徳力氏が考えるテクノロジー活用と働き方改革組織や個人によって働き方改革は異なるはず~アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 取締役CMO 徳力 基彦 氏(後編)

  • Writer : 野本 幹彦
  • Data : 2017/10/30
  • Category : 業務改革

働き方改革と徳力氏の働き方

ーーでは、大きく話題として取り上げ続けている働き方改革について、徳力氏は、どのような考えなのだろうか。

現在の働き方改革は、政府や組織が決めたとおりに働き方を変えれば、みんなが幸せになるという考え方の元に進められている印象が強いです。組織の論理を重視して、強制的に早く帰るようにするというのは、上司や周りが帰らないので帰れないといった弱い社員を守るためには有効だと思います。しかし、単に労働時間を減らすだけでは、矛盾が生じてしまい、家に持ち帰って残業申請もできずに時間外手当が減らされただけということになりかねません。

働き方改革全体を否定しているわけではありませんが、国のトップダウンで強制的に行うことの無理が生じているようには感じています。プレミアムフライデーで金曜日に早く帰るよりも、金曜日は遅くまで仕事をして土日に家に仕事を持ち帰らずにゆっくり休みたいという人もいるでしょう。どちらが正しいということではなく、たとえば労働基準法は弱い立場の人を守るという点では重要ですが、一方で、自己責任でもっと働きたいという人にとっては窮屈な面もあるのではないか、と思います。経営者が言ってしまうとパワハラになってしまいますが、「働きたい自由はないのか」と発言している人もいます。

若いころに仕事が楽しくて仕方なく、寝食忘れて没頭するという時期があってもいいという議論も出てきています。テクノロジーを使い、柔軟に対応していく必要があると感じていますね。職場にいる時間が仕事の時間という考え方があり、生活のために働いているという人が多いため、一律に22時に退社するといった考え方になるのであって、少数であっても未来の自分のために今もっと働きたいという人などの個人個人に合わせて、仕事をしやすい環境を議論していくことも必要ではないかと感じます。

ーー最後に、徳力氏自身の働き方やアジャイルメディア・ネットワークでの働き方についてうかがった。

個人としては、土日はPCを開いて作業するといった狭義の「仕事」はできるだけ行わないようにしています。子供と楽しく過ごせるのは今しかない、というのもあって、休日は、家族との時間を大切にするようにしていますね。一方で、ベンチャー企業の経営者としては、24時間全てが仕事と関係している時間であるとも考えています。

ワークライフバランスという言葉をどう受け止めるかによりますが、自分にとってはワークこそが自分の一番のライフであるので、テレビや電車の中吊り広告など、世の中の出来事を見ながら仕事にどう影響するか考えることも、仕事に活かすことができる時間だととらえています。日々生活する中や、子供と遊んでいる時間でもマーケティング目線で物を見ることで、幅を広げ、知見を広げるようにしています。

アジャイルメディア・ネットワークでは、11時~15時がコアタイムのフレックス制で、たとえば、育休明けの人で8時には出社して16時くらいに帰っている人もいるし、朝が弱い人は11時に来て遅い時間まで働く、とある程度自由に勤務しています。子供の面倒を見なくてはいけないときや、家族が病気になった場合などは、上司判断で在宅勤務を認めていますが、常時の在宅勤務は認めていません。

在宅勤務や働き方改革で推奨されているような取り組みは、会社ごとに考える必要があり、業態によってまったく違うと考えています。ソフトウェア開発などの会社は、一人で考える時間が長いので、在宅勤務に向いていますが、我々の会社はチームで行う業務が多いので、コミュニケーションの質が重要です。チャットなどを使ってみたこともありますが、やはり対面でのコミュニケーションのほうが理解し合え、コミュニケーションのズレも抑えることができます。

現状では、一か所に集まって仕事をするほうがメリットが大きく、基本的には会社に来るようにしていますが、まだまだ試行錯誤している最中ですね。テクノロジーに頼りすぎるのではなく、自分たちの業務でリアルとテクノロジーをどのように使っていくのかを見極める必要があると思います。

今後も徳力氏の取り組みに注目していきたい。