第一級のエンターテインメントはいかにして生み出されるのか?ベストセラー作家が語る創作の舞台裏~作家 池井戸潤氏

  • Writer : ASAMI NAKAMA
  • Data : 2017/11/27
  • Category : デジタル活用、働き方改革

小学生から80代女性までが愛読
わかりやすさの秘密とは?

池井戸さんの読者で最もボリュームのある層は20代〜60代の現役世代。そのうち、4割が女性だという。また、2011年に『下町ロケット』で直木賞を受賞してからは、読者の年齢層が大きく広がった。

「サイン会で先頭に中学1年生の男の子が並んでいて、立派な感想文をもらったことがあります。80代の女性から『読んでいるわよ』と声をかけていただくことも」

大企業から中小企業、町工場まで、人が「仕事」をする場所が舞台となることが多い池井戸作品。技術開発、経営の困難さ、銀行の融資の話などは、身近でない人にとってはどうしても理解が難しい。幅広い読者に作品を楽しんでもらうために、池井戸さんは「わかりやすさ」にこだわる。

「おもしろさの基準って、人それぞれ違いますよね。自分がおもしろいと思っても、相手がそう思うとは限らない。でも、わかりやすさというのは、努力すれば必ず目標の地点に到達できるものだと思うのです」

わかりやすくするために、池井戸さんは作中で専門用語を使わないよう気を配っている。小学生の読者から「漢字が読めない」と意見をもらえば、ルビの量を増やすことも。わかりやすさを追求しているときに頭に浮かぶのは、読者の顔だという。

「書きながら『あの男の子は読めるかな』『あのおばあちゃんはわかってくれるだろうか』と自問自答しています」