チームスピリットが運営する働き方改革研究所とは〜株式会社チームスピリット 代表取締役社長 荻島 浩司 氏(前編)

  • Writer : MIKIHIKO NOMOTO
  • Data : 2017/12/7
  • Category : デジタル活用、働き方改革

働き方改革研究所の活動と今後

ーー働き方改革研究所では、どのような活動が行われているのですか。

これまでは、月に1度のペースで勉強会やイベントを行ってきました。働き方改革研究所は、働き手の成長、組織・企業の働き方(エンパワーメント)、新しい市場の創造の3つをテーマとしており、竹中 平蔵氏のラウンドテーブルや、自民党の生産性革命推進戦略事務局長の平 将明氏のビジネスミーティング、八代 尚宏 昭和女子大学グローバル学部長を招いた勉強会などを行い、単に講演を聞くだけでなく、働き方改革のビジョンや進め方についてみんなで議論できる場を作ってきました。

ある程度の方向性は見えてきたので、今後は働き方改革のビジョンをまとめて発表していくことも行っていきたいと考えています。また、これまではチームスピリットの社内プロジェクトとして働き方改革研究所を運営してきましたが、将来的に一般社団法人化して広く会員を集め、教育や分析活動なども行えるような団体にしていきたいと考えています。

ーー働き方改革研究所のHPを見ると、法律を知る、働き方を見直す、生産性を考える、多様性を受け止める、といったコンテンツが提供されています。たとえば、法律に関して、どのような点を注意しなければならないのでしょうか。

法律全般に言えることですが、法律にはこれをやるとよいということは書いておらず、書かれているのは原則論だけです。一番の問題は、自分たちは原則に従っていると思っていても、実態は違っていて、法律に反していることがあるということです。たとえば、年俸制にしているベンチャー企業は多いと思いますが、労働基準法の原則に年俸制はなく、給与の決め方を定義している言葉でしかありません。

1年に何時間働いても同じ給料ということが年俸制と勘違いしている場合が多いですが、年棒を決めて、それ以外の残業手当などを出さないという働き方は、日本の労働基準法に反していることになります。それに近い働き方として裁量労働制がありますが、行える業種は限られており、認定されていても期間が決まっているので注意が必要です。働き方改革を知るうえで、労働基準法をしっかりと知ることが非常に重要だと考えています。

ーー日本企業の働き方と海外では、どのような違いがあると考えていますか。

どの国の企業であっても、業務に無駄があって仕組みを変えなければならないという課題は同じだと思います。バラバラにデータが置かれていて、人の手を使ってチェックしているような無駄があるのは同じでしょう。とは言え、シリコンバレーやサンフランシスコの企業の話を聞くと、大きな違いがあると感じることがあります。これらの企業では、ゴールや目標が最初にあり、そこに向けて仕組みを作っており、やることや企業統治が明確であると思います。

日本は、労働基準法がかなり製造業向けに作られており、労働時間8時間というのが基本となっていますが、働く時間に対する考え方も大きく違いますね。TeamSpiritを海外展開しようと考えたときに、シリコンバレーの労働法に詳しい弁護士に相談したことがありますが、シリコンバレーでは、時給制の人が1割、成果型の人が7割、残りがインディペンデントコントラクターで、9割くらいが時間にとらわれずに働いていて、2〜3割の人が会社に所属せずに働いていると言うのです。

日本では、ほとんどの人が月給制で、時間外に残業手当が付くと話すと、その弁護士はしばらく考えて、それは時給制じゃないのか、と聞いてきました。

ーー時間や報酬に対する考え方がかなり違っているのですね。

日本でも、最近は同一労働同一賃金ということが言われるようになってきましたが、非正規の人の賃金を見直すことばかりに目が向けられているような気がします。同一労働同一賃金は、ひと言で言えば、年功序列をなくすことだと私は考えており、正しい成果報酬の仕組みを作ることが重要だと考えています。たとえば、米国の先進的な企業では、上から指示されるのではなく、自分が何をやるかをプレゼンして、週次月次でマネージャーに報告し、成果に合わせて報酬が支払われます。

1つのプロジェクトに6人必要な場合、7〜8人と余裕をもった人材配置をしており、成果が出ない人は別の部署に回されて、新しい人材が入ってくるような仕組みになっています。企業によっては、社内採用のためのエージェントが存在する場合もあるようです。このようにして、短い労働時間で休みも多くもらえるが、成果が出せなければ仕事がなくなるリスクも負っているという働き方となっています。そのため、短い時間で集中でき、生産性高く働けるようになっているのだと思います。

後編では、働き方改革の実態や課題について、さらに掘り下げてお話を伺います