金沢を拠点に活躍するクリエイティブディレクター宮田人司氏に聞く場所にしばられない働き方改革~株式会社センド 代表取締役 宮田人司氏(後編)

  • Writer : Motoki Honma
  • Data : 2017/11/17
  • Category : デジタル活用、働き方改革

信頼関係がなければ働き方改革は進まない

散歩に出て、アイデアを練ったり、発想を膨らませたりすることが多いという宮田氏は、金沢で仕事をするメリットについて「物事を落ち着いて考えられて、クオリティの高いアウトプットができるのは、金沢にいるからこそだと考えています」と語る。

町の中心部に「金沢21世紀美術館」という現代アートの美術館があったり、伝統的な町並みがあったり、新旧文化が入り混じる金沢の環境が仕事に与える影響は少なくないようだ。

また、町の人たちから教えられることも多いという。

「金沢は100年以上続く老舗企業が数多いのですが、そのような企業の旦那衆と食事をしていると、東京で触れられなかったような考え方や知識などを耳にすることがよくあります。例えば、ある老舗企業の家訓には『伝統は革新の連続なり』というものがある。これは『伝統というのは、最初から伝統として存在するのではなく、革新的なことを続けてきた結果、伝統になっている』ことを表していますが、このような考えは東京にいる頃には気にしたこともありませんでした。でも、言われてみると『なるほどな』と――」と宮田氏。

さらに「東京より人とのつながりが作りやすいのも金沢で仕事をする魅力の1つ」とのことだ。

「打ち合わせなどで、金沢に来てもらうと、大体皆さん1泊されるので、ゆっくりお話しできるんです。1軒目は食事して、2軒目はバーかなんかで。東京だと食事しても大体2時間くらいで終わっちゃいますけど、やはり相手のことを知るのに2時間じゃ短いですよね」

「移住して大変だったことは?」というこちらの質問に対しては「大変だったことはありません。本当に東京にいるのと変わらないですよ」と宮田氏は答えるが、それもテクノロジーを活用して「テレワーク」環境を実現しているからこそ。しかし、宮田氏自身は「テレワーク環境の構築を積極的に行ってきた」という意識はないようだ。

「やりたいことにあわせて必要なことをやったら自然とこうなったという感じですね。現在、『企業はとにかくテレワーク、働き方改革をやらなくてはいけない』という話しになっていますが、大切なのは『それ(テレワークや働き方改革)は、目的でなく、手段である』ということです。それと、働き方改革って、ルールとか制度を作るという以前に、働く人を信じることでしか実現できないと思うんです。僕の会社にも、去年、子供が生まれた女性スタッフがいるんですけど『今後の働き方はどうしたらいいですか?』って相談されたんですが、僕は『好きにしていただいて結構ですよ』と答えました。まずは私との関係より、子供との関係を構築する方が大事でしょ(笑)。僕も子供と一緒にいる時間が作りたいから金沢に移住した訳ですしね。彼女とは付き合いが長くて、スキルも人となりも知っているので、働いてくれるならきちんと仕事をしてくれることは分かっています。だから好きにしてもらっても一向に構わないのです」

何が実現したいのか、目的をしっかり見据え、そのためにテクノロジーやツールを使い、信頼関係の下で最もよい働き方を実現していく――。働き方改革を進めても、なかなかうまくいかないという課題に直面する企業は少なくないが、宮田氏が語ったことは、そのような悩みを解決するヒントの1つになるのではないだろうか?

テクノロジーを活用すれば東京と金沢の距離は感じないという宮田氏。
その働き方は。多くの人の参考になるのではないだろうか。