イクメン推進シンポジウム2016開催 イクメンが日本の働き方を変える

パネルディスカッション

制度より風土。要になるのは、イクボスの存在

  「悩める企業担当者必見!取組先進企業の成功事例とは」と題したパネルディスカッションでは、イクメン企業アワード2016でグランプリを受賞した2社の担当者と、行政の側から積極的な取組を行っている愛知県産業労働部の労政局長、さらに有識者を交えて、これからの時代における企業のあるべき姿について、意見交換を行った。

左から イクメンプロジェクト推進委員会委員/「日経DUAL」編集長の羽生祥子氏(コーディネーター)、株式会社丸井グループ 人事部長の羽生典弘氏、リコーリース株式会社 人財本部人事部人事課長兼ダイバーシティ推進室長の荒木優一氏、愛知県産業労働部労政局長の間所陽一郎氏、イクメンプロジェクト推進委員会顧問/NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也氏

 イクメンプロジェクト推進委員会委員の羽生祥子氏をコーディネーターに、株式会社丸井グループの羽生典弘氏、リコーリース株式会社の荒木優一氏、愛知県の間所陽一郎氏、さらにイクメンプロジェクト推進員会顧問の安藤哲也氏の4名がパネリストとなった今回のパネルディスカッション。まずは、企業、行政、それぞれが行う、男性の育児休業取得促進に向けた取組や、仕事と育児を両立できる職場環境整備についての紹介からスタートした。

 取組を進める上でのポイントについて、丸井グループの羽生氏は、「男性の育児参加は、個人はもとよりその上司や、職場の理解が重要なカギとなる」と語る。「当社では、トップダウン、ボトムアップ両者の取組を行い、従業員の意識改革を進めてきました。また、小売業の特長であるシフト性の勤務体制を活かし、チームで取り組むことで、実現につなげています」。

社員たちのマインドセットが大変だったと語る丸井グループの羽生氏。「地道な意識改善の結果、今では子どもが生まれたら、『おめでとう』プラス『いつ休む?』という一言が出てくるようになりました」。

 また、リコーリースの荒木氏は、「当社が導入している『育メン・チャレンジ休暇制度』は、トップからの強い意志で推進しております。育児休業を取得後に本人が提出する報告書は、直属の上司から、トップにいたるまで回しております。それが、育児休業取得率の飛躍的な向上につながっているのだと思います」と述べた。

 両者ともトップはもちろん現場にも意識改革を促し、双方からの取組を積極的に行っていることが成功につながっている。

 一方、愛知県産業労働部の間所氏は、中小企業における意識面での課題について語る。

 愛知県にある22万企業のうち、99.7%が中小企業。男性の育児休業取得率は1.2%と全国平均よりも低い。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という固定的性別役割分担意識においても、愛知県はまだ賛成の声の方が多いという。

「あらゆる制度を整えるのはもちろんですが、イクメンの日常も見守ることが大切。本人にできるだけ負担をかけずに、どう育休をとってもらうかを考えている」とリコーリースの荒木氏。
愛知県では、「あいちイクメン・イクボス応援企業賞」や「イクメン川柳」など、イクメンを推進するための取組を独自に行っている。

 「ワークライフバランスを推進している企業の割合も48%とここ数年伸びがなく、余裕がないという声も聞かれます。そこで愛知県は、両立支援制度の整備、制度を利用しやすい雰囲気づくり、社会的気運の醸成の3つを柱に、状況改善の取組を行っています」。

 これらの話を受け、イクメンプロジェクト推進員会顧問の安藤氏は、「大企業は、制度が整っていても、風土が悪いと取組は浸透しない。一方中小企業は、トップ次第ですぐに変われる。つまり、イクボスがしっかり機能しているかどうかがカギなのです」。フットワーク軽く動ける中小企業こそ、本気度が試されるというわけだ。

 「育児休業は法律で定められた制度なので、社員から申し出があったら企業は断ることはできません。だからこそ、イクメンが空気清浄器となって、旧態依然とした職場の空気を換えていくべきなのです。

 男性の育児休業取得は静かなる革命。最初にやる人はハードルが高いと思いますが、フロンティア精神をもって取り組んでほしいです。

 また、イクメン、イクボスともに、民間だけ、役所だけでは大変かもしれません。打開するには、企業同士などで同盟を組むこと。過去のクールビズ運動然りです。そういった取組も、もう始まっています」と語った。

 中小企業が活用できる制度の紹介もあった。今年新設された出生時両立支援助成金=『通称イクメン助成金』は、男性社員に育児休業を取得させた事業主へ経済支援をしてくれるものだ。「特に中小企業にとってはインセンティブにもなるので、活用するとよいのではないでしょうか」(安藤氏)

「旧態依然とした働き方はメンタルヘルスに影響があるし、昨今は離職率も高止まりしている。それを打破するのがイクメン」と語る安藤氏。

 今の日本の会社に必要なのは、制度より風土改革。制度でテクニカルに働き方を開発することは当然だが、何よりも空気や風土を変えていくことが大切だ。管理職が率先してライフの情報を発信したり、連続休暇を取る。休むことはマイナスではなく、リフレッシュでありインプットであることを伝えていく。それが、男性の育児休業取得を促進すると共に、全社員のワークライフバランスの実現につながるのだ。

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