日経ビジネスオンラインスペシャル
山田進太郎

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すべては個人のために
だから世界を目指すんです。

株式会社メルカリ 代表取締役社長

山田進太郎

YAMADA Shintaro

2016. 12 .6 公開

interview : KATASE Kyoko 
photo : KIM Yongduck

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何かに反対する人は、それを使ったことのない人

── アメリカ進出の手応えはいかがですか。

ダウンロード数は順調に伸びていますし、事業規模も拡大しています。短期的な成功、つまり黒字化すること自体はそう難しくないと思っています。だからこそ、安易なところで満足したくない。事業の伸びは日本のほうが速いんですよ。ということは、メルカリのサービスが、まだアメリカにちゃんと対応しきれていない、ということでもあります。もっともっとユニバーサルなサービスにしなければ、世界中で使われるようにはなりません。
僕自身、いま月の半分は海外にいます。アメリカのオフィスと、これから展開を控えている英国を回って、準備を進めています。
世界中でより多くの人に、より楽しく便利にメルカリを使ってほしいと思っています。今、社内の開発リソースの9割はアメリカに向けています。次は英国、その後ヨーロッパ、新興国へ。これは絶対にやり遂げます。

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── メルカリが世界規模になれば、個人間でやりとりするのが必ずしも物品じゃなくてもよくなる可能性がありますね。

その話はよく言われます。今、メルカリの事業規模拡大とは別に、グループ会社のソウゾウで、新しいインターネットサービスの開発をいろいろ行っています。
すでに海外では、モノ以外を個人間でシェアするマーケットがどんどん立ち上がり、それがビジネスになっています。個人の部屋をインターネットを介して他人に宿泊の場として貸し出すことからスタートしたAirbnb(エアービーアンドビー)はその典型ですし、地域の個人車両をスマホのアプリで呼び出して、行きたいところまで乗せてもらうUber(ウーバー)もそうです。
どちらもアメリカで生まれて、あっという間に世界中に広まり、同じようなサービスが普及しています。世界を旅していてもそれを実感しました。まさにスマホ時代のサービスです。インターネットを介して、必要なときにすぐに自動車を利用したり、宿泊ができる。

メルカリを個人間取引のプラットフォームと考えると、そこにさまざまなサービスを乗せていくことは十分可能です。ただ、日本においては、腰を据えて、時間をかける必要があるかもしれません。
というのも、日本では、新しいサービスが出てくると反対するひとが多いと思うんです。

AirbnbもUberも、従来のホテルやタクシーと比較して危ないんじゃないか、という具合に、世界の趨勢と比べて業界の対応が遅かったりする。

ただ、反対するひとってだいたい「使ったことのないひと」なんですよね。実際に一度でも使うと「なんだ、便利じゃないか」「思ったよりずっといい」となるはずです。そうでなければ、世界中にこれだけすぐに浸透していないですから。

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「旅先で、ぱっと思い立ったところで、すぐに泊まれる場所が見つかるんだったら、ホテルのように毎日ベッドメイクしてもらわなくても、別にいいじゃん」「これがAirbnbの言う『暮らすように旅しよう』ってこういうことか、友達の家に泊まるみたいで楽しいなあ」「海外のタクシーはぼったくられる心配があったけど、Uberは明朗会計だからかえって安心だ」「必要なときにすぐ来てくれるから圧倒的に便利だ」と思うはずです。

そうなるまでにはちょっと時間がかかるでしょう。だから長期的に取り組んで、徐々に展開していきたいですね。
また全部のサービスを自前でつくる必要もないかな、と思っています。うちがAirbnbやUberのようなサービスを独自展開することも考えられますが、すでに得意としている会社がある。だったら全部を独占するのではなく、いろいろな会社と組んで、メルカリをプラットフォームのように使っていただくやりかたもあるはずです。
メルカリが、シェアリングエコノミーをはじめとする新しい経済、新しいサービスのエコシステムになる、というのは、ひとつの中長期的な目標です。
そのためには、まず世界中で、いまのメルカリのサービスをスタンダードなものとする。海外展開に全精力を費やして、一刻も早く実現したいですね。

山田進太郎
株式会社メルカリ 代表取締役社長
1979年生まれ、愛知県出身。早稲田大学在学中に、楽天でオークションサービス「楽オク」の立上げなどを経験。卒業後、ウノウ設立。「映画生活」「フォト蔵」「まちつく!」などのインターネットサービスを立ち上げる。2010年、ウノウをZynga(ジンガ)に売却。2012年退社後、世界一周を経て、2013年2月、株式会社メルカリを創業。

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CHANGEMAKERS 10

Column DRIVE de Cartier

What drives You?

変革へのパッションこそ、すべての源だ

DRIVE DE CARTIER

ドライブ ドゥ カルティエ ウォッチ SS 41mm ¥640,000(税抜)

What drives You?

変革へのパッションこそ、すべての源だ

挑戦なくして、成功はない。カルティエの3代目ルイ・カルティエは、良き挑戦者であり、常に業界をリードするパイオニアであった。その最大の功績の一つが、紳士用腕時計を世界で初めて製作したことだろう。1904年、彼はブラジルの飛行家にして、ベルエポック期のパリで注目を一身に集めただて男、アルベルト・サントス=デュモンのためにエレガントな腕時計を製作。これこそが紳士用腕時計の始まりであり、その後のメンズウォッチの方向を決定づけた。名作「サントス」の誕生である。

カルティエは、その後も「タンク」「バロン ブルー」「カリブル ドゥ カルティエ」など、数々のメンズウォッチを生み出し、いまも時計業界のパイオニアであり続けている。そして、それらの傑作時計すべてに当てはまるのが、官能的なデザインと機械的精緻さの両立である。美しいフォルムを持つカルティエの時計は、ひと目見ただけでそれとすぐに分かる。これは、ウォッチメーカーとしての高い技術力なしには成し得ないものだ。

今年、メンズコレクションに新たに加わった「ドライブ ドゥ カルティエ」にも、その伝統は受け継がれている。ローマン数字のインデックスやフランケ模様のギヨシェダイヤル、ソード型の針など、随所に際立つ“カルティエらしさ”。優雅なクッションケースのボリューム感が目を引くが、実際は薄く作られており、腕にすると驚くほどよくなじむ。スケルトンバックからは、自社製ムーブメントCal.1904の美しい仕上げを堪能できる。

腕時計としては揺るぎない正統派。それでいて、7のインデックスに小さくCartierの隠し文字を入れるカルティエの伝統的な遊び心も、現代の粋人を引きつけている。

Text by SHINODA Tetsuo

主催:日経ビジネスオンライン
 特別協賛:リシュモン ジャパン カルティエ