創刊40周年 記念シンポジウム 〜建築のさらなるイノベーションへ〜  ハネウェルジャパン 省エネを支える現場発泡ウレタン(省エネトラック 技術講演)

ハネウェルジャパン パフォーマンス・マテリアルズ・アンド・テクノロジーズ アドバンスト・マテリアル部門長 瀧瀬 勝之 氏

従来のノンフロン型発泡剤は、環境には優しかったが、断熱性能ではかつてのフロン型に敵わなかった。ハネウェルの「ソルスティスLBA」は、地球温暖化係数がフロンの1000分の1、断熱性能は従来のノンフロンに比べ25%向上。地球温暖化の抑制、ひいては温室効果ガス削減にも繋がる断熱材用発泡剤の新たな選択肢として期待されている。

 ハネウェルは米国を本拠地として世界70カ国に展開するグローバル企業だ。昨年度の売り上げは日本円にして4兆5000億円。大きく3つの事業体から成る。1つは航空機パーツや離発着システムの製造。2つ目は、オートメーション制御関係。以前は山武ハネウェルの社名で事業展開していた。

省エネ性の高いノンフロンの発泡剤を開発

 そして3つ目が、化学品や高性能な特殊素材の開発製造を手がける「パフォーマンスマテリアルズ&テクノロジーズ」だ。研究開発に特化した組織であり、全体の売り上げの4分の1をこの事業が占める。製品として、例えば地球温暖化係数の低いカーエアコンの冷媒がある。欧州では2017年から適用される冷媒規制により、当社が共同開発した冷媒がほぼ100%使用される見込みだ。

 今回、紹介する当社の「ソルスティスLBA液状発泡剤」は、省エネ性(断熱性)と環境性能を両立した製品だ。従来のノンフロン型に比べ、省エネ性が25%向上。温暖化係数(GWP)は、かつてのフロンの1000分の1以下を実現している。

フロン排出抑制に向け問われる断熱材の環境性能

 省エネや環境規制の最近の動向を見てみると、2030年にはすべての新築建築物の平均でZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の達成が求められている。また一般新築住宅でも同様に平均でZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)を達成するなど、非常に厳しい目標が設定されている。

 同時に2015年4月のフロン排出抑制法により、現場発泡ウレタンに関して、現状1000を超えている温暖化係数を、2020年までに100以下にするという基準が設けられた。JIS規格も改訂され、上記の基準に合致したものが登録されることになる。

 さらに2016年3月には「優良断熱材認定制度」に現場発泡ウレタンが追加。そして秋には「準建材トップランナー制度」において、やはり現場発泡ウレタンに関する運用が開始される予定だ。

 このように断熱材における省エネ性、環境性は、いまや必須要件になろうとしている。

JIS規格「A種1H/2H」に適合 フロンと同等の断熱性能を実現

 これまで現場発泡ウレタンのJIS規格は、ノンフロンで環境性能の高い「A種」と、フロンで環境性能の低い「B種」に分かれていた。一般に、現在ではA種が主流となっている。

 今回の改定では、A種の区分に新たに「A種1H」「A種2H」が加わった。Hとはハイグレードを意味し、発泡剤としてHFO(ハイドロフルオロオレフィン)を用いるものを指し、数字の1は一般建築用、2は倉庫などの建物用を意味する。当社のソルスティスLBAは両者に該当する。

 熱伝導率は低いほど熱を伝えない。つまり断熱性能が高い。表を見てわかるようにA種1H、2Hはフロンを使ったもの(B種)と同様の断熱性能を有している。また従来のノンフロン(A種)と比較し、断熱性能が25%向上している。言い換えれば、従来よりも断熱材の厚さを25%減らすことができる。経済的で、室内空間も広くとれる利点がある。

 LBAを使用した現場発泡ウレタンは、このJIS規格をはじめ、優良断熱材認証制度、グリーン購入法、準建材トップランナー制度にも適合している。

JIS A9526の改訂
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代替フロンの規制強まるノンフロンで環境に貢献を

 次に環境性能――温暖化係数について見る。以前のフロンに対し、ソルスティスLBAは温暖化係数が「1」であり、代替フロンの約1000分の1以下になっている。

 80年代後半、モントリオール議定書において、オゾン層を激しく破壊するフロン(CFCs)は即刻全廃、その次の世代に当たるフロン(HCFCs)も段階的に削減していくことになった。最終的に、先進国では2020年、発展途上国では2030年には全廃することが決定している。これを受け「代替フロン」と呼ばれる新しいフッ素化合物(HFCs)が登場した。

 代替フロンは、オゾン層は破壊しないが、温暖化係数が非常に高かったため、日本では悪いイメージが定着してしまった。そうした中で同じフッ素化合物であるが、オゾン層を破壊せず、温暖化係数も低いノンフロンとよばれるHFO発泡剤が登場する。ソルスティスLBAもその一つだ。

 前述した2015年4月のフロン排出抑制法施行に続き、2016年5月に、政府は「温室効果ガス排出抑制等のための実行すべき措置について定める計画」を閣議決定。「HFCを使用しない建材の利用を促進する」ことが明記された。代替フロンからノンフロンへ、早期の切り換えが求められている。

 では、ノンフロン断熱材を採用した場合、温暖化ガスの排出削減にどれくらい寄与するのか。30戸のマンションを建設するに当たり、ノンフロンにすることで約300tのCO2削減に繋がる。このCO2を吸収するためには東京ドーム5個分ほどの面積に約2万本の杉を植える必要がある。

 ソルスティスLBAは環境評価でも、CASBEEで最高評価の「レベル5」、東京都建築物環境配慮指針では最高評価「段階3」を取得することが可能。

 当社では6年前にソルスティスLBAを上市した。すでにマンション、病院、教育機関、オフィスなど公共、民間で130件以上の採用実績がある。吹付断熱材以外にも、金属サンドイッチ断熱パネルや、金属のサイディングボード、冷蔵ショーケースなどにも採用されている。幅広い分野で活用が進むことで、日本の建設業界、ひいては社会全体の省エネに大きく貢献できるものと期待している。

地球温暖化ガス排出量比較
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