コンサドーレ 野々村芳和の経営論サッカークラブも働き方改革~株式会社コンサドーレ 代表取締役社長CEO 野々村 芳和 氏(前編)

  • Writer : Cross Architects
  • Data : 2017/11/6
  • Category : デジタル活用、働き方改革

サポーターに「クラブの現在地」を正しく伝える

ーー社長に就任されてからは、サポーターに対して積極的に「クラブの現在地」を発進し続けていますね。

サポーターには売上規模の現状も正直に話して、勝つことの難しさも理解してもらっています。売上規模では負けている他クラブとの差はサポーターが作る雰囲気で埋めようと。もちろん、勝ちたいですし、勝つためにやっているわけですが、試合に勝つということはそう簡単なことではありません。ただ、クラブの立ち位置や、勝つことの難しさを分かっていない人が多いのも事実です。

例えばこんなエピソードがあります。北海道のタクシーの車中、コンサドーレの選手が「J1残留を目指して頑張りましょう」という発言が流れたとき、運転手さんが「なんで嘘でも優勝を目指すって言わないんだろうねぇ」という発言が出たりする。まさに一つの象徴的なシーンです。クラブの立ち位置を分かっていないで応援するほど不幸なものはありませんから。

だからこそ、『3年後くらいまでには売上規模をこれくらいまでに上げます』『仮にJ1に昇格したら、最初は下から数えて何番目のクラブだったとしても、こんな可能性があります』など、具体的に提示しています。スポーツって「優勝する、勝つ」というエンターテインメント性を求めることももちろん楽しみ方のひとつですが、それ以外のスポーツの観方や捉え方があるということを知ってもらえたら嬉しいですね。

チームスローガンは「北海道とともに、世界へ」。
多くの熱いサポーターがいることで知られる。

実際サッカーは、エンタテイメント産業と思っている方がまだまだ多いんです。映画に行くとか、ショッピングに行くとか、その選択肢の一つにサッカー観戦という選択肢がある。でも、サッカーの魅力って少し違うんですよね。海外ではサッカーそのものが文化か生活の一部として根付いている。ビジネスにおいても、さまざまな可能性や広がりがある。

それが日本の世の中にまだ伝わっていない。色々な人と関わり合いながら、地域のクラブを作ることを楽しむ。そしてサッカーやクラブが生活の一部になる。関わることが幸せだと感じてもらえる人を少しでも増やしていくことが大事だと思っています。