伝統×デジタル技術で世界に注目される
seccaが金沢でものづくりを行う理由
金沢から日本のものづくりを見つめなおす〜secca.inc 写真左:取締役CCO 柳井 友一氏 右:代表取締役CEO 上町 達也氏(後編)

  • Writer : Motoki Honma
  • Data : 2018/01/17
  • Category : デジタル活用、働き方改革

伝統は革新の連続なり――
伝統を足かせにしてはならない

さて「『伝統工芸』とは、多くの人が考えるように、単に過去を見向いて『古き伝統を守る』ものではありません」と上町氏は強調する。

左:株式会社 雪花 取締役CCO 柳井 友一氏
右:株式会社 雪花 代表取締役CEO 上町 達也氏

「現代に残る伝統工芸や名品と呼ばれる工芸品を生み出した人たちは、ただ過去の手法を踏襲しただけでなく、先駆者――つまりイノベーターだったはず。ですので、僕たちは、過去のやり方を守ることだけが『伝統工芸』だと思っていません。過去から現在、そして未来に続く、ものづくりをアップデートしていくことが重要だと考えています。もちろん、そのためには過去の技術や歴史から学ぶことが必要です。そして、その上で、今の時代の考え方や技術を反映して、自分たちなりの意見に基づいたチャレンジをしていかなければ、未来に伝統工芸と言われるようなものを、我々は生み出せないのではないでしょうか?」(上町氏)という。

だからこそ、seccaの器には目的や必要に応じて様々な素材が用いられる。陶器だけでなく、木やガラスはもちろん、先述したシャンパングラスのように樹脂も採用されるのだ。

一般的な伝統工芸でいえば、樹脂の使用は許されないことが多いだろう。それは伝統を軽んじる行為だとみなされることもある。

確かに利益を第一に考えたプラスチック製の漆器は、伝統工芸品ではなく工業製品である。それはフェイクだからだ。

しかし、その器の用途を考えて樹脂を用いることが適正だというのならどうだろうか? それはフェイクではなく、本物であるというのが、seccaのこれからの工芸への考え方だ。

伝統は革新の連続なり――。これは金沢の老舗酒蔵の家訓として受け継がれる言葉だという。

伝統に縛られていては、革新は生まれない。伝統と革新が積み重なっていくことで、はじめて次世代に残る伝統が生まれていくのである。同社のものづくりは、まさにこれを地でいくものなのである。