中堅・中小企業は、なぜソーシャルメディア活用が進まないのか?ソーシャルメディア活用の基本を考える~アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 取締役CMO 徳力 基彦 氏(前編)

  • Writer : 野本 幹彦
  • Data : 2017/10/27
  • Category : 業務改革

ソーシャルメディアの始め方と広げ方

ーーでは、これからソーシャルメディアを活用しようと考えたときには、何から始めればよいのだろうか。徳力氏は、「個人的には、いきなり企業公式のソーシャルアカウントを作るのはよくないと考えています」と説明する。

どうしても、企業はTwitterやFacebookをソーシャルメディアマーケティングのためのツールと考えてしまいますが、そもそもソーシャルメディアはユーザー同士がコミュニケーションするためのサービスで、企業が広告宣伝に使えるというのは付加的な要素でしかありません。まず、ユーザーの立場で使ってみることが大事です。たとえば、飲食店の店長が自分の名前でソーシャルをやっていて、お客さんや常連さんと友達になるほうが、店のFacebook公式ページを作るよりも、スムーズなコミュニケーションが行える可能性もあります。

たとえば、マスマーケティング以前の江戸時代は、口コミによるマーケティングがほとんどだったと想像できます。しかし、マスマーケティングによってお金をかければ売り上げを上げられるようになり、重視するべきポイントがおかしくなってしまったと考えています。本当によい製品とサービスを作って、それにお客さんが感動すれば、他のお客さんに伝わっていくはずです。広告宣伝という文脈で、宣伝すれば買ってくれるという思い込みでアカウントを運用してもうまくいきません。まずは、企業よりも個人でアカウントを取って、日常会話の場がオンラインに移ったという感覚をわかってから、マーケティングにどのように役立つかを考えるべきだと思います。

ーーさらに、徳力氏は、「新しいものに取り組むときには、ボトムアップとトップダウンのエネルギーをシンクロさせる必要がありますが、日本の中堅・中小の経営者は年配の方が多いため、ボトムアップで取り組んで、小さい成功を重ねながら周りを味方にしていってほしい」と話す。

会社の中に、創意工夫をして、ユーザーとコミュニケーションを取ろうとする人材がいるかどうかが重要ですね。経営者の方には、家族とコミュニケーションするだけでもいいので、まず個人で使ってみることをお勧めします。自分たちの子供や若い人たちがどうソーシャルメディアを使っているかを体感して、経営に役立つものだと気付いてほしいですね。

ボトムアップの場合は、ソーシャルメディアはテクノロジーととらえるのではなく、お客さんとつながる手段であることを経営者にわかってもらう努力をすることが大切です。たとえば、Twitterの投稿だけを集めて経営者に見せても、ネットユーザーが何か言っているとしか思われません。しかし、この投稿は、いつもの常連さんの○○さんですよ、とリアルなお客さんと紐づければ、経営者の目の色は変わっていくはずです。

ソーシャルメディアを使っているお客さんと、経営者の座談会を開催するといったことも有効でしょう。TwitterアカウントやFacebookページを作っても、最初はフォロワー数を多くすることに注力するよりは、お客様とのコミュニケーションの選択肢が増えたぐらいに考える方が安全です。少数でも双方向でオンラインでコミュニケーションすることの意義が見いだせるようであれば、継続することで小さな成功を積み上げていくことができるようになると思います。

次回、後編では徳力氏が考えるテクノロジー活用や、徳力氏自身、
そしてアジャイルメディア・ネットワークでの働き方について聞いていく。