CASE STUDY Vol.4:クボタ

CASE STUDY vol4 : クボタ 農業の「入り口から出口まで」のソリューションを提供する企業へ
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勘や経験に代わる、農業に関する様々なデータを活用するサービスで顧客の農場経営を支援

伊藤 もう一方の「農業経営に関する情報の一元管理」では、どのようなことに取り組んでいるのでしょう。

北尾 これには大きく2つの取り組みが含まれます。1つ目は、私たちの社内にある多種多様な情報を一元化することです。今までは、お客様の経営を支援できるような情報が、オンプレミス(社内運用)として運用していた業務システムに分散していましたが、これを「 Microsoft Azure 」上のシステムに統合し始めています。 Azure のクラウドサービスを利用して高度な分析ができる環境を構築し、農業経営に新たな付加価値を与える知見を見いだしていこうと考えています。

2つ目は、IoT(モノのインターネット)やモバイルなどの最新技術を駆使して、お客様の農業経営に関する様々なデータを一元管理し活用できるようにして農業経営を効率化する仕組みです。これを「 KSAS (クボタスマートアグリシステム) 」というサービスとして提供しています。

KSAS を一言で表現すると、農業機械とIoTやICT(情報通信技術)を利用して、作業・作物情報(収量、食味)を収集し活用することで、「儲かるPDCA型農業」を実現するサービスです。勘と経験に頼らず、圃場ごとに、土壌の状況や作業内容、作物情報を正確かつ効率的に管理することが可能になります。スマートフォンやタブレット端末と連携して、現場の方が作業内容(作業日誌)を登録する仕組みや、現場の方に作業内容を指示する仕組みも備えています。

このシステムの核となる当社製の収量食味コンバインは、収穫した米の水分含有率・タンパク含有率を測定する「食味センサー」と、収量を測定する「収量センサー」により、それらのデータを自動的に収集する仕組みを搭載しています。米の食味はタンパク質と水分に大きく左右されるので、圃場ごとの収穫量・タンパク質・水分のバラツキを正確に把握出来れば、それに基づく最適な施肥設計が可能となり、結果として付加価値の高いおいしい米をより多く生産することが可能になるのです。

現在は自前のデータセンターとAzureで管理をしておりますが、順次Azureの比率を高めていく予定です。このほかにも、現在オンプレミスで稼働しているシステムをできるだけAzureに移行していこうと考えています。

伊藤  KSASを今後も進化させていくのですか。

北尾 そうですね、ご説明させていただいたとおり稲作における農業機械の一貫体系の中では、トラクタやコンバインなどの農機や米の乾燥調整作業に使用する乾燥システムとのデータ連携によるPDCA型農業の実現に向け着実に開発を続け、ほぼ完成に近づいてきています。今後は、稲作だけではなく、麦・大豆など他の作物にも展開していきたいと考えています。

また、2017年8月から水田センサーの実証実験を開始しており、低消費電力のネットワーク技術を活用して、遠隔地から水位・水温のデータを測定する仕組みを開発しています。稲作地帯という広範囲エリアにおける水田見回り作業の削減や省力化を目指しています。

クボタでは、 KSAS を発展させる方向性として、以下の3段落を想定しているという。

●ステップ1:稲作機械化一貫体系とデータ連携による日本型データ農業の実現
①乾燥システム、および中間管理機との情報連携、②稲作→畑作・野菜作へ展開

●ステップ2:日本型精密農業の確立
気象予測、圃場環境(水位、土壌肥沃度(植物を育てるために適した土壌かどうか)等)、生育情報(リモートセンシング)等のビッグデータの活用による栽培プロセスの精密な管理(精密施肥・施薬、水管理)

●ステップ3:AIなどによる高度営農支援システムの構築
①作付計画や作業実行プラン(人や農業機械のマネジメント)、さらには事業計画の策定を支援、②自動農機の最適運行ルートを作成

ビジネスモデルの変革に向けてクラウドが欠かせない存在に

伊藤 顧客に提供する新しいサービスはクラウド上で開発していくのですか。

北尾 そうなると思います。農業機械メーカーから農業領域全体のソリューションへとビジネスモデルを変革している当社にとって、新しいサービスをいち早く立ち上げることは重要な課題です。クラウドを利用すれば、リードタイムを大きく短縮できます。ハードやソフトを調達しなければならないオンプレミスとはスピード感が違います。

伊藤 クラウドサービスとして、なぜMicrosoft Azure を選定したのでしょう。

北尾 ほかのクラウド事業者のサービスよりも、セキュリティ対策の堅牢性やサービスの柔軟性と拡張性、価格の面で優位性があったと判断しました。最近では、AIやIoTをはじめとする最新技術を活用したサービスが相次いで登場している点も評価しました。将来にわたっての技術開発、そしてそれを活用したサービスの提供に期待しています。

新しい価値を創るために新しいテクノロジーを活用する――
こうした取り組みを、これまでもやってきたし、これからも継続していきます。 ― 赤沼 浩樹 氏

提供する価値の変化とともに、デジタルテクノロジーを活用して
お客様との関係を変革させているんですね。 ― 伊藤 元重 氏

DX成功の鍵とは

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