CASE STUDY VOL3 : ブリヂストン デジタル戦略の推進でソリューション事業者へと変革

タイヤメーカー世界最大手のブリヂストンが、最新のデジタルテクノロジーを駆使した新サービスを相次いで投入している。「タイヤの売り切り」ビジネスから、顧客の課題を解決するソリューションプロバイダーに軸足を移すことが大きな狙いだ。同社は、この戦略を加速させるために「デジタルソリューションセンター」を2017年1月に新設。伊藤元重氏が、同センターを率いる三枝幸夫氏に話を聞いた。

CASE STUDY VOL3 : ブリヂストン デジタル戦略の推進でソリューション事業者へと変革

タイヤメーカー世界最大手のブリヂストンが、最新のデジタルテクノロジーを駆使した新サービスを相次いで投入している。「タイヤの売り切り」ビジネスから、顧客の課題を解決するソリューションプロバイダーに軸足を移すことが大きな狙いだ。同社は、この戦略を加速させるために「デジタルソリューションセンター」を2017年1月に新設。伊藤元重氏が、同センターを率いる三枝幸夫氏に話を聞いた。

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「売り切り」ビジネスからソリューションプロバイダーへ

東京大学 名誉教授
学習院大学 国際社会科学部 教授
伊藤 元重 氏

伊藤 三枝さんは、2017年1月に新設された「デジタルソリューションセンター」を率いてらっしゃいます。まずは、この組織がブリヂストンの中でどのような役割を担うのかを教えていただけますか。

三枝 現在、当社はタイヤ等の製品を製造・販売する「売り切り」のビジネスから、お客さまの困りごとを解決するソリューションプロバイダーになるべく、全社を挙げた変革を推進しているところです。このようなソリューションでは、最新のデジタルテクノロジーを駆使することが欠かせません。デジタルソリューションセンターは、ブリヂストンにおけるデジタル改革推進を統括する組織です。

私たちの業界は現在、100年に1度の変革期に差し掛かっていると考えています。10年くらい前であれば、品質の良いタイヤをつくれば、それが競合他社との差別化要因になりました。しかし、技術が成熟した結果、タイヤでもコモディティ化が進みました。もちろん、高品質な商品を開発・製造することには継続して取り組んでいますが、それだけでは差異化が難しくなってきたのです。

株式会社ブリヂストン
執行役員
チーフ デジタル オフィサー 兼
デジタルソリューションセンター担当
三枝 幸夫 氏

さらに、 IoT (モノのインターネット)の進展によって、お客様がお使い中のタイヤからも情報を収集できるようになり、新たなサービスを開発することが可能になりました。そこで、デジタルテクノロジーを駆使したソリューションを提供するビジネスに軸足を移そうという経営判断に至ったのです。

センターを設置する前も、事業ごとにデジタルサービスを提供していました。しかし、事業単位ではできることに限界があり、潜在能力を生かしきれていませんでした。社内にあるデジタルサービスのノウハウを集約して、より付加価値の高いサービスを創出する――これが、デジタルソリューションセンターのミッションです。各事業でデジタルサービスを開発する際には、当センターが事業横断で見る体制になっています。これによって、同じような作業を複数の部署で繰り返さずにすむので、生産性が高まるというメリットもあります。

ソリューションプロバイダーへ向けたロードマップとして、ブリヂストンでは以下の3つのステージを設定している

 ステージ1・ Digital for Bridgestone: 自社のものづくり等の業務プロセスを革新する

 ステージ2・ Digital for Customers: 顧客に提供するソリューションを開発する

 ステージ3・ Industry level Ecosystem play: 顧客やパートナーと連携してエコシステムを形成する

ステージ1に該当する取り組みでは、例えば AI (人工知能)を使ってタイヤを全自動で成型する装置「EXAMATION」を開発し、2016年5月から滋賀県の彦根工場で稼働させている。今後は、ステージ2からステージ3に該当する取り組みが加速することになる。