人気グルメサービスRettyのAI開発ケーススタディ(前編)50万円で実現するAI活用法

  • Writer : MOTOKI HONMA
  • Data : 2017/12/14
  • Category : 業務改革

ソフト面でもハード面でも
AI基盤を構築する環境は整っている

社内にノウハウや専門的知識を持つ人材がないにもかかわらず、AI活用基盤を1から開発したことと併せて、驚かされるのが、基盤構築にかかったコストの額。これまでに投じた開発コストが人件費を除くと、たった約50万円で済んでいるというのだ。

「現在、AI活用が盛んに行われるようになりましたが、その背景には開発ツールが揃ったという事実があります。かつてはこのようなビッグデータを解析する仕組みを作ろうとすると専門的で難解な論文を大量に読み、すべて自分で組んでいく必要がありました。しかし、現在は、Googleが公開している『TensoeFlow(テンソルフロー)』のように機械学習に用いるためのソフトウェアライブラリがオープンソースで提供されているので、そのようなものを使えば、比較的簡単に実現できます。そして、AIを動かすマシンに関しても、昔はデータセンターに設置されるようなスーパーコンピュータを使わなければ実現不可能でしたが、いまでは数万円で入手できる高性能のGPU(グラフィック処理ユニット)を利用したもので十分。弊社では、秋葉原でパーツを購入して組み立てたものを使っていますが、2017年上期の段階で5台、1台約10万で調達しているので、総額は約50万円になります」と樽石氏は説明する。

またコストを抑えるための工夫は、運用時にも及ぶ。

「扱うデータの量が増えるとAIが行う計算量も当然増えます。そうすると、マシンの処理速度を速めたり、台数を増やすことが必要ですが、実はAIの計算は常に同じ計算量が必要な訳ではありません。もう少し具体的にいうと、AIの計算には大きく「学習」と「学習に基づいた推論」があるのですが、この2つのうち「学習」の方でたくさんの計算が必要です。なので「学習」計算をある時にバーッとやって、それが終わったら使わないという感じなので、そのような際には、マシンそのもの増やすのではなく、クラウド事業者が持っている基盤を一時的に借りながら運用しています。ただ、この方法は理想的ではあるのですが、システムが少し複雑になってしまうとうデメリットもあります。結局、総合的な判断が必要になるということですね」(樽石氏)とのことだ。

後編では、AI導入の効果や成功の秘訣などについて話を伺う。