03 Case Study ヤマハ発動機様 - クロスメディアを駆使した情報コンンテンツ提案力

バイク業界初、製品のパーツカタログを一般ユーザーが閲覧できるアプリ「ヤマハ パーツカタログ」。リリースされる製品パーツを網羅し、ユーザーが快適に利用できるアプリ開発に尽力したのが石田大成社だ。最新のITや多言語翻訳、製品知識を駆使し、ヤマハユーザーの期待に応えるアプリが完成した。

特殊なノウハウが不可欠なパーツカタログ制作

小型エンジン技術や車体・艇体技術、制御技術をコア技術に、基幹の二輪車事業をはじめ、ボート・船外機等のマリン、スノーモビルや発電機等の特機、産業用ロボット、電動アシスト自転車、自動車用エンジンなど多軸に事業を展開するヤマハ発動機。世界30カ国・地域のグループ140社を通じた開発・生産・販売活動を行い、200以上の国・地域に製品を提供。いまや、連結売上高約9割を海外が占めるグローバル企業として成長を続けている。

YAMAHA

企業目的である「感動創造企業」の実現に取り組み、グローバルな事業活動を展開。

同社CS本部は、主に製品販売後のアフターサービスを担う部門で、国内外へのパーツ供給は「グローバルパーツセンター」を統括拠点としている。「CS本部の“C”はお客様を意味するCustomer、“S”はService、Support、Satisfaction、Safetyなどを意味しており、ご購入いただいたお客様に接していかに満足していただけるかを追求しています」と話すのは、CS本部 部品統括部の白石達弘氏だ。バイクは手入れしながら10年、20年と長く使用されることが多く、自分でパーツを付け替えてカスタムを楽しむユーザーも少なくない。それだけに、パーツの供給および情報提供は重要なアフターサービスとなっている。グローバルパーツセンターでは、パーツを国内約1万店の販売店へ24時間以内に届けることが可能であり、海外のパーツ拠点にも迅速に届ける体制が整っている。

白石 達弘 氏

「当社の事業においてパーツカタログは極めて重要なアイテムです。およそ40年前、商品の多様化、モデルの増加にともないパーツカタログ制作業務のアウトソーシングを広げていく方針の中で、制作能力を持ち合わせている協力会社を探していました。そこで、トヨタ自動車のパーツカタログで実績のある石田大成社にたどり着き、取引が始まりました」(白石氏)

パーツカタログ制作は、部品をただイラストに描き起こすという単純な作業ではなく、特殊なノウハウが不可欠だと白石氏は続ける。

「パーツカタログは製品の発売時に完成していなければならないので、その制作は製品開発と同時進行となります。そのため実物がない状態で、図面から立体的なイラストを描く能力が求められます。さらに、お客様の負担が極力軽くなるようパーツをどのような販売単位で市場へ供給すべきかを考える必要があります。その点、石田大成社には、モデルの構造、図面の理解、原稿作成の知識と経験、ノウハウにたけた多数のスタッフ体制に魅力があります。加えて、パーツカタログだけでなく、プロモーションコンテンツの制作能力もあり、多様なニーズに即応できる会社としてお付き合いさせていただいています」(白石氏)

業界初、革新的なパーツカタログアプリを開発

土川 恵治 氏

2003年、ヤマハ発動機はパーツカタログを一般ユーザー向けWebサイト上に公開。アプリケーションの名称を『部品情報検索』とし、補修部品のパーツカタログ掲載に加え、参考価格、部品センターの在庫有無も公開した。その後、インターネット環境やITの進化にともない、新たなPC環境やデバイスへの対応要求が高まってきたと、CS本部 アフターセールス統括部の土川恵治氏は当時を振り返る。

「2011年頃からはお客様相談窓口にスマートフォンで閲覧したいという声が多く寄せられるようになり、対応を急ぎました。アプリ開発の協力会社の選定にあたっては社外コンペティションを実施し、その結果として、QCD(品質・コスト・納期)やプロモーション部門との連携、パーツカタログの制作経験、海外展開の実行力などを考慮し、石田大成社に決めさせていただきました。時代の声を反映させるため、若手社員に対しアンケートも実施しましたが、そこでも石田大成社が提案するアイデアが最も支持を集めました」(土川氏)

ヤマハ発動機がアプリに求めたのは使いやすさと反応速度だ。その実現のためには、ユーザーが目当てのパーツを容易に探し出せる優れた検索性に加え、スマートフォンの小さなディスプレイでいかに正確な情報を表示できるかがカギとなる。緻密なイラストを必要とする内容のため扱うデータが重くなり、ページ表示の反応速度が遅くなってしまうというPC版で見えていた課題もあった。

部品情報検索スマートフォンアプリ YAMAHA Parts Catalogue

「石田大成社には我々の開発要求に応えていただくことができました。情報は当社のデータベースから取得し、ユーザーは製品カテゴリやモデル年度、排気量などからストレスなくパーツを探し出せる設計のプラットフォームを構築。パーツや周辺部分も詳細に確認できる緻密なイラストでもサクサクと表示でき、参考価格を確認することもできるという、非常に使い勝手の良い仕上がりになっています。石田大成社が長年培ってきたユーザー視点のコンテンツ制作力やITが結集されたからこそ、実現できたクオリティーだと考えています」(土川氏)

