調達する必要もありません。データベースなどのソフトウエアも、 PaaS (プラットフォーム・アズ・ア・サービス)として用意されています。半年でシステム開発を完了するには、クラウド以外に選択肢はないと考えました。

グローバルなサービスに育てていくために Azure を選定

伊藤 クラウドサービスとして「 Microsoft Azure 」を採用しています。選定の決め手は何だったのでしょうか。

赤沼 当社は、海外での売上高比率が約8割、従業員も約6割が外国籍社員というグローバル企業です。スマートコンストラクションも、日本からサービスを提供し始めますが将来的にはグローバルなサービスに育てていくことを計画しています。

となると、全世界にデータセンターを持つ事業者が望ましい。国内でも、 BCP (事業継続計画)の観点から東京と関西の2拠点でディザスターリカバリーの体制を築きたい。当社がクラウドを選定した際には、これらの条件を満たす事業者はマイクロソフトしかありませんでした。全世界に自社でネットワークを持っていてリージョン間の通信も速く、カバーする地域が最も多かったのがマイクロソフトでした。

さらに、契約時の準拠法として日本法を選べたのも、 Azure を選定する決め手の一つになりました。

欧米に本社を置くクラウド事業者では、契約時の準拠法として自国の法律を適用するケースもある。例えば米国法に準拠した契約では、管轄裁判所に米国の裁判所しか選べない。この場合、何らかの訴訟が発生すると、米国の裁判所において米国法に基づいた判断が下される。日本法に準拠していれば、日本法に基づいた裁判が国内の裁判所で行われることになる。

伊藤 今後も、コムトラックスやスマートコンストラクションのように最新のテクノロジーを活用した変革、つまりデジタルトランスフォーメーション( DX )に積極的に取り組んでいこうと考えていらっしゃるのでしょうか。

赤沼 個人的には、これまでの取り組みを DX だとは捉えていません。コマツでは、これまでに①機械本体の商品力を向上させる「ダントツ商品」、②機械の見える化に取り組む「ダントツサービス」、③お客様に建機も含めたトータル的な価値を提供する「ダントツソリューション」――と段階を踏んでイノベーション戦略を実践してきました。コムトラックスがダントツサービス、チリやオーストラリアの鉱山で導入されている Autonomous Haulage System (AHS:無人ダンプトラック運行システム)やスマートコンストラクションがダントツソリューションと言えます。

DX というと、これまでとは不連続な革新的な取り組みという意味合いが込められているイメージがありますが、当社の場合は、これまでの取り組みの延長線上にスマートコンストラクションがあると考えています。

コマツではイノベーションを「顧客の新しい価値の創造」と定義しており、この姿勢はいつの時代でも不変です。新しい価値を創るために新しいテクノロジーを活用する――こうした取り組みを、これまでもやってきたし、これからも継続していきます。今後のイノベーションでは、3次元データなど膨大な量のデータを扱っていくことになるので、クラウドの活用がさらに広がっていくでしょう。

伊藤 不連続な革新とは捉えていらっしゃらなくても、提供する価値の変化とともにお客様との関係は大きく変わっています。デジタルテクノロジーを活用した変革なので、 DX と呼んでよい取り組みだと思います。

赤沼 そういう意味では、 DX だと位置付けられるかもしれませんね。

新しい価値を創るために新しいテクノロジーを活用する――
こうした取り組みを、これまでもやってきたし、これからも継続していきます。 ― 赤沼 浩樹 氏

提供する価値の変化とともに、デジタルテクノロジーを活用して
お客様との関係を変革させているんですね。 ― 伊藤 元重 氏

DX成功の鍵とは

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