金沢を拠点に活躍するクリエイティブディレクター宮田人司氏に聞く地方移住を成功させる秘訣とワークスタイル~株式会社センド 代表取締役 宮田人司氏(前編)

  • Writer : Motoki Honma
  • Data : 2017/11/15
  • Category : デジタル活用、働き方改革

ベンチャー支援は、
儲けより自分の楽しみのために

いま地方移住がブームで移住する人が増えている一方、移住先でうまくいかず、結局戻ってしまう移住者も少なくないようだ。

この状況について「いま地方移住ブームで、東京でうだつが上がらないから『地方に行けば何とかなるんじゃないか?』と考えて移住する人は少なくないけど、東京で仕事ができていない人は、地方にきてもうまくいかないと思います。そもそも、その町で誰かがやっている仕事をよそ者がとろうするのはどうなんでしょうか? 僕自身、金沢で仕事をとろうとはまったく考えてなかった」と話す。

現在、クリエイティブの仕事は、東京の仕事が中心で、金沢では「新しいものを作って産業化することに興味がある」とのこと。

そんな想いが表れている取り組みの1つがベンチャー支援だ。

「ベンチャー支援といっても、ベンチャーキャピタルのように儲け云々ということはあまり考えていません。どちらかというと『今日よりもよりよくなるモノやコトを作り出す』とか『誰かが新しいチャンスをつかんで、何か新しいものを作り出す』とか、クリエイティブの文脈でベンチャーを応援しています。金沢は元々職人やクリエイターが多い場所なんですけど、ビジネスになっていないクリエイティブもたくさんある。そこで、そういう人たちが、自分のやりたいことだけで生活するためのお手伝いをしているという感じですね。具体的には、出資をして、役員として会社の立ち上げから参加します。共同創業のような形をとることが多いですね」(宮田氏)

そして、ベンチャー支援を積極的に行う理由について「事業というより、面白いからやっている。学ぶことが多いんですよ、彼らから」と語り、こう続ける。

「僕は来年で50歳になりますが、あと何回食事ができるかを計算すると、それほど多くないんですね。だからこそ一回一回の食事を大切にしたい。ベンチャー支援は、話をして楽しい人と食事をするためにやっているようなものなんです。やはり、どこに居ようが結局大事なのは、共感できる仲間というか人なんですよね」

現在、宮田氏が支援するベンチャーは約10社というが、いずれの企業もビジネスは順調なようだ。

例えば、3Dデジタル技術と陶芸などの伝統工芸を融合してものづくりを行うseccaは、工業デザイナー出身の上町達也氏が創業した企業。独自の手法で作られる器は、これまでの手法では不可能だった造形で、国内外で高く評価されているという。