知っておくべき制度・補助金

健康で快適なビルが人気になる理由

WELL認証、CASBEE-WOを知っていますか?

2018/06/27
知っておくべき制度・補助金

オフィスビルの健康性や快適性を評価する認証制度を導入する環境が整ってきた。国土交通省が2018年3月にESG(環境・社会・ガバナンス)不動産投資の拡大に向けて、健康で快適なビルの認証制度のガイドラインを公表。これを受けて、建築環境総合性能評価システム(CASBEE)に基づく認定制度を提供している建築環境・省エネルギー機構(IBEC、理事長・村上周三氏)が、健康性や快適性を評価する「CASBEE-ウェルネスオフィス(WO)」を2018年秋に試作版、年度内に正式版をリリースする見通しだ。

米国で2014年に開発された健康で快適なビルの認証制度「WELL Building Standard(WELL認証)」も、2017年12月に日本で初めての認証取得が実現しており、今後は投資家がこれらの認証制度を投資判断にどのように組み込んでいくかが注目される。ビルオーナーも無関心ではいられなくなるだろう。

まずは、健康で快適なビルが求められる背景を整理する。

ESG投資は、2006年に国際連合が「投資家がとるべき行動」として責任投資原則(PRI)を打ち出し、ESGの観点から投資するように提唱したことから、欧米を中心に注目されるようになった。2015年の国連サミットでは2030年を目標とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、環境、健康・福祉、安全などを含む17のSDGs(持続可能な開発目標)を設定。ESG/SDGsの観点からの投資が世界的潮流となっている。

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PRI署名機関数と合計資産残高の推移(資料:国土交通省)

日本では、政府が2016年9月に経済成長戦略の司令塔として「未来投資会議」を設置した。2017年6月に閣議決定した「未来投資戦略2017」では、不動産分野への投資として2020年頃までに不動産投資信託(REIT)などの資産総額を約14兆円から約30兆円に倍増する目標を掲げた。

これを受けて、国交省では「不動産投資市場の成長に向けたアクションプラン」を策定。この中で、(1)CRE(企業不動産)、(2)REIT市場、(3)不動産投資家の投資環境、(4)人材育成の4分野で改革を進める方針が示され、(3)の具体策としてESG投資の普及促進を視野に入れて不動産評価方法のガイドラインを定めることになった。

政府は2016年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」で「働き方改革」を推進する方針を打ち出し、企業などでの取り組みも活発化してきた。特に重要なテーマが、知的労働生産性の向上だ。これを実現するためにも、オフィスワーカーが働きやすく健康で快適に過ごせるワークプレイスへの関心が高まっている。ESG投資だけでなく、働き方改革の観点からも、健康で快適なビルへの投資拡大が見込まれている。

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オフィス利用者のニーズ(資料:林立也)


文:千葉 利宏

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