事例研究・バリューアップ術

大手不動産会社の
「老朽ビル・バリューアップ」に学ぶ

空室をリノベーションで解消する三菱地所レジデンスの「Reビル」事業

2018/01/17
事例研究・バリューアップ術

耐震改修はオーナー負担

オーナーにとってのメリットを整理すると
・イニシャルコストをかけずに、リノベーション(改修)を実現できる
・定期借家契約となっており、マスターリース期間終了後、オーナーに確実に返還される
ということになる。

ビルオーナーが得られる賃料水準はどうなっているのだろうか。下の図は賃料収入のフローをイメージとして示したものだ。

ビルオーナーの賃料収入フローのイメージ(資料:三菱地所レジデンス)

ビルオーナーの賃料収入フローのイメージ(資料:三菱地所レジデンス)

リノベーションによってビルの賃料水準が上がっても、オーナーが得られる賃料が大幅に増えるわけではない。ただし、リニューアル前には不安定だった収入が、マスターリース期間中は一定の賃料が保証されて安定する。マスターリース終了後は、三菱地所レジデンスの転貸差益分もオーナーが受け取ることが可能だ。

すべてのビルがこの事業の対象になるわけではない。検査済証がないなど、遵法性を確認できないビルは事業の対象とすることができない。相談に持ち込まれるビルについては築30~40年のものが多いが、このくらい古いビルになると検査済証など、重要書類がないケースも多いという。

また、1981年より前に竣工したいわゆる「旧耐震」建物など、現行法規で求められる耐震性能を満たさないビルについては、耐震改修を行う必要がある。この改修費用はオーナー負担だ。建物の防水工事など建物の躯体(スケルトン)や基本的な設備、建物の遵法性に関わる是正工事などの投資もオーナーの負担となる。三菱地所レジデンスがバリューアップで施工するのは、専有・共用部の表面的な部分に関わる範囲だ。三菱地所レジデンスの酒井氏は「相談を受けた時点で個別の物件に応じて調査・提案していくことになりますが、オーナー側の投資・回収の試算を含めて、二人三脚で事業を進めていきます」と話す。


文・写真:村島正彦

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