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[コージェネ財団 特別講演会2018 レビュー3]鼎談 エネルギー基本計画の実現に向けて ~次世代のエネルギー需給におけるプロシューマーシステムの重要性~(後編)

[コージェネ財団 特別講演会2018 レビュー3]鼎談 エネルギー基本計画の実現に向けて ~次世代のエネルギー需給におけるプロシューマーシステムの重要性~(後編)
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2018年9月5日(水)公開
取材・構成・文/小林佳代 写真/加藤康
 

7月19日、コージェネ財団の特別講演会で行われた、IHIの水本伸子取締役常務執行役員高度情報マネジメント統括本部長、経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部の山影雅良政策課長、コージェネ財団の柏木孝夫理事長による鼎談の後編。エネルギー市場にDecentralization(分散化)、Decarbonization(脱炭素化)、Digitalization(デジタル化)の「3D」の動きが見え始める中、未来のエネルギーシステム、エネルギービジネスはどうあるべきか、意見を交わし合った。

エネルギー市場で変化をもたらす「3D」

柏木:これまで、電力会社は電力需要のピークに合わせて電源を持っていました。ある電力会社の管内では年間1%ほどしか稼働しない電源が全体の7.5%もありました。市場原理の下では、こうした稼働率の低い設備は抱えられません。徐々に淘汰され、代わってコージェネレーション(熱電併給)システムや再生可能エネルギーなどの分散型電源に移行していくはずです。需要側が供給側とコミュニケーションを取りながらエネルギー需給を最適化するプロシューマーシステムの時代が到来します。IHIは大規模電源も分散型もつくっていますが、ビジネスに変化は出始めていますか。

水本:現時点では、海外でも国内でも大規模電源をつくるところにニーズがあるというのが実情です。

柏木:依然、大規模電源のビジネスが中心だと。とすると、エネルギー自由化はそれほど進展していないということでしょうか。山影さん、いかがですか。

山影雅良(やまかげ・まさよし)
山影雅良(やまかげ・まさよし)
経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部政策課長
1994年4月通商産業省(現経済産業省)入省。特許庁、資源エネルギー庁、製造産業局などで電力関係、住宅関係の業務を担当する。2009年5月経済産業政策局地域経済産業グループ地域経済産業政策課、2009年10月内閣府行政刷新会議事務局を経て2010年7月内閣法制局第四部参事官に就任。2016年6月資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課長、2017年6月資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギーシステム課長(併)水素・燃料電池戦略室長に。2018年7月より現職。

山影:まだ道半ばなのだと思います。自由化は2020年の発送電分離によって完成します。そこに向け、細かな制度設計の見直しもしています。自由化で競争が激しくなった結果、新しい投資を避け、今ある資産を長く使おうとする行動も出てきます。新しい技術に対して長期的な投資が進むよう市場を形成することが我々に求められていると思っています。

柏木:世界銀行が基本的に石炭火力発電所へ融資しない方針を示すなど、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大とともに、世界の金融機関が石炭火力と距離を置く傾向が強まっています。IHIはそのあたりをどう感じていますか。

水本:世界では、プロジェクトが停滞している例も出ていますが、IHIが今現在、投融資で困っているということはありません。新興国を中心に、日本の石炭火力の省エネ・省CO2技術はまだ大いに活躍の場があります。自ら否定することはないと思っています。

 ただ、大規模電源にニーズがあるとは言いましたが、電力会社、ガス会社が全く変わっていないというわけではありません。エネルギー市場で大きな変化をもたらすDecentralization(分散化)、Decarbonization(脱炭素化)、Digitalization(デジタル化)の「3D」の動きは確実に出てきています。我々も、それに対応していかなくてはなりません。

 例えば、デジタル化でいえば、通信速度が速くなり、クラウドが使えるようになり、リアルタイムでデータを把握し、新たなビジネスにつなげることが可能になっています。IHIとしてはこれまでに収めたコージェネなどの分散型エネルギーシステムを含めて、工場全体のスマート化、省エネ化を提案することを狙っていきたい。ものづくり企業でありつつも、IT(情報技術)、IoT(モノのインターネット)を使ってビジネスモデルを変革していきたいと思います。

 
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