ユーザーからの高い評価と大きな二次的効果

アプリのリリース後、ユーザーからの反響も極めて良好で、累計ダウンロード数は5万5000件に達している。SNSでは「よくぞやってくれた」「神アプリ」といった絶賛の声が飛び交い、リリースから1年以上たった現在もダウンロード数は着実に伸びている。

「2014年8月にブラウザのマルチ対応のシステム改定を行い、同年12月にアプリをリリースすると、お客様相談窓口の状況は一変しました。それまでは、Webパーツカタログに対し様々なご要望の声をいただいていましたが、そのようなお電話は一切なくなりました。そればかりか、逆にアプリに対するお褒めの言葉や感謝の声を多くいただき、スタッフ一同、とてもすがすがしい気分を味わうことができました」(土川氏)

アプリ操作画面

スムーズな検索性と見やすさに徹底的にこだわったヤマハの「パーツカタログアプリ」。詳細なイラストが即座に表示される高い反応速度、参考価格や在庫有無をすぐに確認できる使い勝手の良さで高い評価を獲得している。

パーツカタログアプリのリリースは、パーツ供給の円滑化にも寄与している。ユーザーが自分でパーツの在庫有無や価格を確認できるようになったため、お客様相談室やヤマハ販売店に多く寄せられていたパーツに関する問い合わせを大幅に減少させることができた。加えて、販売店からの部品発注の正確性が高まり、誤発注の発生率が低減したという。

「アクセス解析により、PC版については平日午前にアクセスが多く見られ、販売店様も業務として利用されていると想定しています。パーツカタログアプリについては、土日や平日の夜間にアクセスが多く見られることから、お客様の利用が中心と想定しています。また、店頭でお客様に説明する際にタブレットでこのアプリを活用するケースも増えており、他メーカーでも早く同様のアプリを作ってほしいという声も上がっているようです」(土川氏)

ヤマハ発動機はアプリの海外展開にも力を入れており、すでにインドネシア、タイ、ベトナムの3言語版をリリース済み。近い将来にはヨーロッパを中心とする17言語への対応を目指している。このような翻訳対応のスムーズさも、世界16都市に拠点を構え(2016年6月現在)、62言語に対応する石田大成社ならではの実行力といえるだろう。

翻訳、インドネシア(ルピアの表記)の画面

「使いやすさの実現のためには、単純な日本語の翻訳をするのではなく、現地の文化を深く理解した表現が不可欠です。また、例えば、インドネシアの通貨ルピアは桁数が非常に多くなるため、スマートフォンの画面で見やすく表示する工夫も必要です。このような細部のつくり込みも含めて翻訳を任せられる安心感が、石田大成社にはあります」(白石氏)

ヤマハ発動機の最も重要な海外市場の一つであるインドネシアでは、リリースから1カ月で2万ダウンロードを記録。その後も毎月約1万人のユーザーがダウンロードしている。インドネシアの大手メディアグループであるKompas Gramedia発行の二輪・四輪専門タブロイド紙『OTOMOTIF』が選ぶアワードでは、インドネシア版パーツカタログアプリがPROMISING SERVICE賞を受賞。その利便性と革新性、価格・在庫をオープンにすることが、ユーザーへのサービスを約束するものとして評価された。

カタログを超えたコンテンツとしての可能性

アプリにはヤマハ発動機のWebサイト内に用意した販売店検索や用品紹介などのコンテンツに誘導する仕組みも盛り込まれており、ユーザーとのコミュニケーションの充実にも一役買っている。また、リアルタイムでどのモデルを検索しているかという情報も取得できるようになっており、デジタルマーケティングの有効なツールにもなっている。

「今後のフェーズとしては、これらの情報を利活用するコンテンツ展開の段階にきていると思います。お客様のニーズを先取りし、パーツカタログ情報だけでなく、ここから様々な情報を発信するコンテンツに仕上げていきたいです」(土川氏)

「ライバル企業とはモノづくりで日々熾烈(しれつ)な競争を続けていますが、アフターサービスにおいては一歩先をいく存在であると自負していますし、今後はさらに他社を引き離して“アフターでダントツ”でありたいと考えています。今回のアプリのリリースでは、『ヤマハって、そこまでやっているの?』という驚きの声を多くいただきましたが、現状に満足することなく、お客様の期待を超える情報の先進性にチャレンジしていきます。ヤマハだからここまでできる、ヤマハならここまでやってくれる、という認識を広げていくことで、"次もヤマハ"というロイヤルカスタマーを増やし、新規のお客様も獲得していきたいです」(白石氏)

白石氏、土川氏ともに、石田大成社とヤマハ発動機が互いに切磋琢磨できるパートナーシップを続けていくことを願っている。ユーザーが何を求め、何を期待し、何に困っているのか? そのニーズを素早く察知し、スピーディーに対応する力が強く要求される今、先進ITを活用したマーケティングやプロモーションの重要性は増す一方だ。ユーザーの期待を超える感動の創造に挑戦し続けるヤマハ発動機と、クロスメディアでの制作力を駆使した情報コンテンツ提案力で寄り添う石田大成社。両社の力強い歩みは続く。

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