ANA 業務プロセス改革室 イノベーション推進部 部長 兼 ANA デジタルデザインラボ エバンジェリスト 野村 泰一 氏

イノベーションを生む働き方へ〜
ANAのチャレンジ〜

ANA
業務プロセス改革室
イノベーション推進部 部長 兼
ANA デジタルデザインラボ
エバンジェリスト

野村 泰一

特別講演

 基調講演には、ANAの野村泰一氏が登壇。業務プロセス改革室のイノベーション推進部を率いる同氏が、働き方改革に関するこれまでの取り組みと、新たなステージにおける3つのチャレンジを説明した。

 ANAでは2012年当時、「私生活の当たり前」が「会社だとできない」という問題意識があったという。例えば、対面会議ありきで資料は紙として配布することが前提となっている、あるいはオフィスに来ないと仕事のパフォーマンスが落ちるといったことだ。こうした状態では、顧客の期待に応えられるサービスを提供し続けられないのではないか──。このような思いから、働き方改革に取り組むようになったという。

 約3万6000人の従業員のうちデスクワークを担当するものは、わずか20%。操縦士や客室乗務員、整備士、空港係員などのフロントラインのスタッフが従業員の大半を占めている。働き方改革の第一歩として、フロントラインのスタッフを対象とした時間を有効活用できる環境の整備に乗り出した。

 2012年から2014年にかけて、フロントラインのスタッフに順次、iPadを配布。いつでもどこでも、その場で必要な情報を収集・伝達できる体制を築き、整備士に対しては、遠隔サポートを支援する仕組みもつくった。

 2013年からは、デスクワークを担当するスタッフに対する環境整備に取り組んだ。まずは、仮想デスクトップ環境(VDI)でいつでもどこでも仕事が進められる環境を整備するとともに、在宅勤務制度を導入。2014年には、業務用スマートフォンの配布とノンペーパー化に取り組み、2017年は、テレワーク制度を導入した。

 野村氏は、これまでの取り組みを①働く場所や時間の制約をなくして個人の業務効率化を支援する「個人の働き方改革」②データ化による意識改革およびマネジメントを支援する情報提供である「守りの働き方改革」──の2種類に整理するが、その取り組みの中には反省もあるという。前者では業務の中身そのものはこれまでと変わりがないこと、後者の取り組みは「そのうち疲れてしまう」(野村氏)ということだ。

 そこで、これからの働き方改革では「個人からチームへ」「創造的な業務へのシフト」という方向性を打ち出すことにした。ネガティブな仕事を減らすとともに、ポジティブな仕事を増やすことによって、社員がやりがいを持って持続的に働ける風土や仕組みづくりを目指すという。野村氏は、この実現には3つのアプローチがあると強調する。

 1つめは、顧客の利便性向上によってスタッフの働き方を変えるという取り組み。これを具現化したのが、2017年にリニューアルしたスマホアプリだ。単一の画面で、顧客が必要な情報が一覧できるなど操作性を大きく向上させた。これによって顧客からの問い合わせが減るため、付加価値の高い仕事の比率を高めることが可能になる。

 2つめが、最新のテクノロジーを使って業務改革に取り組むことだ。2016年は、空港案内業務にソフトバンクグループが提供するロボット「ペッパー」を活用した。2017年はNTTドコモグループとIoT(モノのインターネット)技術を駆使して、車椅子やベビーカーの位置情報把握に取り組んでいる。

 3つめが、自社だけでは解決できない課題に対しては、エコシステムを利用するということだ。野村氏は「パートナー企業のナレッジやテクノロジーが、ANAの課題を解決すると同時に、新たなビジネスを創出する可能性を高めることになります」と指摘する。2017年10月には、コンビ、東レ、NTTの3社と協業し、「赤ちゃんが泣かない!?ヒコーキ」プロジェクトを立ち上げている。

 野村氏は「これからの働き方改革では、人とテクノロジーを融合させることによって、より創造的な業務にシフトしていくことが大切です」と力説し、講演を締めくくった。

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ ディレクター 榊巻 亮 氏

会議を変えると働き方が変わる
〜生産性向上を意識した会議の作り方〜

ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ
ディレクター

榊巻 亮

特別講演

 「コミュニケーションの根っこを変えれば、ワークスタイルが変わります」。こう力説するのは、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズでディレクターを務める榊巻亮氏だ。本セッションでは、生産性向上を意識した会議のつくり方が披露された。

 榊巻氏によると、ビジネスパーソンが生涯で会議に割く時間は合計で8年にも達するという。にもかかわらず、ある調査では、会議参加者の約4割が「何をどう議論して、どこまで決めるのか」ということを最後まで理解できていない状況が浮き彫りになった。榊巻氏は、①会議の終了条件と進め方を確認する②最後に決まったこととやるべきことを確認する──という2つを実践することで、こうした状況から脱却できると指摘する。

 終了条件を設定する際には、「すること」ではなく「状態」で考えることが大切だという。例えば、営業担当者に新商品を説明するような会議の場合は、「顧客に新商品を提案できる状態」「新商品がどのような顧客に有効なのか理解した状態」といったことを終了条件にする。「終了条件の設定の仕方次第で、聞く観点も質問の深さも変わってきます」と榊巻氏は語る。

 会議で決まったはずのことも、参加者全員できちんと共有できていないケースも少なくない。「同じ議題でも人によって、『決定済み』と捉えていたり、『継続審議』と捉えていたりすることが意外と多い」というのだ。会議の最後に改めて決まったことを再確認することで、こうした状況を改善できる。

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