――日本マイクロソフトは2018年1月から「パートナーサクセス」というプログラムを本格的にスタートさせています。東京エレクトロンデバイスは、このプログラムに参加していますが、マイクロソフトからはどのような支援が受けられるのでしょう。
西脇 パートナーサクセスを端的に表現すれば、Microsoft Azureをプラットフォームとしたソリューションを「作って・広めて・売る」という3つの領域でマイクロソフトから支援を受けられるプログラムです。当社の場合は、この3つに加えて「CSP(Cloud Solution Provider)」プログラムに基づいて、当社のソリューションをリセールするネットワークをどうやって広げるかという領域でも支援を受けています(CSPの詳細については連載2回目を参照)。
また、マイクロソフトが、当社担当の技術チームおよび営業チームを用意してくれます。彼らは、私たちの状況を詳細に把握してくれていて適切なアドバイスをいただくことができます。コンサルティングサービスをイメージしていただければよいかもしれません。毎週のようにミーティングを開いて、ビジネスの協業を進めています。
パートナーサクセスは、顧客へのさらなる価値提供のために、パートナーとマイクロソフトの両社が密に連携して活動を行えるようにデザインされたプログラムだ。このプログラムに参加するためには
・マイクロソフトとの間でビジネス協業やソリューション販売の目標を設定していること
・1つ以上の「Goldクラウド コンピテンシー」を保有していること
・特定の技術やインダストリー向けのソリューションを保有し、カタログとして掲載していること
――「作って」という領域では、具体的にはどのような取り組みを?
東京エレクトロン デバイス株式会社
IoT カンパニー
エンベデッドソリューション部
部長代理
西脇 章彦 氏
西脇 マイクロソフトの製品・サービスを活用して、当社独自のソリューションを開発する際に技術的な支援を受けています。特に、デバイスから収集したデータをAzureのサービスを使って、どのように分析・活用するかという部分で技術的な支援をいただいています。
さらに、お客様のビジネスとどう連携させるのかといったシナリオ作りでも協業を進めています。IoTで必要となるシステムは、お客様の取り組みのフェーズごとに要件が異なってきます。当社は2017年2月にPoC(概念実証)を実施するための「Azure IoT PoCキット」の提供を開始しましたが、現在はIoTシステムの本格導入に向けた「IoT導入支援」やビジネスと連携する「IoT業務支援」のソリューションを強化しているところです。こうしたシナリオも、マイクロソフトとの協業の中で描いたものです。
最近は、新しいテクノロジーを駆使したクラウドサービスが相次いで登場していますので、これをどう活用すればよいのか、デバイスをどうつなげばよいのかといったアドバイスも技術チームからいただいています。
東京エレクトロンデバイスの「Azure IoTソリューションキット」
――開発したソリューションに対するマーケティングとセールスが「広めて・売る」の領域になるわけですね。ここでは、どのような支援を受けているのでしょうか。
西脇 マーケティングでは、マイクロソフトで当社を担当するチームがビジネスの目標を共有してくれて、その都度、有効な施策を一緒に考えてくれます。
ウェブ戦略やデジタルマーケティングといった活動では、マイクロソフトが持つ知見が非常に役立っています。こうした活動では、マイクロソフトはグローバルに見ても先進的な取り組みを展開しているので、私たちにとってその知見が利用できることはとても大きなメリットです。ときには、リアルのイベントを提案してくれることもあります。
セールスでは、お客様をご紹介いただいています。マイクロソフトのチームが、お客様の課題と当社のソリューションをマッチングしているわけです。このために、当社を担当するチームには、ソリューションを深く理解していただいています。IoTビジネスの市場は幅広いので、当社の営業組織ではリーチできていないお客様も数多くご紹介いただきました。
お客様を訪問する際には、マイクロソフトの担当者が随行して、営業活動を支援してくれます。特に、当社がリーチできていないお客様を訪問する際には、とても助かっています。
――東京エレクトロンデバイスは、IoTビジネスの市場において、どのような存在になろうと考えているのでしょう。
福田 先ほども申し上げたように、IoTビジネスを1社だけで進めることは不可能です。当社は、さまざまな領域のエキスパートで構成するエコシステムを創生し、アグリゲーター(仲介者)となっていくことを描いています。
そのためには、当社自身に多種多様な知見が必要です。技術だけでなく、マーケットにも精通していなければなりません。IoTビジネス共創ラボのコミュニティ、そしてパートナーサクセスの支援プログラムを両輪として、IoTビジネスを加速させているところです。
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