中小ビルTOPICS

電力をビルのコスト削減ツールに
「でんきの窓口」オーベラス・ジャパンに聞く

大庭勇太・代表取締役社長、池田良太・代表取締役副社長へのインタビュー

2018/07/18
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不動産業界出身だからこそできること

──お二人とも不動産業界の出身と聞きました。なぜ電力に関わる事業を始めたのでしょうか。

大庭・池田 私たちは同じ不動産会社のOBです。ビルのマネジメントなどを手がけており、当然ながらコスト削減は大切なテーマでした。電気をどこから購入するかについて、以前は選べなかったのですが、2000年3月に電気事業法が改正され、電力小売りの自由化が始まりました(※)。当時はまだ法人に限られていましたが、大口の電力消費者は電力小売り事業者を選択できるようになりました。

まず、電力自由化によってどれくらいコストが削減できるかについて検討しました。そしてこの動きはいずれ、不動産業界全体にとってコスト削減のチャンスになり得るだろうと確信しました。それが起業するきっかけです。

電力に目をつけた理由は、電力小売り事業者を切り替えても「電気の質が低下する」というようなハード面のリスクがないからです。あくまで契約をA社からB社に替えるだけなので、携帯電話のキャリアを替える話とさして変わりません。ビルオーナーの立場からすると、リスクがなく一定のコストを下げられれば収益が向上するので、当然やったほうがいいわけです。

私たちがこの事業について検討し始めた10年ほど前は、参入する電力小売り事業者や市場で流通する電力量がかなり限られていました。しかしその当時でも、小売り事業者を切り替えることで一定の電気代の削減が可能でした。この動きが盛んになって、小売り事業者が増えてコスト競争になれば、さらなるチャンスが生まれるだろうと予測しました。実際に、現在ではそのような状況になっています。

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代表取締役社長の大庭勇太氏(写真:清水盟貴)

──電力小売り事業者の切り替えは、どの程度普及しているのでしょうか?

大庭・池田 電力自由化が話題に上るようになった現在でも、切り替えた企業は全体の15%程度ですから、全体からするとまだ少数派です。私たちは不動産業界に特化して、業界内の切り替え率を80%にすることを目指していますが、現状の数字はまだまだですね。

情報が少ないので、切り替える側は、いざ切り替えようと思ってもどうしたらいいかわからないという問題があります。私たちが起業した理由のひとつもそこにありました。とはいっても、全て私たちだけでできるわけではありません。電力自由化を広める人がもっと他にもいたら良いのではないかと思っています。

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代表取締役副社長の池田良太氏(写真:清水盟貴)

※電力小売り自由化:電力は大きく分けて特別高圧、高圧、低圧の3つの使用区分に分けられている。大規模工場やデパートなどが契約する特別高圧(契約電力2000kW以上)は2000年3月に、中小ビルなどが使う高圧は2004年4月(同500kW)と2005年4月(同50kW以上)に段階的に自由化された。一般家庭などが使う低圧電力(同50kW以下)の自由化が始まったのは、2016年4月から。


聞き手:編集部、文:高橋真樹

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