事例研究・バリューアップ術

築50年の旧本社ビルを売却せず再生

創業者の思いを受け継ぎ、街に刺激を与える場をつくる

2018/02/07
事例研究・バリューアップ術

順法性を守ってリノベーション

NENGOゼネラルマネージャーの中村彰氏は、順法性を守ってリノベーションする手法を次のように説明する。「旧本社ビルは2期にわたって建築されていました。建物の検査済み証がなかったため、確認申請時の建物用途については変更しないことにしました」。

もともと倉庫や事務所、寮といった建物用途だったため、その用途を大きく変えずに複合施設として利活用するには扱いやすい建物だった。「ただし長い年月の間に増築が繰り返されていたので、これを現行の法規制に合致するよう改修する必要はありました。リノベーションに当たって建築確認は申請せず、消防検査だけを受ければ可能となる方針としました」(中村氏)。

耐震性能については、現行基準を完全に満たす改修は難しかったものの、可能な範囲で従前よりも性能を向上させた。

unicoは、バスケットコートを設置した「unicourt」、飲食テナントや工房、スモールオフィスなどからなる「unico A」、事務所テナントやシェアハウスからなる「unico B」の3棟で構成する。

unicoの建物の構成。左からバスケットコートを設置した「unicourt」、飲食テナント・工房・スモールオフィスなどからなる「unico A」、事務所テナント・シェアハウスからなる「unico B」の3棟(資料:ヨネヤマ)

unicoの建物の構成。左からバスケットコートを設置した「unicourt」、飲食テナント・工房・スモールオフィスなどからなる「unico A」、事務所テナント・シェアハウスからなる「unico B」の3棟(資料:ヨネヤマ)

「unico A」と「unico B」の1~3階の平面図。1~2階は飲食テナントと工房など外からアクセスしやすい機能に。3~4階は中小規模のオフィスとした(資料:ヨネヤマ)

unico Aとunico Bの平面図。unico Aの1~2階は飲食テナントと工房など外からアクセスしやすい機能に。3~4階は中小規模のオフィスとした(資料:ヨネヤマ)

まずは旧本社だったunico Aから見てみよう。道路に面し、元倉庫で天井が高かった1階には、カフェ、クラフトビールのブルワリー、Fablab工房など、外部の人が入りやすい多様なテナントが入居している。

1階には「ビオ・オジヤン・カフェ日進」と「TKBrewing」「VUILD」がテナントとして入居している。前面の道路との間には壁を設けず、通りかかる人が自然に誘われるような空間とした(写真:NENGO)

1階には「ビオ・オジヤン・カフェ日進」と「TKBrewing」「VUILD」がテナントとして入居している。前面の道路との間には壁を設けず、通りかかる人が自然に誘われるような空間とした(写真:NENGO)

最新のデジタル木工機器を置く「VUILD(ビルド)」の工房。隣のカフェの什器をはじめ、unico内の内装や什器も製作している(写真:NENGO)

最新のデジタル木工機器を置く「VUILD(ビルド)」の工房。隣のカフェの什器をはじめ、unico内の内装や什器も製作している(写真:NENGO)

そして、2階には整骨院と、卓球も楽しめるビストロ、3~4階は若いクリエーターを対象にしたスモールオフィスやシェアオフィス、5階はイベントスペースを設けている。

隣のunico Bは、1階にランドリー、2階は貸し事務所、3~4階はシェアハウス(2018年3月入居開始予定)だ。

もともと倉庫だったunicourtは、天井の高さを生かした屋内ミニバスケットコート施設とした。

unicoのコンセプトは「創造的複合拠点」。これにのっとり、多様な機能のテナントを程良いバランスで同居させている。

2階の「中目卓球ラウンジ川崎分室」。幅広い層の交流が図れる卓球場と石窯ビストロが一体になった空間(写真:村島正彦)

2階の「中目卓球ラウンジ川崎分室」。幅広い層の交流が図れる卓球場と石窯ビストロが一体になった空間(写真:村島正彦)

3階のスモールオフィスは、どの部屋も窓が設けられるような余裕のある配置とした。スモールオフィスの広さは5~30m²で坪単価は約1万5000円。共用の会議室を利用できるようにして、周辺のオフィス賃料より少し割高に設定した(写真:NENGO)

3階のスモールオフィスは、どの部屋も窓が設けられるような余裕のある配置とした。スモールオフィスの広さは7~23m²で坪単価は約1万5000円。共用の会議室を利用できるようにして、周辺のオフィス賃料より少し割高に設定した(写真:NENGO)

正面に見える区画は、共用の会議室。ドアなどの造作は、1階に入居する「VUILD」が最新のデジタル木工機器で製作した(写真:NENGO)

正面に見える区画は、共用の会議室。ドアなどの造作は、1階に入居する「VUILD」が最新のデジタル木工機器で製作した(写真:NENGO)


文:村島 正彦

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