NTTドコモが支えるソーシャルイノベーション「社会起業塾イニシアチブ」に参加する意義とは

社会的課題の解決がお金を生む世の中に変わっていく必要がある

NPO法人 ETIC. 代表理事 宮城治男氏

 支援団体の取り組み発表後、NTTドコモ CSR部長 川﨑博子氏、NTTドコモ・ベンチャーズ 取締役副社長 稲川尚之氏、そして社会起業塾イニシアチブの運営に携わるNPO法人 ETIC(エティック). 代表理事 宮城治男氏に話を聞いた。

――そもそも社会起業塾イニシアチブにはどのような狙いがあるのでしょうか。

宮城氏 社会起業家を支援する取り組みとして、2002年にNECとともにスタートしました。当時は世の中に“社会起業家”という言葉さえ浸透していませんでしたが、早い段階(二期生)で「カタリバ」などの有望株が出てきました。このことから、「社会的課題を解決する担い手を社会が必要とし、それを仕事にしたい次世代が生まれてきたのだな」との思いを新たにしたのです。

 しかし、社会起業家のビジョンを支えていく基盤がなかったため、企業を含めたサポート基盤を作る必要がありました。それが社会起業塾イニシアチブの活動へとつながりました。

 とは言えここでの半年間は、事業を進化させることに重きを置くのではなく、これから彼らが課題に向き合い、加速していくための土台を作り上げるための時間です。前進ばかりではなく、リセットや後戻りがあってもいいとさえ思っています。この15年間での事業継続率は9割近くに達しますが、これも土台を一所懸命作ってきたからこそでしょう。

NTTドコモ CSR部長 川﨑博子氏

NTTドコモ・ベンチャーズ 取締役副社長 稲川尚之氏

――NTTドコモは2016年から参加しました。そのきっかけは。

川﨑氏 私はNTTドコモでCSRを担当しています。かつてのCSRはボランティア活動や自然環境への取り組みを主軸としていましたが、現在は事業を通して世の中の役に立つことを支援する流れに変わってきました。その選択肢の1つが、今回の社会起業塾イニシアチブへの参加でした。

 社会の変化に伴って、通信はさまざまな環境のインフラになり得ます。変わっていく先にはベンチャー企業や社会起業家など、時代のアンテナとなる人たちがいます。その動きに並走することは、我々にとってもプラスに働くと考えました。

 またCSR部だけが取り組むよりも、ベンチャー支援を行うNTTドコモ・ベンチャーズと一緒に取り組むことにすれば、支援の方法に広がりを出せると期待しました。社会的課題を解決する部分にはCSRも関わってきますので、両社合同の施策とする中で知見を共有することにしたのです。

稲川氏 NTTドコモ・ベンチャーズは通信事業者ならではのベンチャー投資によって新しいサービスや商品を生み出す、そのトリガーを引く役割を担っています。これまではマネタイズ中心の形態をサポートすることが多かったのも事実です。

 しかし社会的課題解決にチャレンジするベンチャー企業に対し、何か支援ができないかとの思いは常にあります。連携の話をいただき、まさに今回のプロジェクトはドコモ全体で取り組むべき課題だと思いました。我々は事業を支援するノウハウを蓄積していますので、その点で大きな貢献ができるはずです。

支援団体の発表にコメントする稲川氏

――今回が初めての支援となりましたが、実際に半年間携わってみての感想は。

川﨑氏 半年でこんなにも成長するのか、というのが率直な感想です。事業として取り組んでいく覚悟を決め、本人たちの意識が変わったのが最も大きな成果と言えるでしょう。こうした活動がどんどん盛んになることで、「社会的課題を解決すること」が事業として成立するような世の中に変わっていく必要があると思います。そこに経済合理性があれば物事は効率的になり、アプローチに対する工夫が生まれ、ニーズの切り込みもシャープになってくるからです。しかし、一気にその地点には到達できませんから、そこにつながるアイデアやノウハウを積み重ねていく必要があります。その土台作りとしては、最適な場ではないでしょうか。

稲川氏 これまで我々が手がけてきた案件は、すでにこの半年間の試行錯誤が済んだものが多かったため、今回は非常に新鮮でした。ある意味、事業の準備段階に関わることは初めてでしたし、ソーシャルイノベーションに関してはその段階から一緒になって取り組むことが必要なのだと改めて学びました。

――運営側の意見はいかがでしょうか。

宮城氏 NTTドコモはもともと社会インフラを支える企業であり、公共分野の役割を担っています。ですから私は、社会起業家とマインドを共有している部分が多いのではないかと感じていました。今回、NTTドコモがCSRにとどまらない踏み込みをして、一緒になって事業化にコミットしてくれていることは、社会起業家を育てる分野で新しい流れを起こしていると思います。

インタビューでは活発な意見が交わされた

――では今後、社会起業塾イニシアチブをどう発展させていきたいと考えていますか。

宮城氏 社会起業塾イニシアチブは、企業の皆さんにコミットメントをいただいて一緒に活動しています。すなわち、マネタイズを含む事業化と社会的課題解決が融合していくあり方を、議論しながら作り出していける“場”なのです。社会起業家が成長すると同時に、企業も進化していくようなプラットフォームにするのが理想ですね。

川﨑氏 日本にはさまざまな形の社会課題があります。それらの課題に対してNTTドコモだけでなく、社会起業家たちと一緒になって取り組むことで、より健全な社会をめざすことができます。社会起業塾イニシアチブはその土台ですから、これからもしっかりと支援していきたいと思います。

稲川氏 理念とともに、事業を継続的に回していくことも大きな目標の1つです。ベンチャーキャピタルのみならず、共感を得たエンジェル投資家を増やす、社会制度をうまく利用して助成金・補助金の適用を受けるなど、手段はいろいろとありますが、何よりもきちんと資金繰りをして"思いをつなげる"ために組織を運営していってほしいと思います。社会貢献とビジネスを分離させたくない――我々はそのために何かできないかと考えているのです。

お問い合わせ

ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
E-mail:village-application@nttdocomo-v.com

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