中小ビルTOPICS

部屋貸しから時間貸しへ
会議室シェアリングのスペイシーに聞く

スペイシーの内田圭祐・代表取締役と、梅田琢也取締役CFOへのインタビュー

2018/03/28
中小ビルTOPICS

リーシング期間中だけ貸し出す

――中小オフィスビルのオーナーが御社に依頼して、継続的に会議室を運営しているケースもあるんですか。

梅田あります。7~8年ぐらい空室のままだったスペースをオーナーが会議室として貸し出して、毎月、売り上げが出ているケースも出ています。スペイシーはマッチングが成立すれば20%の手数料をいただきます。

会議室のニーズが高いエリアで、オフィス賃料より売り上げが高くなることもありました。2017年に、東京駅の八重洲駅前の再開発エリアにあった築50年以上のビルで、小さい会議室を半年間ほど運営したケースでは、1時間1000円で貸し出したところ、高い頻度で使用された時に約4.5坪の広さで30万円強を売り上げました。古いビルがリノベーションすることなく、時間貸しに転換するだけでバリューアップ、収益アップが実現できることになります。

――空室になったオフィスについて、テナント募集中の期間だけ会議室として貸すことも可能なんですか。

内田いまターゲットにしようとしているのが、まさに空室になってテナントを募集しているオフィススペースです。建て替えによる取り壊しを控えたケースも含めて、通常だと収益を出せない期間に収益性を確保できることが大きなポイントです。ビルの空室は、これから力を入れたいと考えています。オーナーさんからすると、寝ているスペースが収益を生むのであれば興味を持つ方も多いと思っています。

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梅田いま、これからテナントが転出する予定のビルで、スペイシーのサービスを展開しようという話が持ち上がっています。オーナーは上場している不動産会社です。

テナントが入居を申し込んでから実際に入居するまでの期間が、だいたい早くて2週間から1カ月ぐらいとなっています。そこで、実際のオペレーションとしては、利用者が予約できる期間自体を例えば1カ月に設定しておいて、状況に応じて期間を少しずつ延長していくことで、テナントの入居にデメリットが出ないような形を考えています。もしくは複数のフロアや区画が空いているのであれば、一部屋だけ会議室にしておいて、テナントが決まったら別のスペースで転用するとか。

会議室運営を終えた場合の原状回復をどうするかとか、クリーニングをどうするかといった細かい調整はありますが、テナント入居を妨げない形で、うまく流動性を保ちながらぎりぎりまで収益化できる方法を考えたいと思います。

その際に、オーナー側が必要なものといえば、机といすとホワイトボードくらいですね。あとは、必要であれば通信機器を貸し出したりとか、スマートロックを設置したりとか、こちら側で対応します。

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――ビルオーナーとの御社との契約形態は「賃貸借」契約なんですか。

梅田弊社がビルを賃借して、会議室を運営するケースはほとんどありません。弊社のサービスでは、オーナーさんが直接、会議室運営を行うことになりますので、賃貸借契約は結びません。賃貸借契約を結んで強い効力を持たせてしまうと、リーシングをかけながら運営する際に、うまく対応できないですね。例えば、リーシングするよりも会議室の方が収益性が高いとオーナーさんが判断すれば、そのままリーシングを止めて運営を続けていただいてももちろん構いません。

オフィスビル運営では常に空室リスクを抱えていますので、空室期間をうまく活用できれば、結構、価値が高いと考えています。いわゆる既存の資産を有効活用するだけなので、事前の投資もほとんど要りませんから。

(写真提供:スペイシー)

(写真提供:スペイシー)

――いろいろ手掛けられてきたなかで、サービス展開には向かないビルや場所はあるのでしょうか。

内田いまは具体的な駅名や「駅前」と「会議室」などでネット検索して、探される方が多いと思います。ですので、ビジネス街にあるものや、ターミナル駅の駅になるべく近いところの収益性が高いですね。ただ、そこから離れたところでも、これから徐々にマーケットが醸成されて大きくなってくれば、使われていくだろうと思っています。

梅田金額設定も大きな要素になります。いくらで貸すかというところでも結構、稼働率が違ってきます。いかに良い立地でも1時間1万円とかにすると会議室を借りる人はあまりいませんが、500円とか1000円とかであれば、個人のポケットから必要に応じて出しやすくなります。ビルのグレードとか古さとかいうのは、あまり気にしなくてもいいですね。

――例えば郊外のビルでも大丈夫ですか。

梅田もちろんです。サービスの認知が広がってくれば、郊外もカバーできていくのではないかと思います。

会議室運営では、考え方が大きく2つあります。1つは賃料以上に稼ぎたいと、収益性を追求して会議室を運営するという考え方。会議室の方が収益性が高いと判断したケースですね。もう1つは、そのスペースが現状では1円も生まないから、何らかの手立てを講じようとして運営する考え方です。

いわゆる立地がよくて、単価も安く貸し出せれば、通常のオフィスリーシングと同等か、それ以上に会議室で稼げる可能性があります。ただ、立地が悪いからといってあきらめるより、まったく収益に貢献しないよりは何かの手立てを打った方がいいと判断して会議室を検討する方もおられます。

――ビルオーナーが、御社のサービスを既存のテナントに対するサービスや新しい付加価値として活用することはできませんか。例えば、テナント優先で使える会議室を設けて、テナントが使わないときだけ外部にも貸し出すことも可能なのでしょうか。

内田可能ですね。テナントさんの共用会議室みたいな運営もできます。まず、ビルの中の人だけが使えるようにもできますし、並行して外に貸すというのも、開発すればもちろん可能です。

梅田既存テナントをどこまで優先するかということもありますが、ある程度、ビルオーナーさんからの視点でいうと、単純に外部の人がたくさん使ってくれた方が収益性は高くなります。そのうえで、自分のテナントさんにも活用してもらうのが理想的だと思いますね。ただ、予約の仕組みなどをビル単位で構築するのは大変なので、我々のプラットフォームを活用していただいた方がいいですね。

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スペイシー

貸し会議室・レンタルスペースの予約サイト Spacee (スペイシー)を運営している。企業のオフィススペースなどで、使用されずに遊休化しているスペースを、会議室などとして外部の人に貸し出すサービスだ。利用料も1時間あたリ500円からと手ごろな価格に設定されている。貸会議室のほか、研修、勉強会、セミナー会場など幅広い用途で利用されている。利用者はスマホなどで予約、決済が可能。最近では、夜間に営業の飲食店などで、使われていない日中の時間帯をコワーキングスペースとして、座席単位で貸し出すサービスを始めた。

https://www.spacee.jp/


文:編集部、写真:清水盟貴(特記なき写真)

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