創刊40周年 記念シンポジウム 〜建築のさらなるイノベーションへ〜  ダイフレックス 既存タイルの意匠を残す外壁タイル剥落防止工法(リノベ・改修トラック 技術講演)

ダイフレックス 技術サービスチーム 課長 小関 晋平 氏

経年劣化で発生する外壁タイル仕上げ層の剥落事故は、建物の維持管理上の大きな問題になっている。「エバーガードSG工法」は、既存タイルの質感保持に重点を置いた外壁タイル剥落防止工法だ。UR都市機構の外壁複合補修工法の5つの要求性能試験にすべて合格するという高い信頼性のもと、全国で施工実績を重ねている。

 タイル張り仕上げの外壁は、高級感のある意匠性や高耐久性から、オフィスや集合住宅などの建築で数多く使われている。一方で、経年劣化や、地震による変形で浮きや剥離が発生し、タイル剥落事故に至るケースが報告されている。タイル張り仕上げの外壁は、コンクリート躯体とタイルの間に下地モルタルや張り付けモルタルなどを挟む複雑な構造となっており、タイルの浮きや剥落はこれらのすべての層間で発生する可能性がある。

タイルの質感残した全体改修で計画的な予防保全を実施

 2015年2月には東京・新宿の歌舞伎町で、9階建てビルの7階付近の外壁タイルがはがれて路上に落下する事故があった。こうした事故の原因は「タイルが落ちる」、「モルタル層ごと落ちる」という2つのケースがあり、報道されるような事故はモルタル層ごとタイルが落ちるケースが多いと感じている。

 外壁タイル張り仕上げの補修は、「部分改修」と「全体改修」の2つがあり、破損箇所のみ修繕する部分改修は低コストでの改修が可能だが、計画的な予防保全にはつながらない。近年は、建物の資産価値を維持する意味で、既存タイルの意匠を残したまま全体改修する工法が求められている。

 こうした声に応えるべく開発した工法が「エバーガードSG工法」だ。タイル張り仕上げ層に透明なフィルムをコーティングした外壁タイル剥落防止工法で、「薄膜でも十分な剥落防止機能を有する」、「伸び性能に優れる」、「ローラーで塗布できるため施工性に優れる」といった大きな特徴を備えている。

ある私立大学の外壁改修工事に「エバーガードSG-1」が採用された。施工下地は特殊45角白色タイル
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UR都市機構による5つの要求性能試験をクリア

 エバーガードSG工法の誕生に至る背景には、一般的な外壁タイル剥落防止工法が持つ、解決すべき課題があった。

 ガラス繊維などの補強布とポリマーセメントモルタルを用いて修繕するこれらの工法は、既存タイルをポリマーセメントモルタルで覆い隠してしまうため、再度、タイルを張る必要があった。「既存の外壁タイル仕上げを保全したい」という施主の要求に応える形で、2006年に登場したのが「エバーガード工法」。さらに、この初代工法に改良を重ね、塗膜性能や耐久性を高める形で完成したのが、エバーガードSG工法だ。

 大きな特徴は、UR都市機構の外壁複合補修工法の5つの要求性能試験(1「コンクリート躯体に対するアンカーピンの引抜き試験」、2「複合補修層に対するアンカーピンの引抜き試験」、3「複合補修層の接着強度試験」、4「複合補修層の補強効果確認〈面外曲げ〉試験」、5「温冷繰り返しに対する耐久性試験」)にすべて合格している点にある。これは、優れた塗膜性能と耐久性を備えていることを示している。

 このほかにも、「タイルのテクスチャーを生かす透明性」、「長期間にわたる耐候性」、「凹凸面に対する施工性」を備えており、初代工法では課題だった「耐水性」や、2成分形の材料を使用した場合の「経時変化による仕上げパターンの不均一化」といった点も、「特殊1成分形ウレタン樹脂」を用いることで改善している。

第三者機関による実験で地震時の剥落防止効果を確認

 エバーガードSG工法は、下地モルタル層がある場合に用いる「SG-1工法」と、直張りまたはPCa打ち込みの場合に用いる「SG-3工法」の2種類がある。施工手順は、例えばSG-1工法の場合は次のようになる。まずドリル穿孔のうえアンカーを打ち込み、EGプライマーT(アクリルシリコン樹脂)を塗布。さらにエバーガードSG(特殊1成分形ウレタン樹脂)を1層から3層まで3回に分けて塗布したうえで、EGトップSG(アクリルシリコン樹脂)を2層、2回に分けて塗布して仕上げる。EGトップSGは艶ありと5分艶の2種類で、いずれの工程もローラー塗布が可能だ。

 このように、現場施工で形成される剥落防止層は工場生産品と異なり、施工作業者の技術力に依存する部分が大きくなる。エバーガードSG工法は、ライセンスを取得した一般社団法人 機能性外壁工業会員による責任施工で実施しており、最長10年のタイル剥落防止を保証している。

 このほか、地震時のタイル剥落防止効果については、第三者機関による実験で検証している。この実験では、厚さ150mmのコンクリート架台に1.2m角のタイル壁を設けて、「下地モルタル層あり」と「直張り」の2種類について、東日本大震災と同等の2600ガルの力を付加。その結果、エバーガードSG工法を施工した2台は剥落が発生しなかったのに対し、工法なしの2台はタイルや下地が剥落。下地モルタルの有無にかかわらず、エバーガードSG工法がタイルの剥落発生を防ぐのにきわめて有効だということが明らかになった。

 このほか、2011年の東日本大震災後に各地のエバーガードの施工現場を訪れたところ、震度6レベルに被災して一部、躯体が損傷した建物においても、エバーガードの施工部はタイルの剥落が見られなかった。

 エバーガードSG工法は、これまで全国の大学やオフィスビル、庁舎などの外壁タイル改修工事に数多く採用されてきた。いずれも、写真では改修前と改修後の違いがわからないほどの仕上がりだ。高い要求性能をクリアすることで予防保全を実現し、既存タイル張り外壁の風合いを残すことを可能としたエバーガードSG工法により、全国の建築に安全安心を提供していきたい。

SG-1工法(下地モルタル層がある場合)とSG-3工法(直張りまたはPC打ち込みの場合)
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