日経ビジネスonline
ADVANCED INDUSTRIES 2017 イスラエルのテクノロジー最前線 セミナーレビュー 中東のシリコンバレー、イスラエル進出への第一歩
特別講演「なぜ、いまイスラエルか 投資のチャンス」イスラエル経済省 海外投資産業協力局長 Ziva Eger(ジィヴァ・イゲール)
急速に拡大する日本・イスラエルの経済協力

イスラエルは四国と同じくらいの面積で、人口870万人の小さな国。それにもかかわらず強力な経済を築き上げました。2008年の世界的な経済危機でもGDPはプラス成長を遂げることができ、多くの投資家や多国籍企業から投資対象として注目されています。2015年には1150億ドルの直接投資を呼び込み、その後も増加しています。日本とイスラエル間では2016年に貿易額が26.3億ドルに達しました。しかし、両国のポテンシャルはこの数字以上に大きいものだと考えています。

図版1

日本とイスラエルでは既に100件以上の取引が行われています。楽天やソニーのようにイスラエルでM&Aを行った日本企業もありますし、逆にイスカルのように日本でM&Aを実施したイスラエル企業もあります。8社の企業がイスラエル・イノベーション・オーソリティとの契約を締結し、協力関係を結んでいます。イスラエル政府はこれらの日本企業とイスラエルのスタートアップ企業の50%-50%のジョイントベンチャーを認め、60%の助成金を設けています。日本とイスラエルの企業との関係が深まっていくのはもはや時間の問題です。2017年2月には岸田外相とカハロン財務相が投資に関する協定を結び、投資プロセスの簡素化を実現しました。イスラエルはアジア諸国の中でも日本を特別なターゲットと捉えています。イノベーションの素晴らしいビジョンとポテンシャルを持つ日本とオープンなジョイントベンチャーを結びたいと考えているからです。

進出を手厚く支える環境と政策

一方、日本にとっては、なぜイスラエルである必要があるのでしょうか? イスラエルはイノベーションにおける世界トップ3にランキングされています。人口当たりの開発者数は世界第1位、ベンチャーキャピタルへのアクセスは世界第2位、起業家精神では世界第3位、最も革新性のある国では世界第2位。テルアビブはシリコンバレーに次ぎスタートアップ第2位の都市となっています。小さな国にもかかわらず2016年には1400ものスタートアップ企業が誕生しました。これを可能にしているのは、イスラエルの特別なエコシステム(生態系)の存在です。学術界とスタートアップつまり地場産業とが連携し、300社を超える多国籍企業がネットワークを築いてノウハウをシェアしています。このエコシステムはシリコンバレーにはありません。この背景にはイスラエルの非常に多様で強力な経済があります。中央銀行の政策がこのエコシステムに良好なものであるのも大きな理由です。世界有数の学術研究の環境があることも見逃せません。これまでに12人のノーベル賞受賞者がいます。国民1人当たりのエンジニアの数は世界一であることからも、イスラエルの産業の主軸が研究開発にあることが分かります。

研究開発と共に生産をイスラエルで行う多国籍企業も豊富です。インテルは海外初の工場をイスラエルに作りました。HPは世界で販売するプリンターの75%をイスラエルで生産しています。これらの背景にはイスラエルのテクノロジーがあります。テクノロジーを生産に反映し、市場のニーズを吸い上げて即座に生産に生かすというサイクルを常に回していけます。技術的に進んだ工場を置くことができるという点が競争優位につながることから、300もの多国籍企業がイスラエルに拠点を構えているのです。

図版2

ライフサイエンス分野に注目すると、特にイスラエルの本領が発揮されていることが分かります。とりわけ医療機器においてイスラエルは最も多くの特許を持っているといわれており、先端技術が集約しています。特別な医薬品やカプセル内視鏡、体内の画像撮影技術などで世界をリードしています。ライフサイエンスから生まれたイノベーションは日常生活にも様々な形で生かされています。メモリースティック、プチトマト、金属探知機などイスラエルから世界に広がった製品は枚挙にいとまがありません。現在、テルアビブから北部へ約1時間のところに大学や病院、世界有数の多国籍企業が集積するライフイノベーションのハブの構築が進められています。さらに、南部ベエルシェバには数年前からサイバーセキュリティー産業の集積が進められています。今後これらの地域には世界中から人が集まってくるので、この機会を逃さないようにお願いします。

イスラエルは強力なパートナーとの緊密なネットワークを構築できる小さな国です。イノベーションに積極的な文化があり、リスクや失敗に寛容であるという特長があります。ハイレベルな教育と学術の土台があり、有能な人材がそろっています。ダイナミックなビジネスコミュニティーがあり、政府の厚いサポートが受けられる点も大きな後押しとなります。法人税は6%、配当は4%という税制優遇、設備投資費30%の助成金、雇用助成金などの多彩なプログラムも用意されています。

図版3

リスクを取らなければならない局面では、ぜひ私たちと一歩を踏み出していただきたい。イスラエルの経済は日本に開かれています。必要なのは投資とジョイントベンチャーです。イスラエルの起業家精神をぜひ体感してください。

NEXT 講演:「Join the Best」 –製造の革新 イスラエルのケース

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