南谷真鈴

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10代でエベレストにだって登れたんだから
どんな夢物語も、現実に変えてみせる。

早稲田大学 学生
七大陸最高峰日本人最年少登頂記録保持者

南谷 真鈴

MINAMIYA Marin

2016. 10 .25 公開

interview : SAKIYA Miho 
photo : KAWAZU Tatsunari

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── 標高の高い山に登るということは、死の危険と隣り合わせでもありますよね。

はい。世界的な標高の高い山でなくても、死の危険は身近にあります。
2015年3月、高校を卒業した直後、国内の雪山をトレーニングとして登ったとき、250メートル滑落しました。
この経験は一生忘れないです。
幸い、無傷、無骨折でしたが、実は同じ場所で、数年前に大学生が2人亡くなっていたんです。私だって運がよかっただけで、打ちどころが悪かったらどうなっていたか。3カ月前に南米の最高峰アコンカグアの登頂に成功していたので、どこかで油断していたのかもしれません。いい薬になりました。
エベレストに登ったときには、斜面を横断する道で半分雪に埋まった遺体を見ました。
マナスルでは、高度障害でチームメンバーの1人が亡くなりました。
山は確かに死と隣り合わせにある危険な場所でもあります。でも、それって登山に限らないと思うんです。車にぶつかったり、階段から落ちたりして、ある日突然死んでしまうかもしれない。そういう気持ちは常に持っています。人間の体は、案外もろいものです。
だからこそ、高いリスクを冒す登山をするときに自分自身の不注意で死を招くことは許されない。そう考えて、人一倍安全な登山を心掛けています。
自分の技術や安全意識にかかわらず、リスクの高い山、登頂困難な山は存在します。世界で2番目に高いK2は、登山家の死亡率が40%に達します。10人のチームで向かったら4人は亡くなる計算になります。そんな高いリスクを冒してまで登山をするか。今の私はあえて登ろうとは思いません。

登山グッズ。クライミングシューズ、チョコレート、ピッケルなど。チベットのローカルクライマーにもらったメノウの石は登山時にいつも身に着けている

愛用の登山グッズの数々。チベットのローカルクライマーにもらったメノウの石は、登山時にいつも身に着けている

── 南谷さんが山に登る時、チームは毎回メンバーが違うわけですよね。どういうチームが登頂に成功しやすいと思いますか?

メンバー 1人ひとりの目標に対する熱意が、同じくらい強いことです。
ひとりでも熱意が足りない人がいると、チームの和はすぐに崩れてしまいます。おそらく登山以外のプロジェクトでも基本は同じだと思うのですが、チームが一丸となって運命を共にして遂行する登山では、それが如実に表れる。
誰かひとりが「もういやだ」と途中で勝手に離脱してしまったら、そのメンバーの荷物をみんなで分担して登山しなければならなくなる。そうなれば、登山失敗のリスクは飛躍的に高まります。
だからこそ、チームのメンバーが集まったら、まず事前によく話し合って、目標をひとつにすることが大切です。
目の前の障害に対して「つらい」「できないかもしれない」と思って諦めたら、ゴールにはたどり着けない。とにかく目標を決めて、何が何でも成功させる、と信じる。成功するか否かはすべてそこから始まる、と思います。学業や仕事でも一緒なのではないでしょうか。

── 7大陸最高峰を制した今、登山家としての次の目標は?

私は、登山家ではありません。本分は学生ですし、登山は人生の中の1プロジェクトだと捉えています。私は自分で新しいプロジェクトを設定して、それを遂行するのが大好きなんです。だから、これからは登山以外にもいろいろなプロジェクトに挑戦していきたい。直近で考えているのは、北極探検。そして、その次はセイリングでの世界一周です。ところどころの港に停まって、その国の子供たちが夢をかなえるためのサポートをする。そんなプロジェクトを考えています。

写真

もっと先の将来のことでいうと、世界の食糧問題を解決することに興味があります。世界最高峰の麓の多くは、貧困にあえいでいる人たちがいるところでもあります。自分と同世代の若者やもっと小さな子供たちが貧しい生活を強いられている。登山のたびにその現実を直視させられてきました。何が足りないかというと、やはり食糧なんですよね。世界の貧困を救う手立てのひとつは、安定した食糧供給のはず。だったら、今進んでいる、ハイテク農業。例えばビルの中で農業を行うシステム。南極でも、サハラ砂漠でも、香港のコンクリートジャングルでも、電力を確保すれば食糧生産が可能となるシステム。例えばこうした新しい食糧供給のプロジェクトに挑んでみたい。なんらかの起業も視野に入れたい。
夢物語だと思いますか?
でも19歳の日本人の女の子がエベレストに登頂するのだって、夢物語だと思われていました。
強く願って行動すれば、どんな目標も達成できるはず。
私は、不遜にも、自分をそう信じています。

南谷真鈴
早稲田大学 学生
七大陸最高峰日本人最年少登頂記録保持者
1996年、神奈川県生まれ。1歳半のときに父親の転勤でマレーシアへ。その後、上海や香港で生活。以降、12年間海外在住。2011〜13年の間に香港の山々をすべて登り、その後ネパールやチベットの6000メートル級の山々に登頂。2011年には英国エディンバラ公国際アワードブロンズ賞受賞。2012年には、同シルバー賞受賞。2014年にゴールド賞を受賞。South Island School Hong Kong、東京学芸大学附属国際中等教育学校を経て、2015年より早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科在学中。

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CHANGEMAKERS 10

Column CLÉ de Cartier

Simplicity is an Art.

凛とした強さこそ、美しい。

CLÉ DE CARTIER

クレ ドゥ カルティエ ウォッチ SS 31mm ¥485,000(税抜)

Simplicity is an Art.

凛とした強さこそ、美しい。

自立した現代的な女性のファッションやライフスタイルにマッチし、対等なパートナーとして気持ちを奮い立たせるモノ……。それがカルティエの時計である。

どのコレクションもかれんなフォルムを持っているが、単に美しいだけでなく“凛(りん)とした強さ”を感じるのは、カルティエが時代の変革者であるからに他ならない。
170年を超える歴史と文化、伝統は守りつつ、そこに安住するのではなく、時代の変遷に合わせて明確なビジョンを持ち、常に新しいスタイルを作り出してきたという実績が、時代を切り開いていく女性たちから支持されるのだろう。

「クレ ドゥ カルティエ」はクッション型のたおやかなケースと小ぶりなローマン数字のインデックス、そして華やかに広がるフランケ模様のギヨシェという、カルティエらしいディテールを持っている。

しかし最大の特色は、目に飛び込んでくる角型のリュウズだろう。これはクレ(フランス語で“鍵”の意味)と呼ばれ、ケースのサイドフォルムを際立たせるために考案されたもの。デザインと機構の両面で常に新しいチャレンジを行ってきたカルティエらしい斬新なディテールだが、角型にすることで指先にフィットし、針を操作しやすくなったという実用的なメリットも見逃せない。

バリエーションも豊富で、日常使いに適したステンレススティールモデルもあれば、特別な時間を過ごすためのダイヤモンドが配されたモデルもある。その“鍵”は、幸せの扉を開くアイテムとして、貴女にそっと寄り添ってくれるに違いない。

Text by SHINODA Tetsuo

主催:日経ビジネスオンライン
 特別協賛:リシュモン ジャパン カルティエ