「東京クラシック 馬主クラブ棟」
建物は垂直性の強い木立の中に水平に伸びやかに配置されています。空気が澄んだ非常にすがすがしい北欧の風景を感じさせるような印象の厩舎です。馬にストレスを感じさせないように配慮された木質空間が秀逸です。
「東急池上線戸越銀座駅」
駅という利用時間の制約の中で構法が考えられている。極力重機を使わないようにハンドリングの良い木材を採用したことはとても合理的な解法だと思います。都市の中のオアシスのような場が木質によって生み出されたように思います。
「NOCO」
レンガから木へ。木を使うことで銀座に新しい歴史を生み出そうとした意欲的な作品です。視線を上方へ導く疎密のデザインも成功しています。コンクリート、鉄、ガラスの建築の中にあって改めて素材の力を感じさせられました。
「東京クラシック 馬主クラブ棟」
厩舎の窓から顔を出している馬の穏やかな眼差しが、受賞の理由を物語っています。森の中で人と馬が一緒に穏やかな時間を過ごす情景を思い浮かべると、優しい気持ちになりました。構造は安心感があります。周辺の樹木の濃い緑、木の素地と塗装のグレー、屋根の芝生の緑、照明の温かな電球色が美しく調和し、貴族的な上質の空間を生み出しています。丁寧に考えられた建築で、最優秀賞候補作品でもありました。
「東急池上線戸越銀座駅」
都市の公共空間にこのような木の建築があらわれて、人々が木の魅力に触れる機会が増えると、環境への意識が変わるはずです。リニューアルにあたっては、地域住民が多摩の森で木の勉強もしています。こういった取り組みは他の応募作品にも見られ、街と森をつなぐ意識が作り手に定着してきたと感じます。集成材パネルで作られたシザーストラスのデザインには、意匠設計を支える構造設計者の力量を感じます。
「NOCO」
鉄とコンクリートとガラスで作られた都会に木の素地が現れると、こんなに風景が変わるのかと感動します。
木造都市の夢もみんなで見れば、夢は現実になると思わされました。全部木造で作らなくても、こんな風に少し使うだけで、木の存在感が大きいので効果的だと教えてくれる作品です。
惜しくも次点となった「たねや農藝」は周辺環境を丁寧に読み取り、大地に溶け込むような有機的な木質空間を創出しています。ディテールが美しく、建築の完成度の高さが評価されましたが、塗装についてのコメントがなかったことが勝敗を分けました。
「東京クラシック馬主倶楽部」
手入れが行き届いた周辺環境と厩舎が人と動物の出会いの場を、そして新しい風景を作る。草屋根や小屋組を利用した排気方法、断面の押さえ方、そして適材適所、素材を使い分け清潔感とぬくもりのある、何とも贅沢で美しい厩舎です。
「東急池上線戸越銀座駅」
駅に休みはない。思いを形にするということはこういう事なのでしょう。木を使う事で実現させた町作り。利用者を魅きつけるそのアイデアが及ぼす影響は大きいと思います。
「NOCO」
ファサードでしのぎを削る銀座の専門店の中に、また新しい表現が生まれました。高く伸びた樹木の木の香りが漂うかのようにも思えてきます。