人気グルメサービスRettyのAI開発ケーススタディ(後編)AI導入成功の秘訣、教えます!

  • Writer : MOTOKI HONMA
  • Data : 2017/12/19
  • Category : 業務改革

AIの構築と活用はどんな企業でも可能である

このような話を紹介すれば、「自社でもAI基盤を構築して成果をあげたい」と思うのは当然だ。そこで「同じことを他社でもできるのか?」という質問を樽石氏にぶつけたところ、「やってみたいというエンジニアがいれば、1人でも実現できると思います。先に話した通り、いまはAIを活用する環境が整っているので――」という答えが返ってきた。

そして、AIをビジネスに活用したいと考える企業に次のようなアドバイスを送る。

「AIが得意な作業は、ルーチンワーク――単純作業だけどずっとやり続けるようなものが向いています。でも、実際にAIをどう使うのかを決めることが非常に難しいのです。たとえ話をすると、AIは電気と同じだと思います。電気が発明された直後に『電気で色々できます』といっても使う側は何に役立つかわからない。これで『明かりがつきます』『ご飯が炊けます』といって、照明や炊飯器などを提供することで、初めてその価値がわかるのです。AIもこれと同じで『AIで色々できます』といっても、今は何ができるのかみんなよくわからないのです。ですので、これからAIを活用したいと考えている企業はできるだけ幅広く色々な事例を見ることをおすすめします。そうすれば、自社でどのようなことに使えるかが見えてくるのではないでしょうか?」

今回紹介しているRettyの画像解析や文字解析をはじめ、チャットによる問い合わせで、コメントによるユーザーの振り分けに使われていたり、天気予報の記事作成に利用されたりと現在注目を集めるAIを活用した事例は枚挙に暇がない。まずは、Webサイトや専門誌などで取り上げられているそのような情報を参考にすることだ。

また、プロジェクトを成功に導く秘訣として「62のアイデアから、プロジェクト化し、段階的に数を絞っていったという話をしましたが、特に取り組みを始めた1年間は、なかなか成果が見えないので、そのプロセスについてのレポートを全社会議で発表するなどしてきちんと出すようにしました。これはプロジェクトを継続するにあたって非常に重要だったと考えています。また、このような開発では、デモを行うことがとても大事で、まずは作って動かしてみることです。その結果、少しでも手応えを感じれば続けていけばよいのです」(樽石氏)ということだ。

より人の心に訴える
サービスを実現するために

今後、AIで実現したいことについて、樽石氏は「AIが語られる時、『技術的特異点(シンギュラリティ)』ということがよく言われますが、心技体の“心”の部分でテクノロジーはまだまだ人間には及びません。“体”の部分は産業革命で、“技”の部分は現在のテクノロジーで置き換えられつつあります。しかし、“心”の部分が置き換わるのはまだ先のことだと思います。そして、今後、我々はそのような“心”――いわば人の本質の部分に訴えるサービスを、AIを活用することで実現していきたいと考えています。例えば、『人』と『人』が同じ食べ物を食べ、時間を共有することで、『心』がつながっていく、そういった世界作りの道具になるAIを作りたい」と語る。

Rettyは、先に紹介した焼き鳥屋の例のように、特定のニーズに対する飲食店を表示する機能が利用可能になりはじめているという。そこまで実現していることを考えると、樽石氏が思い描くサービスは意外と早く実現するのかもしれない。

さて、今回の記事で、AIの活用は、意外とハードルが低く、決して特定の企業に限られたものではないことがお分かりいただけただろうか? 「何らかのコンピュータシステムをビジネスに使っているのなら、AIが貢献できることはあるはず」だと樽石氏は語るが、思い当たる企業はAIの活用を検討してみる価値がありそうだ。

AI活用でRettyはどのような進化を遂げるのか。今後も注目していきたい。