日経ビジネスオンラインスペシャル
カルロ・ガリリオ

リシュモン ジャパン カルティエ社長兼CEO

カルロ・ガリリオ

Carlo Gariglio

interview : SAKIYA Miho 
photo : KIM yongduck

この秋、「日経ビジネスオンライン」では、次代のチェンジメーカーを10人選出し、表彰する「CHANGEMAKERS 10—2016」を開催する。2010年にスタートした「CHANGEMAKER OF THE YEAR」。以来、数々のチェンジメーカーをいち早く見いだしてきた。
当アワードをスタート時から協賛してきたリシュモン ジャパン カルティエ社長兼CEOのカルロ・ガリリオ氏が、各界のチェンジメーカーたちを応援し続ける意義について、改めて語る。

次代を切り拓く「チェンジメーカー」たちを選出する本企画も、7回目を迎えました。
もちろん、今後も応援していくつもりです。なぜ、当社が「チェンジメーカー」を応援し続けようと考えているのか。それは、「チェンジメーカー」という概念と、カルティエの価値観が、非常に近しいからです。一番共通するのは、どちらも「開拓者精神=パイオニアスピリット」を持っている、ということです。

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開拓者とは、パイオニアとは、どんな人を指すのでしょうか? 私が考えるに、パイオニアとは、今を見つめながら、未来がどうあるべきかを考え、そして実行できる人です。

これまで選出されたチェンジメーカーの方たちは、さまざまな分野で仕事をされています。科学の世界で、工学の世界で、芸術の世界で、エンタテインメントの世界で、そして経営の世界で。そしてどの分野においても、先端を走り続ける、パイオニアであり続けていらっしゃいます。

一方、カルティエにはすでに170年近い歴史があります。ただし、私たちは、その歴史に甘んじるつもりはありません。伝統を大切にしながらも常に未来を見据え、改革を恐れないパイオニアであらんとしています。

カルティエの3代目のルイ・カルティエ自身がパイオニアであり、チェンジメーカーでした。ジュエラー=宝石商として次々に新しいことを手掛けてきた先駆者だったのです。彼は貴金属として初めてプラチナを採用し、他のジュエラーにはなかった幾何学模様のアールデコ スタイルのデザインを確立しました。

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そして宝石の世界にとどまらず、1904年に「腕時計」を発明しました。
持ち運べる時計といえば、懐中時計しかなかった1890年代初頭。飛行家のアルベルト・サントス=デュモンが、「飛行中にも見られる時計が欲しい」と友人であったルイ・カルティエに依頼しました。それが今、私たちが当たり前のように使っている腕時計の始まりです。身に着けられる時計なんて誰も想像できなかった時代に、ルイ・カルティエはまったく新しい時計の在り方を提案しました。まさに時計の世界で「チェンジメイク」をした瞬間です。

カルティエは、宝飾・腕時計の世界をパイオニアとしてけん引してきました。だからこそ、私たちは、他の分野のパイオニアに対して、限りない敬意を持っています。実際、新たなパイオニアであるチェンジメーカーの方たちとお話をすると、共通するマインドセットを持っていることを実感します。

常にパイオニアであれ、そして大きな変化をもたらす改革者であれ。
そんな志を同じくする未来の同志を、ささやかながら、ぜひサポートしたい。そんなわけで、私たちはこれまでも、そしてこれからも、「CHANGEMAKERS」のプロジェクトを応援していきます。

本企画が「CHANGEMAKERS OF THE YEAR」の名で『日経ビジネス』と『日経ビジネスオンライン』誌上でスタートした2010年。その年、私たちはカルティエ初となる男性のためだけの腕時計「カリブル ドゥ カルティエ」を発表しました。昨年(2015年)にはシンプルかつ斬新なフォルムの「クレ ドゥ カルティエ」を、そして今年(2016年)、カルティエらしさにあふれた力強さと美しさを併せ持つ男性用「ドライブ ドゥ カルティエ」を発表しました。

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カルティエの時計の長い歴史の中でも、ここまで矢継ぎ早にメンズの新しいコレクションを発表したのは、かつて例を見ないことです。主な理由は、お客様の求める時計の方向性が急速に変化し、多様になったからでしょう。特にここ10年、時計を愛するお客様の間で、より変化に富んださまざまな種類のウォッチを手に入れたい、という声が高まっていました。そこで私たちは積極的に「チェンジ」する道を選びました。それが、「カリブル」であり、「クレ」であり、「ドライブ」です。

今回の「CHANGEMAKERS 10 — 2016」では、10人の新たなチェンジメーカーを選出します。候補者の方々は、これまでにも増して多様な背景を有している、と伺っています。性別も、年齢も、専門分野も、国籍も。つまり、今後の日本社会を、国際社会を発展させるカギとなる「多様性」がうたわれています。今度はどんなチェンジメーカーたちが登場するのか。私も楽しみにしています。

7回目を数える「CHANGEMAKERS」アワードですが、私たちはこれまでの成果に甘んじ、安住するつもりはありません。チェンジメーカーという名を冠しているのですから、このアワード自体も常にイノベーションを起こしていかなければなりません。チェンジ、という言葉の字面だけをなぞるように、ただ新しいこと、ただ変化を起こした人を安易に選んでいてはなりません。

チェンジメーカーに求められるのは、ただの変化ではない。それぞれの専門分野で、パイオニアとして新しい世界を創り出す。そんなビジョンを持ち、実行に移している人を探し出し、選んでいきたい。そう考えています。

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このアワードで選出されたチェンジメーカー同士が出会い、新たなケミストリーを生み出し、次のチェンジメイクが登場する。そんな瞬間を、私たちは今待ち望んでいます。その萌芽がすでに見られます。
2016年春、私たちは、東京・南麻布のフランス大使公邸にて受賞者が一堂に会した「CHANGEMAKERS」ディナーを開きました。

このとき初めて、過去6回のアワードで選出されたチェンジメーカーが数多く顔を合わせることになりました。私自身も大いなる刺激を受けました。なにより会場では異質な才能がぶつかりあい、いくつもの化学反応が起こっていたように思います。

そのあと、2人のチェンジメーカーがすぐに行動を起こしたそうです。デザイナーの佐藤オオキさんとミュージックセキュリティーズ株式会社の小松真実さんのお二人が、宮城県気仙沼市のコーヒーの名店「アンカーコーヒー」の東京赤坂店をプロデュースした、と伺いました。アンカーコーヒーは東日本大震災復興の旗手とのこと。チェンジメーカーたちがタッグを組み、社会的に意義のあるムーブメントを起こす。本当にうれしく思います。

チェンジメーカーたちが、日本を、世界を変えていくのはまさにこれからです。新しいチェンジメーカーが誕生する瞬間に立ち会い、彼ら、彼女らが次の世界を創造する瞬間を、ぜひみなさんと一緒に体験したいと願っています。

CHANGEMAKERS 10

主催:日経ビジネスオンライン
 特別協賛:リシュモン ジャパン カルティエ