事例研究・バリューアップ戦略

貸せる床を10%減らし共用ラウンジに
テナント満足度を高め賃料は60%アップ

いちご投資顧問のバリューアップ戦略

2018/09/26
事例研究・バリューアップ戦略

中規模オフィスに特化したREIT「いちごオフィスリート」を運用するいちご投資顧問では、自社で運用するいちご東池袋ビル内に「いちごラウンジ」を展開している。3階部分のテナントが退出して新たに入居テナントを募る際、フロアの一部をテナントが共用できるラウンジに改修することで、利便性と賃料のアップにつなげた。築古の中規模オフィスにおける価値向上の成功例として、いちごラウンジの取り組みを同社の常務執行役・深澤真一氏に聞いた。(聞き手:編集部)

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いちご投資顧問常務執行役の深澤真一氏(写真:清水 盟貴)

──まずは、いちごラウンジについて教えてください。

深澤 いちご東池袋ビルは、池袋駅から徒歩6分の明治通り沿いに位置し、地上9階建ての中規模オフィスビルです。その3階にいちごラウンジがあります。エレベーターを降りると、ホールのすぐ横にはスマートロック対応の扉があり、その先は水回りなどの公共スペースも含め、3階のテナントのみ入出が可能になっています。全体に木調で和のテイストを取り入れたシックなしつらえとなっており、奥のラウンジは明るく開放的な空間としました。

いちごラウンジは、3階のテナントが24時間自由に利用できるスペースです。カウンターやソファを配置し、コーヒーやミネラルウォーターなどを飲めるフリーカフェも用意しました。WiFi環境も整え、4人掛けのテーブルにはモニターを設置しています。ランチタイムや休憩、ちょっとした打ち合わせや仕事など、多目的に使える空間となっています。

3階は以前はワンフロアで貸していましたが、ラウンジ付きの小区画オフィスにレイアウト変更しました。改修費はフロア全体で2900万円です。約180坪のフロアに12〜38坪のオフィスを5つと、13坪のラウンジとなります。スマートキーでセキュリティーをかけているので、他のフロアの人はラウンジに入ってこられないようになっています。

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いちごラウンジからエレベーターホールを見る。扉はスマートロック対応(写真:いちご投資顧問)

──御社ではこのような取り組みは初めてだとお聞きしました。どうしていちごラウンジを展開しようと思ったのでしょうか。

深澤 中規模オフィスは、ここ1〜2年でテナントのニーズが多様化してきました。特に、居住性の高いおしゃれな物件に対するニーズがかなり増えているように感じます。それにどう応えていこうかを考察して、この企画が生まれました。

基本的にオフィスビルは、セキュリティーの問題などもあり、同じフロアに複数のテナントが入居するよりもワンフロアで使う方がオーナー側にもテナント側にも都合が良いです。このフロアも、もともとはワンフロア使用でしたので、そのまま貸すという選択肢もありました。しかし、調査してみると、100坪前後よりも15〜30坪くらいのオフィスに対するニーズが多いことが分かりました。そこで、テナントニーズの多様化を踏まえ、このような取り組みにチャレンジしてみることにしたのです。

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いちごラウンジ(写真:いちご投資顧問)

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いちごラウンジがある3階の平面図(資料:いちご投資顧問)


聞き手:編集部、文:鈴木素子

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