藤田晋

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インターネットに新しい
「マスメディア」をつくります。

サイバーエージェント社長、AbemaTV社長

藤田晋

FUJITA Susumu

2016. 11 .15 公開

interview : KATASE Kyoko 
photo : KIM Yongduck

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新規事業には一生懸命な若手が向いている

——現在、『AbemaTV』に関わっているサイバーエージェントの社員の中には、よもやテレビ番組の仕事をするようになるとは思わなかった人もいるでしょうね。

もちろんです。ただ、サイバーエージェントの場合、創業以来、何もないところから新事業を立ち上げるのが当たり前でした。しかも、大学新卒を積極的採り、あえてゼロから仕事をさせる、という働き方を推奨してきました。
というのも、まったく新しい事業の場合、近い職種で中途半端に経験を積んだ人よりも、まっさらの新卒がゼロの状態から素直に学び、思考錯誤しながらビジネスを展開していくほうが、面白い仕事が生まれるし、結果として想像以上の成功を産むことが多いのです。
なまじ経験や知識があると、過去の常識に束縛されて新しいビジネスを展開できなかったりする。だから、『AbemaTV』の現場には、若手を重点的に配置しています。
経験と知識とセンスとが圧倒的に必要な番組作りに関しては、テレビ朝日の優秀な人たちが現場に入ってくれるので、それでまったく問題はないわけです。

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テレビ朝日から『AbemaTV』に移ってきた人たちも、昨今の地上波テレビがアプローチできなくなりつつあった10代から20代にかけての若年層をターゲットとした番組づくりに挑戦できるということで、現場は非常に盛り上がっています。

現在、『AbemaTV』の視聴者層は18〜24歳と25〜34歳がほぼ同数で最も多い状況です。10代以下の統計がとれない仕組みになっているので、実際には若者のシェアはもっと高いはずです。一方で地上波テレビは50代60代70代の視聴者が多いですから、テレビ朝日本体とは、大きな意味では「食い合い」がなく、むしろ相互補完的に、あらゆる世代にリーチが可能となるわけです。

『AbemaTV』のような世界を見てもまだない新しい事業は、否定しようと思ったら誰にでも簡単に否定できる事業です。つまり、そこに配属されたらゼロから立ち上げて頑張るしかない事業なのです。
効率よくやろうとか無駄をなくそうなどとは考えず、何の疑いもなくすべてに一生懸命に取り組む若手こそ向いているのです。若手たち中心で固定観念にとらわれないサービス開発を行い、テレビ朝日から来たプロたちに面白い番組をどんどん作ってもらう。一見遠回りに見えますが、結局は一番成功への近道だと信じています。

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——サービス開始から約半年が経ちましたが、手応えはいかがですか。

冒頭でも申し上げたように、予想を上回る伸び方をしていますが、まだようやく足場を築いた段階です。
『AbemaTV』がいま優先的にリーチしようとしている客層は、従来の地上波テレビが取りこぼしつつある若年層、10代20代が中心となります。この層を顧客としている広告クライアントは、従来の地上波テレビでのリーチが難しくなっているため、『AbemaTV』に大きな期待を抱いてくださっています。

ありがたいことに、『AbemaTV』には、共同事業者であるテレビ朝日以外のテレビ局からもコンテンツを提供いただけるようになってきました。とりわけアニメーションは多くの若い視聴者を獲得しつつあります。今後は、民放のドラマやアニメなどの再放送メディアとしても利用していただければ、よりたくさんのより多様な視聴者を獲得できるようになるはずです。

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——収益化の見通しはいかがですか。

ここ2〜3年は、損益を度外視してとにかく視聴者数を徹底的に増やす方向で、事業を進めていきます。まずは『AbemaTV』がインターネット上でダントツのマスメディアになること。「広告ビジネス」が成長するのはそれからです。
『AbemaTV』は、まだ世界で誰も挑戦したことのない、インターネット上の「テレビ局」を目指しています。だからこそ、社長の私があえて陣頭指揮を執る。真の新規事業はトップダウンで突っ走らないと先に進みません。それが市場にチェンジメイクをもたらすいちばん重要なことだと思っています。

藤田晋
サイバーエージェント社長、AbemaTV社長
1973年、福井県鯖江市生まれ。97年に青山学院大学を卒業後、人材派遣会社のインテリジェンスに入社。99年に退社し、サイバーエージェントを設立。2000年に東証マザーズに上場し、2014年に東証一部へ変更。2016年にインターネットテレビ局『AbemaTV』を開始

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CHANGEMAKERS 10

Column DRIVE de Cartier

What drives You?

変革へのパッションこそ、すべての源だ

DRIVE DE CARTIER

ドライブ ドゥ カルティエ ウォッチ SS 41mm ¥640,000(税抜)

What drives You?

変革へのパッションこそ、すべての源だ

挑戦なくして、成功はない。カルティエの3代目ルイ・カルティエは、良き挑戦者であり、常に業界をリードするパイオニアであった。その最大の功績の一つが、紳士用腕時計を世界で初めて製作したことだろう。1904年、彼はブラジルの飛行家にして、ベルエポック期のパリで注目を一身に集めただて男、アルベルト・サントス=デュモンのためにエレガントな腕時計を製作。これこそが紳士用腕時計の始まりであり、その後のメンズウォッチの方向を決定づけた。名作「サントス」の誕生である。

カルティエは、その後も「タンク」「バロン ブルー」「カリブル ドゥ カルティエ」など、数々のメンズウォッチを生み出し、いまも時計業界のパイオニアであり続けている。そして、それらの傑作時計すべてに当てはまるのが、官能的なデザインと機械的精緻さの両立である。美しいフォルムを持つカルティエの時計は、ひと目見ただけでそれとすぐに分かる。これは、ウォッチメーカーとしての高い技術力なしには成し得ないものだ。

今年、メンズコレクションに新たに加わった「ドライブ ドゥ カルティエ」にも、その伝統は受け継がれている。ローマン数字のインデックスやフランケ模様のギヨシェダイヤル、ソード型の針など、随所に際立つ“カルティエらしさ”。優雅なクッションケースのボリューム感が目を引くが、実際は薄く作られており、腕にすると驚くほどよくなじむ。スケルトンバックからは、自社製ムーブメントCal.1904の美しい仕上げを堪能できる。

腕時計としては揺るぎない正統派。それでいて、7のインデックスに小さくCartierの隠し文字を入れるカルティエの伝統的な遊び心も、現代の粋人を引きつけている。

Text by SHINODA Tetsuo

主催:日経ビジネスオンライン
 特別協賛:リシュモン ジャパン カルティエ