5Gの実現でどんな未来が待っているのか?
有識者が今までにないサービスや世界を語る

便利になるためにはプライバシーを捨てた方がいい

ニッポン放送 アナウンサー
吉田尚記氏

 続く座談会には、ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記氏、セガゲームスカンパニーCOOの岩城農氏、サイエスト広報でラーメン評論家の肩書も持つ本谷亜紀氏が参加。NTTドコモの中村氏も加わり、5Gがもたらす未来像や期待されるサービスについて、それぞれが思い描くイメージを披露した。

 吉田氏は、中村氏による5Gの説明を聞いて「早速思いついた」というアイデアをまず2つ発表した。1つ目は、現在のVR機器でボタンクリックの代わりに視点を利用する手法をヒントに、VRの映像に映るカメラに視点を合わせるとそのカメラの映像にVRの映像が切り替わるという「カメラのハイパーリンク網」。そしてもう1つは、宿泊施設・民宿を貸し出すWebサイト「Airbnb」のさらに上をいくもので、空きスペースに対しても「そこで寝泊りしていいか」をネット上で交渉できる「野宿システム」という発想だ。

 「こういったサービスの実現を踏まえると、確実に言えるのは『プライバシーはもう捨てたほうがいいのかもしれない』ということ。プライバシーを捨てた人のほうが、より便利に暮らせる世の中になるのではないかと思う。5Gによって『人間の本質的な価値とは何か?』が問われることになるだろう」(吉田氏)

 また、5Gがすでに浸透している2025年の世界をベースに、どんなサービスが将来的に利用できるかをイメージした際には、自分が思い描く旅行体験の詳細を解説した。例えば「鹿児島へ行こう」と思いついて実行の意思を示した瞬間、まずはソーシャルで共有されているスケジュールから日程が確保され、移動もIoTを駆使した自動運転で「寝ている間に目的地へ到着している」といったものだ。さらに、自分の能力や好みなどを自動的に判断し、自分に合ったアクティビティを現地で用意してくれるというアイデアも登場した。

 さらに、そのアクティビティで作ったモノやお土産などは、そのまま家に置いておくと邪魔になる場合もある。「帰ってきたらその制作物やお土産は物理版のオンラインストレージサービスのような場所に預けてしまい、友達に見せたくなったら数分で持ってきてくれるようなシステムが実現している」。吉田氏はそんな未来を夢見ている。

VRで他人の人生を追体験、失敗してもOK

セガゲームス 取締役 セガネットワークス カンパニーCOO
岩城農氏

 ゲーム会社の立場から岩城氏は、5GとVR(バーチャルリアリティ:仮想現実)を活用することで「体験や空間も共有可能になる」と期待している。その究極系として「自分以外の人生も追体験できる」と考えており、バーチャルがよりリアルに感じられる世界がすぐそこまで来ているという見方だ。体験方法は作り手によってさまざまなバリエーションが考えられるが、「その選択肢の1つとしてゲームがあればいい」(岩城氏)。

 位置情報やAR(拡張現実)を活用した「ポケモンGO」などは、まさにそのバリエーションのひとつかもしれない。岩城氏もARのジャンルには発展性があると見ており、自分の見ている世界にデジタルが融合してきたときに、「それが本物か偽物かは問題ではなく、見えているモノをルールに沿って認識していくことになると思う」と語った。

 また、追体験の観点からみると「何度でも失敗できる点がゲームのいいところ」(岩城氏)。失敗し続けても、学んで上手くいく方法を覚える意味ではとても有意義なことといえる。岩城氏も「ゲームとしては、そういった仕組みがリアルさや豊かさにつながっていくのであれば、他の手法よりも手軽にトライ&エラーを体験できるようになる」と前向きな考えだ。

 IoTに関しては、検索の時間やモノを買いに行く時間など「発見や流通における意思決定の時間短縮に活用されていく」と予想する。これは例えば、いろいろなモノにタグが埋め込まれた場合、それを持っているだけで関連情報が自動的にレコメンドされたりするようなイメージになる。その一方で、モノにタグが埋め込まれると、「自分がどれだけのモノを持っているか」ということも明らかになる。所有や消費の可視化が人間にどれだけの影響を及ぼすのかは未知数だが、ゲーム会社の立場から岩城氏は「自分の余暇をもっと増やせるようなIoTの活用ができればいい」と語った。

5Gで食生活はもっと豊かになる

サイエスト 広報でラーメン評論家
本谷亜紀氏

 企業の広報としてもラーメン評論家としても「常に高い次元で情報を仕入れていなければならない」と語る本谷氏。情報のアウトプットに対して10倍以上のインプットが必要になるため、「5Gでもっとコンパクトかつスピーディに情報収集できるようになればすごく助かるのは間違いない。そうなれば、今まで以上に効率的な業務や豊かな評論ができるはず」と力説する。

 また、ラーメン業界に目を向けると、新規開店から3年続く店舗は15%、10年を超える店舗に至っては5%しかないそうだ。「最近では、好きなラーメン屋が高齢化で店を畳んでしまうこともあるが、多くのラーメン屋ではレシピを残していないケースが多い。5Gを活用した新しいテクノロジーでその味を完ぺきに残せるようなシステムができあがれば、好きな味を後世に残せるはずだ。さらに、このシステムがあれば地方にも美味しいラーメンを届けられるようになるし、海外での正しいラーメンの普及にも役立つ。ラーメン以外でも応用可能なので、食生活全般がもっと豊かになるのではないか」(本谷氏)。

 これ以外にも、ラーメン屋は旧態依然とした業界であるため、新技術の導入がなかなか進まない側面もある。その点に「女性がすごくハードルを感じる」と本谷氏は指摘する。ハードルを少しでも減らすために、「5Gを使って例えば店内をもっと見やすいようにしたり、行列をなくしたり、あるいはインターネット予約に対応するなどすれば、今までターゲットとしていなかった高齢者や主婦、子供などの層にアプローチできるのではないか」と提案した。

 一方で、女性目線での発言として「婚活」に注目し、「5Gで結婚がもう少し身近にならないものか」と切望した。さらに、画像解析や心理学などを組み合わせることで「結婚相手も見つけやすくなるはず」というアイデアを披露。近い将来、新しいテクノロジーで自分にぴったり合った結婚相手を効率的に見つけてくれれば、「結婚も身近になるし少子化も減らせる」との考えを語った。  

 

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