ADVANCED INDUSTRIES 2017 イスラエルのテクノロジー最前線 セミナーレビュー 中東のシリコンバレー、イスラエル進出への第一歩

イノベーション ピッチ:イスラエルの最先端ライフサイエンス技術
インサイテック ジャパン 機能的脳神経外科領域での非侵襲的治療を実現
Insightec Japan(インサイテック ジャパン)日本韓国ジェネラエルマネージャー ヤイール・バウアー氏

インサイテックは集束超音波とMRI(磁気共鳴断層撮影装置)という2つの技術を組み合わせたMRガイド下集束超音波治療器Exablate Neuroを開発しました。集束超音波は太陽の光を1点に集める虫眼鏡と同様に、超音波ビームを1点に集中させることにより非侵襲的に焦点の組織のみを焼灼することができます。実はこの技術は70年前からあるのですが、臨床の現場で使うことはできませんでした。なぜなら超音波がどこを通ってどこに当たっているか、どのような影響を及ぼしているかを確認できなかったからです。そこで、MRIの機能を使って解剖学的に体内を可視化します。そして、MRIは±2°Cの温度測定も可能です。この機能を利用してビームを当てる患部の温度上昇をチェックし、安全性と有効性を確認しながら治療を行うことができるのです。

これまでMRガイド下集束超音波治療器は子宮筋腫や乳がん、骨転移性疼痛(こつてんいせいとうつう)など胴体の治療に使われてきましたが、今回ご紹介したいのは脳疾患での利用です。現在メーンに使われているのは機能的脳神経外科領域で、神経障害性疼痛や振戦、パーキンソン病などがターゲットになっています。また、新たな臨床研究もスタートさせており、今後は脳腫瘍やてんかん、アルツハイマー病の治療のほか、超音波のエネルギーを利用して血液脳関門を開通させてドラッグデリバリーを行うなど多彩な応用を目指しています。

現在、Exablate Neuroは世界30以上の著名な医療機関に導入されており、日本では8台が稼働しています。昨年にはCマークの取得、米国食品医薬品局(FDA)承認のほか、日本の厚生労働省の薬事承認も得ているので、今後は日本市場により力強く広げていきたいと考えています。

MRガイド下集束超音波治療器 Exablate Neuro
ペルシス・メディカル 一刻を争う応急処置のシーンにブレークスルーを
Persys Medical(ペルシス・メディカル)ジェネラルマネージャー ローイ・マダイ氏

ぺルシス・メディカルは出血管理、血管確保、体温維持、気道確保の4つのセグメントをメーンに、60カ国以上でイスラエルの医療用品メーカーの製品を販売しています。今日は2社の製品を紹介します。

First Careは軍の救急隊員が創業した会社で、応急処置に特化したユニークなテクノロジーを開発しています。兵士の死因の80%以上が出血多量といわれる中、軍で使用する止血帯が十分なものではないと考え、独自の止血帯を作りました。簡単に効果的な止血を行える止血帯として、今では多くの国の軍でゴールデン・スタンダードとして採用されています。

もう1社、WaisMedは静脈確保が難しい場合などに骨髄から静脈へ投与する骨内投与を容易にする器具を開発しています。この会社は、軍出身のある小児科医が緊急事態において女性や子供の静脈を見つけることができなくて亡くなってしまったという経験から、この問題へのソリューションを提供するために設立されました。最新の製品はポケットに入るようなコンパクトサイズのデバイスで、簡単なトレーニングを受けた人なら20秒ほどで骨内投与を行うことができます。現在は様々な国際機関からのサポートを受け、静脈が見つかりにくい場合は即座にこのデバイスを使うようにという推奨もいただいております。

ペルシス・メディカルは国際的なプロジェクトにも積極的に参加しています。インドでは救急隊員用のベスト、エジプト軍やフランスの民間防衛組織には応急処置用のキットを提供しています。世界中で当社製品が命を救うために使われています。

簡単に効果的な止血を行える止血帯(First Care)骨髄から静脈へ投与する骨内投与を容易にする(WaisMed)
センシブル・メディカル・イノベーション 心疾患の患者のQOLを上げる家庭用デバイス
Sensible Medical Innovation(センシブル・メディカル・イノベーション)CEO Amir Ronen(アミール・ロネン)氏

世界でも広範囲に見られる疾患である心不全。最も緊急的な処置が必要な疾患の一つであり、とりわけ超高齢化が進む日本では医療における重大テーマとなっています。私たちはこのような心疾患に独自開発したReDSテクノロジーで対抗し、QOLや医療コストの問題を解決していきたいと思います。1つの問題は再入院です。心疾患の患者は退院後30日以内に25%、6カ月以内に50%が再入院します。その理由は、心臓から血液がうまく送り出されないことによって肺に水がたまり、呼吸に支障をきたすこと。これが繰り返され、入退院を繰り返してしまうのです。

ReDSは非侵襲の方法で、デバイスの体内移植もなく、肺の中の水を正確にモニタリングする唯一のテクノロジーです。米国でReDSをトライアルしたところ、家庭で肺の中の水の量を把握することができ、水量が増えた際に適切な治療を施すことで、入院することなくQOLが向上したことが確認されています。

ReDSテクノロジーは、建物内部を透過して見る軍事技術に由来します。胸と背中にセンサーを装着し、所要90秒で肺の中の水量を正確に測定できます。ReDSが家と病院にあれば、血圧測定のように日々肺の状態をチェックできます。ボタンを押すだけで情報がクラウドにアップされ、主治医が測定値を確認することが可能です。すでにFDAの承認を受け、急性期病院や心臓外科、一般家庭に導入されています。今後はよりモバイル性を高め、使いやすく、価格も抑えた慢性疾患に適したデバイスに洗練させていきたいと思います。

ReDSで、家庭で肺の中の水の量を把握することができる
バイアーイメージング X線を使わずに内部のイメージングを実現
Vayyar Imaging (バイアーイメージング)シニア・ディレクタービジネス開発担当 岡野 秀毅氏

バイアーイメージングは2011年創業で、高周波を利用した3Dイメージセンサーの開発とマーケティング、販売をメーンに行う会社であり、投資的にはこれまで3400万ドルを集めています。起業の趣旨はレーダー技術で乳がん検診を実現することです。体内からの反射波を検知しモデリングすることで腫瘍を可視化します。従来、乳がん検診にはマンモグラフィーという方法がありますが、この使用には痛みが伴い、X線の被ばくがあるため検診回数が制限されるという問題があります。それに対し、バイアーのソリューションは無痛であり、X線を使用しないため被ばくのリスクがなく、看護師による操作も可能。さらに、製品コストにおいてもマンモグラフィーが600万~2500万円であるのに対して、わずか100万円と安価に実現できます。将来的には家庭用として手軽に使える製品にまで持っていきたいと考えています。

コア技術はモニタリング、イメージング、センシングの分野で応用が進んでいます。モニタリングでは3次元の人物位置トラッキングや呼吸・脈拍の測定を実現し、医療や介護などでの見守りに役立ちます。イメージングでは乳がん検診のほか、壁内部を検査する製品を米国で既に発売し、好評を得ています。センシングでは脂肪濃度を測る液体分析などを行っています。

大きく3つの技術優位性があります。カメラを使わないためプライバシーの侵害がないこと。そして、昼夜を問わず、煙や蒸気、霧の中も見通せるシームレスなセンサーであること。さらに、壁を貫通し、障害物を回避して水道管やガス管などを透視可能であることです。活用のアイデアがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

3つの技術優位性
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お問い合わせ先:イスラエル大使館 経済部
Israeljapaneconomy@israeltrade.gov.il

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