伝統×デジタル技術で世界に注目される
seccaが金沢でものづくりを行う理由
金沢で再会した元工業デザイナー2人が生み出すもの〜secca.inc 写真左:取締役CCO 柳井 友一氏 右:代表取締役CEO 上町 達也氏(前編)

  • Writer : Motoki Honma
  • Data : 2018/01/15
  • Category : デジタル活用、働き方改革

新参者を受け入れてくれる
気風がいまだ残る町

以上のような経緯で金沢で活動を行っているseccaだが、この町でクリエイティブな活動を行う魅力について、柳井氏は次のように話す。

「刺激を受けられる作り手さんが、身近にたくさんいることが一番の魅力です。ものづくりで躓くことは結構ありますが、そんな時に気軽に相談できる同じ意識の仲間がいるのはやはり心強い。また、町の大きさもちょうどよいサイズで、距離が近いからこそ、ジャンルの違うクリエイター同士のコラボレーションもしやすいと思います」

seccaでは、陶磁器だけでなく、漆芸や金箔、染色など、金沢に根付く工芸の作家とのコラボレーションを積極的に行っている。そのようなことが実現できるのもこの土地ならではということだ。

上町氏は、多様性を受け入れる雰囲気を魅力に挙げる。

「金沢の経済界の素敵なところは、町のためになる進化や面白いことなら、新参者でも受け入れてくれる気質があること。だからこそ、地元の老舗企業の方々が僕らのような人間にも『どんどん挑戦しろ』と言ってくれるのです。それは加賀藩前田家が、文化政策に力を入れ、そのために全国から技術者を集めたという歴史背景が関係していると思いますが、地元の人のフラットな姿勢は、本当にありがたい」という。

さらに上町氏も柳井氏も「地方で仕事をすることに関して、デメリットを感じたことは全くなく、むしろメリットの方が大きい」と声を揃える。

「東京には7年間住んでいましたが、1人になって考えられる時間が少ないと感じていました。確かに東京には情報や刺激があふれていますが、それを自分のものにするためには1人でじっくり考えて、反芻する時間が必要です。でも、東京だと、どうしても時間に追われてしまいますし、どこに行っても人がいるので、そういう時間がなかなか持てない。その点、地方だと1人の時間を作ることはそんなに難しくありません。また、東京には週1回程度の頻度で行きますが、往復の移動中も考えを深めるにはもってこいの時間ですね」(上町氏)

楽器職人の北出 斎太郎氏(右)も2016年よりseccaへ参画している