第6回 木質建築空間デザインコンテスト審査結果発表

主催:大阪ガスケミカル 共催:日経アーキテクチュア 後援:日本建築士会連合会

住宅部門賞

「日本橋木屋 東京ミッドタウン店」
萬代 基介萬代基介建築設計事務所

住宅部門賞

「子供の家」
伊藤 潤一千葉大学・伊藤潤一建築都市設計事務所
「HOME BASE」
小林 和生/小林 利佳PLUS CASA
「富久千代酒造 酒蔵改修ギャラリー」
平瀬 有人佐賀大学・yHa architects /平瀬 祐子yHa architects

審査委員講評

「日本橋木屋 東京ミッドタウン店」
 ミニマルな表現には周到な技術があるはず。構造家は関わっているのだろうか?という疑問をもちながらも、そのアイデアの実現に脱帽です。

赤青二色配色の「ピコロール」、その遊び心のセンスは抜群でしたが賞には至らず残念です。

「子供の家」
 児童養護施設の問題と可能性をよく読み込み、室内・外の空間は蘇るのみならず、無垢材の力を借りて、大変魅力的に変身しています。やんちゃな子供達のエネルギーを受け止め、想像する楽しみをもたらし、自分の大切な居場所である事に気付いてもらえると思いました。

「HOME BASE」
 豊かな空間のボリュームは何にも代え難い。かつての真っ暗な資材置き場からの転用はモノからコトへ、建築に関わる仕事のおもしろさも伝え、その力量の高さを感じます。

「富久千代酒造 酒造改修ギャラリー」
 酒造会社の木造の改修転用は活発である。とりわけ新旧エレメントの扱いが明快で、素材の違いを生かした計画は、造形的にも美しい空間となっています。

平倉 直子 氏

「日本橋木屋 東京ミッドタウン店」
 白い照明効果でホワイトアウトした無重力のような空間に無垢の角材が行儀よく、圧倒的な存在感で空中に並んでいる。木という素材を即物的に表現した佳作。

「子供の家」
 「施設」から「家」へというコンセプトが木と家型を採用することで直裁的にデザインされています。児童養護施設という、ここに暮らす子供達にとっておそらく一番必要な暖かさと優しさが木と家型なのでしょう。きっと子供達の記憶に残るだろうと思います。

「HOME BASE」
 屋内運動場のような大らかな空間がとても魅力的です。室内は大きな気積を柔らかく包むような淡白に染色された木質空間はここでの生活を保障しているようです。暖炉、あかり、家具などの室礼で様々な居場所ができているようです。

「富久千代酒造 酒造改修ギャラリー」
 登録有形文化財である酒造所の旧精米所からギャラリーへのコンバージョン。デザイン上の制約を尊重しつつ、黒皮鉄板を利用した構造的解法がデザイン的にとても魅力的です。残すものと新たに挿入するものとのバランスのデザインであり、それが見事に新鮮で美しい空間を生み出しています。

石田 敏明 氏

「日本橋木屋 東京ミッドタウン店」
 創業200年の刃物店の歴史に、樹齢200年の無垢の木をぶつけるセンス。「木材を仕上げだけでなく、構造体として使うことで無駄のない本物の造りとなる」と、店の本物志向のポリシーと掛け合わせるセンス。まな板をカンナで削るサービスを紹介し、このテーブルが汚れて削るとき、「空間に漂う木の香りは200年前の空気かもしれない」と言うセンス。これを実現した構造設計者のセンスと合わせて、心を射抜かれました。

「子供の家」
 老朽化して暗く、自転車が雑然と置かれた改修前の状況を、改修後の子どもたちが写った写真と比較すると、設計者の試みが成功していることがよくわかります。それは木の力を借りないと実現できない試みでした。建築を作る我々は人々を幸せにするためにものづくりの知恵を授かったということを思い出させてくれました。家型のゲートは楽しげで、アイコンのアイデアは秀逸です。最優秀賞候補作品でもありました。

「HOME BASE」
 鉄骨山型ラーメンの比較的大きな建築をコンバージョンする作品は他にもありましたが、自邸に転用し、100畳のワンルーム空間を作ってしまった思い切りのよさが興味をひきました。ここでどんな暮らし方をされているのか、こっそり覗きに行きたくなります。

「富久千代酒造 酒造改修ギャラリー」
 伝統的な工法で建てられた古民家や町家や蔵のコンバージョンは、数回前のコンテストから毎回登場します。今回も複数の応募がありました。この作品は耐震補強計画が建築計画に上手く生かされている点を評価しました。12mm厚の黒皮鉄板が経年変化でどのような表情に変わるのか楽しみです。

桝田 洋子 氏
審査委員長
平倉 直子 氏 建築家 平倉直子建築設計事務所 代表
■1950年 東京都生まれ ■1973年 日本女子大学 家政学部住居学科卒業 ■1978年 平倉直子建築設計事務所設立 ■1989〜2012年 日本女子大学 住居学科 非常勤講師 ■現在 早稲田大学 芸術学校、非常勤講師
審査委員
石田 敏明 氏 建築家 神奈川大学 教授
■1950年 広島県生まれ ■1973年 広島工業大学 建築学科卒業 ■1973年 伊東豊雄建築設計事務所入社 ■1982年 石田敏明建築設計事務所設立 ■1997年-2016年 前橋工科大学 教授 ■現在 神奈川大学 工学部 建築学科 教授
桝田 洋子 氏 構造エンジニア 桃李舍 代表
■1959年 大阪府生まれ ■1984年 京都工芸繊維大学 工芸学部 住環境学科卒業 ■1984年 川崎建築構造研究所入社 ■1993年 同大学大学院 工芸科学研究科修士課程修了 ■1989年 桃李舍設立
作品提出(計 467件)
● 住宅部門 218件
● 一般建築部門 140件
● テーマ部門 109件
インテリア 35件
リノベーション/コンバージョン 74件
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